83 / 402
三章 山での攻防 後編
12
しおりを挟む
そうして獣道へ戻る。
ちょうどボアも、再び此方へと走ってきており、轟音を轟かせ、木々を薙ぎ倒しながら近づいて来る。
俺も身振り手振りで、存在を知らしめる。
相手も気がついたようだ。より走る速度を上げてきていた。
「…此処から北って、どっちだ?」
と俺も目的の場所に向かおうと、一歩だけ踏みだしたが足踏みしてしまう。
「お前が今、体を向けているのと反対だ。…馬鹿たれ!!」
そこへノイマンの指示が飛んできた。
「あぁ、そうかよ!!」と俺も捨て台詞を吐きながら踵を返し、全速力で走り出す。
ボアも追ってきているようだ。他に目移りする事なくピタリと後ろに付いている。
予定した通りだ。此処からは自分の
俺は走る速度を上げて、どんどんと森の奥に進んでいく。前に進む度に、後を確認しながら両腕や両足を千切れんばかりに振り乱す。
魔物とは付かず離れずの距離を保っていた。
ボアも追い付こうと躍起になってきていた。此方に迫ってくる度に、牙を突き立てようと攻撃を繰り出してくる。
俺は出来るだけ素早く回避し、敵を翻弄する様に立ち回る。
それから激しい追いかけっこが続いた。
「おら!!…こっちだ!!」
と、俺は汚く野次を飛ばして煽り散らし、逃げ続ける。
ボアも追いかけながら、おぞましい鳴き声を辺りに轟かせていた。
ちょうどボアも、再び此方へと走ってきており、轟音を轟かせ、木々を薙ぎ倒しながら近づいて来る。
俺も身振り手振りで、存在を知らしめる。
相手も気がついたようだ。より走る速度を上げてきていた。
「…此処から北って、どっちだ?」
と俺も目的の場所に向かおうと、一歩だけ踏みだしたが足踏みしてしまう。
「お前が今、体を向けているのと反対だ。…馬鹿たれ!!」
そこへノイマンの指示が飛んできた。
「あぁ、そうかよ!!」と俺も捨て台詞を吐きながら踵を返し、全速力で走り出す。
ボアも追ってきているようだ。他に目移りする事なくピタリと後ろに付いている。
予定した通りだ。此処からは自分の
俺は走る速度を上げて、どんどんと森の奥に進んでいく。前に進む度に、後を確認しながら両腕や両足を千切れんばかりに振り乱す。
魔物とは付かず離れずの距離を保っていた。
ボアも追い付こうと躍起になってきていた。此方に迫ってくる度に、牙を突き立てようと攻撃を繰り出してくる。
俺は出来るだけ素早く回避し、敵を翻弄する様に立ち回る。
それから激しい追いかけっこが続いた。
「おら!!…こっちだ!!」
と、俺は汚く野次を飛ばして煽り散らし、逃げ続ける。
ボアも追いかけながら、おぞましい鳴き声を辺りに轟かせていた。
19
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
解体の勇者の成り上がり冒険譚
無謀突撃娘
ファンタジー
旧題:異世界から呼ばれた勇者はパーティから追放される
とあるところに勇者6人のパーティがいました
剛剣の勇者
静寂の勇者
城砦の勇者
火炎の勇者
御門の勇者
解体の勇者
最後の解体の勇者は訳の分からない神様に呼ばれてこの世界へと来た者であり取り立てて特徴らしき特徴などありません。ただひたすら倒したモンスターを解体するだけしかしません。料理などをするのも彼だけです。
ある日パーティ全員からパーティへの永久追放を受けてしまい勇者の称号も失い一人ギルドに戻り最初からの出直しをします
本人はまったく気づいていませんでしたが他の勇者などちょっとばかり煽てられている頭馬鹿なだけの非常に残念な類なだけでした
そして彼を追い出したことがいかに愚かであるのかを後になって気が付くことになります
そしてユウキと呼ばれるこの人物はまったく自覚がありませんが様々な方面の超重要人物が自らが頭を下げてまでも、いくら大金を支払っても、いくらでも高待遇を約束してまでも傍におきたいと断言するほどの人物なのです。
そうして彼は自分の力で前を歩きだす。
祝!書籍化!
感無量です。今後とも応援よろしくお願いします。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる