スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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三章 山での攻防 後編

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 「ヒルフェ君。…助けてくれたのは感謝しているよ。…でも抑えてくれ。…ノイマンも、今は言い争っている場合じゃない。」
 そう言われて俺は舌打ちしながらも、指示に従う。
 「っち。…確かにな。」
 「…えぇい、今は突っかかるのは、止めだ。」
 ノイマンも渋々と、意見に同意していた。
 ただ互いに一切、目を合わせない。
 テッドは苦笑いをするも、この場を取り纏めだし、話を振ってきた。
 「とにかく今は、助かる事が先決だ。…何か方法は無いかな?」
 そうして全員で頭を悩ませだした。各々で打開策を考えているようだ。
 しかし、すぐには意見は出てこない。
 とりあえず俺は、率直に思った事を口にした。
 「そうだな。…もう頭にきてんだ。…さっさとボア倒しちまおうぜ。」
 「えぇ!?」
 とテッドは驚愕し、変顔を晒している。信じられないと言わんばかりと体現していた。
 ノイマンも頭ごなしに怒鳴つけてきた。
 「…何を言ってんだよ。…出来る訳ないだろうが!!…馬鹿だろ!」
 「あぁ?!…んだと、コラ!!」
 俺も負けじと言い返す。
 また言い争いに発展していた。
 「…誰が馬鹿だ!…脳筋みたいな奴にだけは言われたくない。」「馬鹿を馬鹿と言って何が悪い…だいたい魔物とやりあえるのかよ!…」「…知るか!!…此方は魔物と初戦闘だ!!…わかんねぇよ!!」「はぁ?!…なんだと、ズブの素人じゃねぇか!」「悪いか!?」「偉そうに言っといて…お前、何しに来たんだ!?」「…殆どは、お前と支部長のせいだわ!」
 全く話は一向に進まない。
 こんな事してる場合ではない、と俺は頭を振り、冷静になる様に努めていた。
 ふと視界の端に、テッドの様子が目に映る。
 彼はハッとした表情となり、独り言を呟いていた。
 「いや、…ヒルフェ君が殴った時は、ボアも痛がっていた。だから普通に攻撃は効くんだ。只の魔物と変わらないのかも。…なら疲弊させる事が出来れば、倒すか、或いは逃げれるかもしれない。」
 「おい、…そんな上手くいく訳ないだろう!」
 すかさずノイマンが指摘する。
 「…ボアは持久力だけは並外れてんだ!!…あんなのは、もはや桁違いだ。…こっちの体力が持つ奴がいねぇよ。」
 だがテッドも意見を述べ続けている。
 「…避けながら攻撃を当て続ければ、なんとかないかな?」
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