139 / 472
2話 一章 始まりの街【ビーギニング】と、二人の少女
8
しおりを挟む
暫しの後に、リキッドは泣き止むと、俺の方へと向き直り、今度はアルフォンスを紹介してきた。
「彼はアルフォンス。…私の有能な右腕で、執事と此処の副責任者を兼任して貰っているんだ。」
「初めまして、ヒルフェ様。…お会い出来て光栄です。」
と、アルフォンスも恭しく一礼してきた。おまけに此方の方に手を差し出してきた。どうやら握手を求めているようだ。
「お、おう。……」
俺も返事をしつつ、恐る恐ると手を伸ばしたら、がっちりと捕まれた。とても強い力を感じる。
それから彼は、真っ直ぐ俺の顔を見ながら、
「私めの事は、気軽にアルフォンスと呼び、何なりと申し付けてください。」
と言ってくる。
「い、いや。…別に、そこまでしないで良いぞ。」
と俺は首を振って否定した。
だが、相手も頑なに折れないようだった。
「そうは参りません。…リキッド様の家族なら私の主同然です。…ご遠慮なさらなくて大丈夫でございます。」
「あ、あぁ。…宜しく頼む。」
次第に俺は、勢いに負けてたじろいでしまう。ようやく手が離されると、思わず後退りして少し距離を取っていた。
「やれやれ、先が思いやられますね。」
その時、後ろでダフネが小さく囁き、最後には溜め息を吐くのが、微かに聞こえた。呆れているようだった。
俺は前を向いた姿勢のまま、彼女に向かって怨念めいた殺気を送り付けだす。
だが、そちらに気を取られていた内に、ふとリキッドとアルフォンスが、囁く様に内緒話をしているようだった。
「彼はアルフォンス。…私の有能な右腕で、執事と此処の副責任者を兼任して貰っているんだ。」
「初めまして、ヒルフェ様。…お会い出来て光栄です。」
と、アルフォンスも恭しく一礼してきた。おまけに此方の方に手を差し出してきた。どうやら握手を求めているようだ。
「お、おう。……」
俺も返事をしつつ、恐る恐ると手を伸ばしたら、がっちりと捕まれた。とても強い力を感じる。
それから彼は、真っ直ぐ俺の顔を見ながら、
「私めの事は、気軽にアルフォンスと呼び、何なりと申し付けてください。」
と言ってくる。
「い、いや。…別に、そこまでしないで良いぞ。」
と俺は首を振って否定した。
だが、相手も頑なに折れないようだった。
「そうは参りません。…リキッド様の家族なら私の主同然です。…ご遠慮なさらなくて大丈夫でございます。」
「あ、あぁ。…宜しく頼む。」
次第に俺は、勢いに負けてたじろいでしまう。ようやく手が離されると、思わず後退りして少し距離を取っていた。
「やれやれ、先が思いやられますね。」
その時、後ろでダフネが小さく囁き、最後には溜め息を吐くのが、微かに聞こえた。呆れているようだった。
俺は前を向いた姿勢のまま、彼女に向かって怨念めいた殺気を送り付けだす。
だが、そちらに気を取られていた内に、ふとリキッドとアルフォンスが、囁く様に内緒話をしているようだった。
3
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
次代の希望 愛されなかった王太子妃の愛
Rj
恋愛
王子様と出会い結婚したグレイス侯爵令嬢はおとぎ話のように「幸せにくらしましたとさ」という結末を迎えられなかった。愛し合っていると思っていたアーサー王太子から結婚式の二日前に愛していないといわれ、表向きは仲睦まじい王太子夫妻だったがアーサーにはグレイス以外に愛する人がいた。次代の希望とよばれた王太子妃の物語。
全十二話。(全十一話で投稿したものに一話加えました。2/6変更)
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる