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間章 合間の出来事
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そして入れ替わる様に、再びボルドー・ボアが姿を現す。周囲の木々を薙ぎ倒しながら、やってきた。後ろ足で土を蹴って、今にも突進しようとしていた。
もはや獲物を視界に捕えれるまでに、近づきつつある。
いち早く美女が気がつく。
ボアも、牙を向けて威嚇してきた。
美女は小さな悲鳴を挙げ、震えた足で立ち尽くしていた。
ようやくテッドも気がついた。魔物と美女を交互に一瞥したら、動けない体に鞭を打つ。真っ先に倒れたノイマンを背負おうとしていた。
だが余りにも体格差が違っている。
虚しくもテッドは、重く大柄な身体を持ち上げられずにいる。少なからず薬の影響もあった。
「に、逃げようよ!…早く!」
と美女が叫びだし、狼狽えながら急かしてくる。
それでもテッドは諦めず奮闘しており、「先に、…行け!!」と叫び返していた。ようやくして自身の身体の違和感を払拭しつつある。被った薬が少量だったのが幸いだったようである。
彼の言葉を美女は聞いて、戸惑ってしまう。だがすぐに踵を返すと、バンダナの男の身体を引きずりながら、すぐ側の獣道の方へと逃げていく。
そのまま二人は離れていき、森の奥へと姿を消したのだった。
もはや獲物を視界に捕えれるまでに、近づきつつある。
いち早く美女が気がつく。
ボアも、牙を向けて威嚇してきた。
美女は小さな悲鳴を挙げ、震えた足で立ち尽くしていた。
ようやくテッドも気がついた。魔物と美女を交互に一瞥したら、動けない体に鞭を打つ。真っ先に倒れたノイマンを背負おうとしていた。
だが余りにも体格差が違っている。
虚しくもテッドは、重く大柄な身体を持ち上げられずにいる。少なからず薬の影響もあった。
「に、逃げようよ!…早く!」
と美女が叫びだし、狼狽えながら急かしてくる。
それでもテッドは諦めず奮闘しており、「先に、…行け!!」と叫び返していた。ようやくして自身の身体の違和感を払拭しつつある。被った薬が少量だったのが幸いだったようである。
彼の言葉を美女は聞いて、戸惑ってしまう。だがすぐに踵を返すと、バンダナの男の身体を引きずりながら、すぐ側の獣道の方へと逃げていく。
そのまま二人は離れていき、森の奥へと姿を消したのだった。
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