スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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三章 山での攻防 後編

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 「炎よ、…敵を穿て!!」
 その時、聞いた事のある声がした。
 続けざまに、背後の森から火の塊が勢いよく飛んで来た。
 それはノイマンの頭上を越え、魔物の顔面に直撃する。
 すると大きな音と共に、爆発が起きた。
 ボアは絶叫をあげながら、巨体に熱と衝撃を受けて、頭を高くあげて大きく仰け反る。
 「うわっ!」と俺も驚き戸惑う。巻き込まれてしまった。急な浮遊感に襲われるも、すぐさまハッとなって気がつくと、しっかりと牙にしがみついた。
 今なら、なんとか出来そうだ。
 その状態から俺は体勢を立て直すと、全身の体重を魔物の牙に掛けていく。
 「うおりぁぁ!!」
 「グウォォォォォ!?」
 ボアはさらに巨体が仰け反らせて、沼の中へと頭から、ひっくり返えった。自身の体重も相まって、完全に泥の深くまで沈んでしまったようである。暫くはもがき苦しんでいたが、体勢を戻せずに最後は動かなくなっていった。
 やがて物々しかった空気はなくなり、辺りは静寂が拡がっていく。
 「げほ、げほ。」
 と俺も泥から這い出した。口から泥を吐き出しながら息を整えて、ゆっくりと立ち上がる。
 同時にテッドがノイマンを助け起こし、揃って側まで寄ってくると、目の前の状況を見て言葉を漏らす。
 「すげぇ、…本当にやっちまいやがった。」
 「あぁ、そうだね。……」
 「…それより、さっきの炎は?」
 と俺も呟くと、背後を振り返って確認した。
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