スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

三章 山での攻防 後編

３

　すると、細身の男は怒りを露にしたようだった。手にしていた小瓶の蓋を取り、振り回して中身の液体を撒き散らす。
　モロに被ったテッドの様子が変わった。
　どうやら、うまく動けないようになったようだ。
　「何が命を粗末にするなだ！！…その馬鹿だって、バンダナの男を置いていこうとしていたクズ野郎だろうが、…助ける価値なんかないんだよ！！」
　その隙に、細身の男は走って逃げていく。捨て台詞を吐いて、あっという間に森の中へと消えていった。
　「ちょっと待ちなさい！！」と美女が大声を挙げたり、テッドが追いかけようとするも
儘ならない。　
　そして、入れ代わるように木々の倒れる音がすると共にボアが、彼らの目の前に現れてしまう。
　俺達のいる場所まで、空気が震える様なうな威圧感がビリビリと感じる。
　「ど、どうしましょう！？」と、少年がいち早く気がつき、狼狽えながら聞いてくる。
　俺も戸惑い、一歩も前に足を出せないでいた。