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三章 山での攻防 後編
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俺は彼らの言葉を耳にしたら、頭の中で何かが引っ掛かった気がした。俯きながら腕組みをして考えを巡らせると、
(…ボア以上の持久力、疲れない、…俺のスキル、【疲れ知らず】、…まさか?)
と、重要な単語だけが頭に浮かび挙がっていった。昨晩から先程までの出来事にも、心当たりがあり、ふとある結論が頭を過っていた。
「しかし、他に方法はないよ。」
「…上手くいく筈ねぇだろうが!」
ふと、二人は未だに議論しているみたいだ。
俺は顔をあげるや否や、恐る恐る口を開いて提案した。
「俺がやる。」
「え!?…」
「な、何!?」
「や、やってくれるっていうのかい?…無理しなくていいんだよ。」
「…お前、本当に馬鹿じゃねぇか!…だから無理だって言ってるだろう!!」
すると、二人は困惑しだす。それぞれが躊躇しているが、
「だが、やらないと死ぬだけだろう、…まともに動けるのは俺だけだ。…」
「…ぐっ、確かにそうだが。…」
「…ノイマン。…こうなった以上、全員でやるだけやるしかないよ。」
「……、どうなっても、おいらは知らんぞ。」
と、俺の説得に押しきられ、やがて同調していた。
「…なら、問題はボアの突進力だ。…動きを遅くしなければならないぞ。…」
「どうすればいい?」
「ああいう大きなのは、足場の悪い場所は身動きしずらい。…水場か、砂場か、…後は。…」
「それなら、…少し北へ先に行った場所の、森が開けた区画に沼のある湿原があるよ。…」
そしてノイマンが独り言を呟いて問題点を洗い出し、さらにテッドが解決法を提示した。
「じゃあ、そこに誘導すればいいんだな?」
俺も話が纏まったと解釈し、颯爽と茂みを飛び出していくのだった。
(…ボア以上の持久力、疲れない、…俺のスキル、【疲れ知らず】、…まさか?)
と、重要な単語だけが頭に浮かび挙がっていった。昨晩から先程までの出来事にも、心当たりがあり、ふとある結論が頭を過っていた。
「しかし、他に方法はないよ。」
「…上手くいく筈ねぇだろうが!」
ふと、二人は未だに議論しているみたいだ。
俺は顔をあげるや否や、恐る恐る口を開いて提案した。
「俺がやる。」
「え!?…」
「な、何!?」
「や、やってくれるっていうのかい?…無理しなくていいんだよ。」
「…お前、本当に馬鹿じゃねぇか!…だから無理だって言ってるだろう!!」
すると、二人は困惑しだす。それぞれが躊躇しているが、
「だが、やらないと死ぬだけだろう、…まともに動けるのは俺だけだ。…」
「…ぐっ、確かにそうだが。…」
「…ノイマン。…こうなった以上、全員でやるだけやるしかないよ。」
「……、どうなっても、おいらは知らんぞ。」
と、俺の説得に押しきられ、やがて同調していた。
「…なら、問題はボアの突進力だ。…動きを遅くしなければならないぞ。…」
「どうすればいい?」
「ああいう大きなのは、足場の悪い場所は身動きしずらい。…水場か、砂場か、…後は。…」
「それなら、…少し北へ先に行った場所の、森が開けた区画に沼のある湿原があるよ。…」
そしてノイマンが独り言を呟いて問題点を洗い出し、さらにテッドが解決法を提示した。
「じゃあ、そこに誘導すればいいんだな?」
俺も話が纏まったと解釈し、颯爽と茂みを飛び出していくのだった。
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