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2話 三章 ヒナとキリエと街でのあれこれ
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時同じくして、キリエも上半身を起こすと、頻りに周囲を見回していた。やがてダフネの姿を発見したら、「ひぃ?!」と小さな悲鳴を漏らし、あっという間に顔色を青ざめさせていた。
その様子をダフネは横目で確認しながら、まるで独り言を呟く様に、此方に語り掛けてきた。物凄い迫力や威圧感を放ってきている。
「それで、…いったい貴方達は何をしているのかしら?…いきなり朝早くに屋敷から居なくなって、勝手に何処かに行くから、屋敷中は大騒ぎでしたよ。」
「ぐ、いや。…その。」
「おまけに、こんな人気のない場所で何をしているかと思えば、昨日の様に喧嘩?…まだ叱られ足りないのかしら?」
「あの。叔、…いえダフネ師匠。…これは、…」
「それは、だな…。」
と俺は何とか弁明しようとするが、うまく喋れない。威圧感に負けて、しどろもどろになっていた。
キリエも同じ様に、あたふたと取り乱している。
それでもダフネは怒りの態度を崩さず、
「どうやら二人共、揃いも揃って頭の髄液が沸いているようね。…こんな馬鹿な事をするなんて。…あぁ、もう、わかりました。…次からは、馬鹿と呼びますから。」
と、流れるように悪態までついてきた。おまけに盛大な溜め息を吐いている。
もはや俺達は何も言い返せずに、押し黙るしかなく、互いに静かにしながら素直に「「すいません。」」と同時に、また何度も謝罪の言葉を述べていた。
暫しの間、辺りに沈黙が漂う。
やがてダフネが再び溜め息を吐いたら、
「貴方達が喧嘩するのは勝手ですが、…今日、この限りで止めないなら、…それ相応の覚悟をしなさい。…ただ痛い思いで済まなくなるけど、解ったわね?」
とゆっくりと述べるのを最後に、踵を返して歩きだすと、キリエの真横を通り過ぎていき、道の奥へと進みだした。去り際に此方へと手招きしており、付いてくる様に促していたのだった。
その様子をダフネは横目で確認しながら、まるで独り言を呟く様に、此方に語り掛けてきた。物凄い迫力や威圧感を放ってきている。
「それで、…いったい貴方達は何をしているのかしら?…いきなり朝早くに屋敷から居なくなって、勝手に何処かに行くから、屋敷中は大騒ぎでしたよ。」
「ぐ、いや。…その。」
「おまけに、こんな人気のない場所で何をしているかと思えば、昨日の様に喧嘩?…まだ叱られ足りないのかしら?」
「あの。叔、…いえダフネ師匠。…これは、…」
「それは、だな…。」
と俺は何とか弁明しようとするが、うまく喋れない。威圧感に負けて、しどろもどろになっていた。
キリエも同じ様に、あたふたと取り乱している。
それでもダフネは怒りの態度を崩さず、
「どうやら二人共、揃いも揃って頭の髄液が沸いているようね。…こんな馬鹿な事をするなんて。…あぁ、もう、わかりました。…次からは、馬鹿と呼びますから。」
と、流れるように悪態までついてきた。おまけに盛大な溜め息を吐いている。
もはや俺達は何も言い返せずに、押し黙るしかなく、互いに静かにしながら素直に「「すいません。」」と同時に、また何度も謝罪の言葉を述べていた。
暫しの間、辺りに沈黙が漂う。
やがてダフネが再び溜め息を吐いたら、
「貴方達が喧嘩するのは勝手ですが、…今日、この限りで止めないなら、…それ相応の覚悟をしなさい。…ただ痛い思いで済まなくなるけど、解ったわね?」
とゆっくりと述べるのを最後に、踵を返して歩きだすと、キリエの真横を通り過ぎていき、道の奥へと進みだした。去り際に此方へと手招きしており、付いてくる様に促していたのだった。
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