スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

二章 ギルドとスキルと勝負

３０

　カッチーン。
　その直後、俺の中で何かがキレた。勢い良く肩を掴む手を振り払って、
　「上等だ、コラ！…勝負するならかかって来い。…二度と吠えられなくしてやる！！」
　と怒鳴り返しながら啖呵をきる。
　「あぁ！？…ヒルフェ君！」とリキッドは言い、狼狽えていた。
　「全く、もう。」とダフネも呟き、額に手を当てて天を仰いでいるようだ。
　だが俺は、もう知らない振りをした。
　次の瞬間には、フォン支部長が生き生きとしだし、話を進めだす。
　「おぉ、よくぞや言ってくれましたな。…さすがはヒルフェ坊っちゃんじゃ。…では早速ですけど、試験を始めさせて頂きます。…ほら、さっさと案内せい。」
　それからギルド職員達が指示を受けて、冒険者達を誘導しだした。
　此方にも、ギルド職員が二人かがりでやってきて、テントの方へと移動を促された。
　俺も素直に指示に従う。いまさら後戻りはできないと心の中で決意し、目の前にいるノイマンの鼻をへし折ってやると息巻いているのだった。