スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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三章 山での攻防 前編

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 道の途中にて、バンダナ男が足を止めた。
 突然の出来事である。
 やがて他の冒険者達も、立ち止まると、続々と己の武器を構えてだした。
 何事か、と俺は思い、警戒態勢にはいる。さらに辺りにも視線を向けてみた。
 ふと少し離れた場所に藪がある。不自然に枝葉を揺らしているようだった。
 ガサガサと音を立てだした。次第に大きくなっている。
 「相手はゴブリンみたいよ!!…数は五匹!」
 いち早く美女が気がつき、大きな声で叫んだ。
 すると藪の奥からは、複数の生き物が姿を現した。確かに数は、五匹である。
 そいつらは、禍々しい見た目をしている。鋭い目と大きく開いた口や、緑色の小柄な身体が特徴的な二足歩行の生物である。手には木の棍棒を持っており、振り回している。因みに動きは、見た目通りに素早いようだ。
 そのまま勢いよく、此方へと迫ってきた。
 「あれが、ゴブリン!?」と俺は思わず、声をあげて、まじまじと観察している。
 初めての魔物を見ていて、出遅れてしまう。
 対して、他の冒険者達は自らの武器を手にすると、戦闘を開始する。
 各自で、魔物を一匹ずて対処しているようだ。
 まず先頭のゴブリンが攻撃をしてきた。棍棒を勢いよく振り下ろしてくる。
 「うおっ!?」とバンダナ男は、間一髪で後ろに飛んで回避した。
 逆にゴブリンは空振りしてしまうと、よろめいている。
 その隙に魔法使いの少年が動き、
 「炎よ。…敵を穿て!!」
 と呟くと、手から燃え盛る火炎を放ち、真っ直ぐ魔物に向かって飛ばした。
 よろけたゴブリンに命中すると、悲鳴を挙げる間も無く火だるまにしてしまう。
 「さすがは、街で期待の魔法使い!!」
 と、テッドが絶賛していた。
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