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2話 序章 七年前の辛い出来事。~それからの様子~

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 ※※※

 「………ちゃ、ん。」
 女の子の声が聞こえる。最初は切れ切れ雑音みたいだったが、次第にハッキリと聞き取れてきた。
 「……ちゃ~ん。…」
 その声は自分の名前を呼んでいる、と少女は理解し、ぼんやりとする頭を覚醒させる。すると、自分の現状を思い出し、
 「…いけない!!…」
 と、慌てて上半身を起こした。
 そのまま辺りを見渡すと、どうやら今まで庭先にある白いガーデンテーブルに突っ伏しながら、うたた寝していたようだった。
 ここは実家ではない。別の街にある屋敷の庭園で、一面に芝生が敷き詰められ、針葉樹や薔薇の生け垣に囲まれた美しい場所である。
 「……ちゃん、何処~?」
 と、自分の名前を呼ぶ女の子の声が、さらに大きく聞こえてくる。
 すぐに彼女は、テーブルから離れて歩きだす。しかし、同時に自身の全身から違和感を感じて立ち止まる。くまなく見ればやや寝汗をかいていており、額から雫が頬を伝うは、シャツが肌に張り付いて気持ちが悪い。特に座骨から胸の谷間にかけては、汗が溜まっているようだった。夢と合わせて、かなりのストレスで寝起きは最悪な気分である。
 「ねぇ、何処なの~?」
 と、また先程と同じ声が聞こえ、此方へと近づいている気配がしていた。
 「はぁ、……しっかりしろ。…私。」
 と少女は溜め息を吐くと、パンッ、パンッと自身の両頬を力強く両手で叩き、気合いを入れ直したら、険しい表情になりながら、再び前へと歩きだしたのだった。
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