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間章 密会
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テッドは更に、自身の耳を疑った。あまりにも理解が出来ない提案だからである。
「…要は試験に合格させるだけでしょう。…ノイマンが、そうなる必要はないでしょう!?」
「この際じゃ、身辺は綺麗にするぞい。…仮に失敗しても、ランクを剥奪して追い出すつもりじゃ。…」
「それは、ノイマンがあんまりです。…私に、その片棒を担げません。」
「やれやれ。…お前さんには目をかけてやったのに、頼みごとも聞けんか。」
「…た、確かに。…私は家庭の事情から貴方に無理を言って冒険者にしてもらいましたが、別の話でしょう。…やるなら他の人に頼んでください!」
フォン支部長は頭を振った。なんとも呆れた表情をしている。
「他の者って、毳毳しい女と、自己中心的そうなバンダナ男に、頼りなげな少年じゃないか。…適任とは考えられん。」
「し、しかし、……。」
テッドが、尚も食い下がろうとする。
だが、フォン支部長は怒気を含むような声で言い放つ。
「もう既にやると決定した事じゃ、どうこう言おうが、やってもらう。…それでも嫌なら、それ相応の態度に出るしかないの。」
「そ、そんな。……」
「そんなではない。…上手く行ければ、今後のギルドでも、それ相応に融通を効かせるから、兎にも角にもやるんじゃ。」
彼の言葉は本気に聞こえた。また去る間際にも、「頼むぞい。」と念押しされてしまう。
テッドは愕然として、何も言えずに呆然としまった。
そんな中でも、フォン支部長によりランク昇降格試験の開始が、高らかに宣言されたのだった
「…要は試験に合格させるだけでしょう。…ノイマンが、そうなる必要はないでしょう!?」
「この際じゃ、身辺は綺麗にするぞい。…仮に失敗しても、ランクを剥奪して追い出すつもりじゃ。…」
「それは、ノイマンがあんまりです。…私に、その片棒を担げません。」
「やれやれ。…お前さんには目をかけてやったのに、頼みごとも聞けんか。」
「…た、確かに。…私は家庭の事情から貴方に無理を言って冒険者にしてもらいましたが、別の話でしょう。…やるなら他の人に頼んでください!」
フォン支部長は頭を振った。なんとも呆れた表情をしている。
「他の者って、毳毳しい女と、自己中心的そうなバンダナ男に、頼りなげな少年じゃないか。…適任とは考えられん。」
「し、しかし、……。」
テッドが、尚も食い下がろうとする。
だが、フォン支部長は怒気を含むような声で言い放つ。
「もう既にやると決定した事じゃ、どうこう言おうが、やってもらう。…それでも嫌なら、それ相応の態度に出るしかないの。」
「そ、そんな。……」
「そんなではない。…上手く行ければ、今後のギルドでも、それ相応に融通を効かせるから、兎にも角にもやるんじゃ。」
彼の言葉は本気に聞こえた。また去る間際にも、「頼むぞい。」と念押しされてしまう。
テッドは愕然として、何も言えずに呆然としまった。
そんな中でも、フォン支部長によりランク昇降格試験の開始が、高らかに宣言されたのだった
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