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2話 一章 始まりの街【ビーギニング】と、二人の少女

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 暫しの後に、リキッドは泣き止むと、俺の方へと向き直り、今度はアルフォンスを紹介してきた。
 「彼はアルフォンス。…私の有能な右腕で、執事と此処の副責任者を兼任して貰っているんだ。」
 「初めまして、ヒルフェ様。…お会い出来て光栄です。」
 と、アルフォンスも恭しく一礼してきた。おまけに此方の方に手を差し出してきた。どうやら握手を求めているようだ。
 「お、おう。……」
 俺も返事をしつつ、恐る恐ると手を伸ばしたら、がっちりと捕まれた。とても強い力を感じる。
 それから彼は、真っ直ぐ俺の顔を見ながら、
 「私めの事は、気軽にアルフォンスと呼び、何なりと申し付けてください。」
 と言ってくる。
 「い、いや。…別に、そこまでしないで良いぞ。」
 と俺は首を振って否定した。
 だが、相手も頑なに折れないようだった。
 「そうは参りません。…リキッド様の家族なら私の主同然です。…ご遠慮なさらなくて大丈夫でございます。」
 「あ、あぁ。…宜しく頼む。」
 次第に俺は、勢いに負けてたじろいでしまう。ようやく手が離されると、思わず後退りして少し距離を取っていた。
 「やれやれ、先が思いやられますね。」
 その時、後ろでダフネが小さく囁き、最後には溜め息を吐くのが、微かに聞こえた。呆れているようだった。
 俺は前を向いた姿勢のまま、彼女に向かって怨念めいた殺気を送り付けだす。
 だが、そちらに気を取られていた内に、ふとリキッドとアルフォンスが、囁く様に内緒話をしているようだった。
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