スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

文字の大きさ
上 下
41 / 410
二章 ギルドとスキルと勝負

23

しおりを挟む
 その答えにフォン支部長は驚き、両目を見開く。だが唐突に、ハッとした表情となり、
 「丁度良いですな。…モリスンさんに、ヒルフェ坊っちゃん、是非ともワシらに任せて下さい。」
 と捲し立てて喋りだし、有無を言わさぬ間もなく部屋を飛び出した。
 続けざまに、「待っててください!」と、廊下から彼の声が聞こえてくる。
 俺は唖然となった。おまけに嫌な予感もしてくる。
 リキッドやダフネも、顔を見合わせて相談しだした。
 「どういう事だろうか?」
 「よくは理解できません。ですが何か嫌な予感しかしません。」
 暫し間、沈黙が漂っていた。次第に不穏な空気が漂いだす。
 「あぁ、もう。」
 するとダフネが痺れを切らした。部屋の外まで様子を見に扉へと近づく。やがてドアノブに手をかけようとした。
 その瞬間に、フォン支部長が再び部屋の中に戻ってきた。
 しかも他の職員か数人も引き連れている。
 異様な雰囲気に、俺は喰ってかかりだした。
 「なんだよ、急に!?」
 「坊っちゃん。すぐ準備を整わせますので参りましょう。…連れていけ!」
 しかし、フォン支部長は、間髪いれずに指示を飛ばす。
 他の職員達も、嫌々ながら動き出した。此方の側まで素早く移動し、流れる様な連携で、俺の身体を担ぎ上げた。
 そのままの状態で、部屋から出ていく。
 俺は全く抵抗する事も出来ず、連れていかれた。
 「ひ、ヒルフェ君~!!?」
 と、離れた位置からリキッドが呼んでいる。
 やや遅れて、二人が追いかけてきていた。
 
 ※※※

 そうして再び場所が移動し、ーー
 今度はギルドの外にやってきた。
 そこでは、職員達の人集りが出来ていた。
 真ん前の道路の脇には、三角屋根の仮設テントが建っており、天幕の下には様々な武器が並んでいる。
 今朝に来た時とは違い、物々しい雰囲気である。
 ようやくして俺も、テントの側で地面に下ろされる。
 ほぼ同時に、リキッドとダフネも側まで追い付いてきた。
 「どういう事だ?」
 俺は周りに、問いかけた。
 それでも誰も返事はしない。
 代わりにフォン支部長がテントの側にやってきた。
 すると一人の男性の職員も、テントまで歩いてくる。
 彼の後ろには、六人の若い男女がいた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

世界樹を巡る旅

ゴロヒロ
ファンタジー
偶然にも事故に巻き込まれたハルトはその事故で勇者として転生をする者たちと共に異世界に向かう事になった そこで会った女神から頼まれ世界樹の迷宮を攻略する事にするのだった カクヨムでも投稿してます

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...