スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

文字の大きさ
上 下
41 / 402
二章 ギルドとスキルと勝負

23

しおりを挟む
 その答えにフォン支部長は驚き、両目を見開く。だが唐突に、ハッとした表情となり、
 「丁度良いですな。…モリスンさんに、ヒルフェ坊っちゃん、是非ともワシらに任せて下さい。」
 と捲し立てて喋りだし、有無を言わさぬ間もなく部屋を飛び出した。
 続けざまに、「待っててください!」と、廊下から彼の声が聞こえてくる。
 俺は唖然となった。おまけに嫌な予感もしてくる。
 リキッドやダフネも、顔を見合わせて相談しだした。
 「どういう事だろうか?」
 「よくは理解できません。ですが何か嫌な予感しかしません。」
 暫し間、沈黙が漂っていた。次第に不穏な空気が漂いだす。
 「あぁ、もう。」
 するとダフネが痺れを切らした。部屋の外まで様子を見に扉へと近づく。やがてドアノブに手をかけようとした。
 その瞬間に、フォン支部長が再び部屋の中に戻ってきた。
 しかも他の職員か数人も引き連れている。
 異様な雰囲気に、俺は喰ってかかりだした。
 「なんだよ、急に!?」
 「坊っちゃん。すぐ準備を整わせますので参りましょう。…連れていけ!」
 しかし、フォン支部長は、間髪いれずに指示を飛ばす。
 他の職員達も、嫌々ながら動き出した。此方の側まで素早く移動し、流れる様な連携で、俺の身体を担ぎ上げた。
 そのままの状態で、部屋から出ていく。
 俺は全く抵抗する事も出来ず、連れていかれた。
 「ひ、ヒルフェ君~!!?」
 と、離れた位置からリキッドが呼んでいる。
 やや遅れて、二人が追いかけてきていた。
 
 ※※※

 そうして再び場所が移動し、ーー
 今度はギルドの外にやってきた。
 そこでは、職員達の人集りが出来ていた。
 真ん前の道路の脇には、三角屋根の仮設テントが建っており、天幕の下には様々な武器が並んでいる。
 今朝に来た時とは違い、物々しい雰囲気である。
 ようやくして俺も、テントの側で地面に下ろされる。
 ほぼ同時に、リキッドとダフネも側まで追い付いてきた。
 「どういう事だ?」
 俺は周りに、問いかけた。
 それでも誰も返事はしない。
 代わりにフォン支部長がテントの側にやってきた。
 すると一人の男性の職員も、テントまで歩いてくる。
 彼の後ろには、六人の若い男女がいた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

職業選択の自由~ネクロマンサーを選択した男~

新米少尉
ファンタジー
「私は私の評価を他人に委ねるつもりはありません」 多くの者達が英雄を目指す中、彼はそんなことは望んでいなかった。 ただ一つ、自ら選択した道を黙々と歩むだけを目指した。 その道が他者からは忌み嫌われるものであろうとも彼には誇りと信念があった。 彼が自ら選んだのはネクロマンサーとしての生き方。 これは職業「死霊術師」を自ら選んだ男の物語。 ~他のサイトで投稿していた小説の転載です。完結済の作品ですが、若干の修正をしながらきりのよい部分で一括投稿していきますので試しに覗いていただけると嬉しく思います~

異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】

ちっき
ファンタジー
【書籍化決定しました!】 異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く異世界での日常を全力で楽しむ女子高生の物語。 暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!

剣士アスカ・グリーンディの日記

sayure
ファンタジー
スンディエルク大陸の内陸にある山々に囲まれた国ウイプル そこにリガード竜騎士団という精鋭の戦士達の集団が存在する その中心人物のアスカ・グリーンディ 数奇な運命の中で 彼が手に入れるものは…

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど

富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。 「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。 魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。 ――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?! ――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの? 私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。 今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。 重複投稿ですが、改稿してます

お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

あーもんど
恋愛
ある日、悪役令嬢に憑依してしまった主人公。 困惑するものの、わりとすんなり状況を受け入れ、『必ず幸せになる!』と決意。 さあ、第二の人生の幕開けよ!────と意気込むものの、人生そう上手くいかず…… ────えっ?悪役令嬢って、家族と不仲だったの? ────ヒロインに『悪役になりきれ』って言われたけど、どうすれば……? などと悩みながらも、真っ向から人と向き合い、自分なりの道を模索していく。 そんな主人公に惹かれたのか、皆だんだん優しくなっていき……? ついには、主人公を溺愛するように! ────これは孤独だった悪役令嬢が家族に、攻略対象者に、ヒロインに愛されまくるお語。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆

処理中です...