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三章 山での攻防 前編

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 「これには、身につけた人達の間で居場所や様子が解る魔術が施されているんだ。…戦う事が出来ない職員達は、この先に行けないから、これで僕らの様子を見るんだよ。」
 「ふ~ん。」
 と俺は相づちを打った。
 次の瞬間には、試験官やギルドの職員達が此方にやってくる。さらに試験官が代表して、俺を含めた他の冒険者達へと順番に手渡していき、残った最後の一つを自身の首に掛けている。
 すぐさま、冒険者達も受けとると、すぐに身につけていっていた。
 俺も習って同じように行動する。
 「…それでは、これより試験を開始します。…皆さんの御武運を。」
 その後、試験官が宣言する。
 続けて職員達も頭を下げていた。見送っているみたいだ。
 それを受けて、冒険者達は早々に移動を始めていく。
 俺も後を追いかけていった。
 全員で付かず離れずの距離を保って進むが、各々がバラバラの位置を歩く。バンダナ男、ノイマン、美女、魔法使いの少年、好青年、俺の並びで進んでいる。
 「えっと、私はテッドです。…どうぞ宜しく。」
 ふと前から好青年、ーテッドが声をかけ、名乗ってきた。
 「……ヒルフェだ。」
 と、すぐに俺も応じた。なんとなく、そうした方が良いと思ったからである。
 だが、それ以上は特に何もなく、互いに黙ったまま歩き続けていた。
 俺は気まずくなり、視線を明後日の方に向ける。ふと気がつけば、辺りの景色が変わってきたようだった。随分と森の奥まで来たようで、木々は枝葉が立派になり、緑が深くなっている。
 さらに奥に進むにつれて、先を行く冒険者達も、次第に緊張感を漂わせているみたいだった。
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