207 / 218
2話 四章 手作りクッキー/すみれ茶
8
しおりを挟む
それからサーラは、材料ーー、小麦粉、豚の油、砂糖、水、卵を用意したら、作業台の天板に並べだす。
「お持ちしました。」
そこへブランモンが荷物を両手に抱えて戻って来るや否や、調理器具ーー、ヘラ、ボウル、ざる、などを同様に置いていた。さらには視線を動かし、作業台の品々を見たら、
「これは、もしや。」
と、思わず言葉を漏らしていた。
「しぃー。」
するとサーラは、人差し指を唇に添える仕草をしだし、
「良いから、このまま釜戸に火をくべて余熱しといて。…」
と、指示を付け加えていた。
対してブランモンも一度だけ頷くと、何も言わずに指示された通りに動き出した。薪を竈にくべていき、火を付ける作業に取りかかる。
それをサーラも見届けると、ようやく調理に移りだす。
まずは小麦粉をざるにあけつつ、小刻みに振りながらボウルの中に入れていく。やがて粉の粒が均一になっていた。さらには、別のボウルでは豚の油をヘラで練る様に混ぜたり、他の皿に卵を割り入れて解きほぐしたりと、材料の下拵えをしていく。
その様子を、メローナはまじまじと見つめるが、唐突に質問をぶつけてくる。
「これっぽっちの材料で、お菓子が作れますの?」
「うん。」
とサーラは、矢継ぎ早に返事をしつつも、次の工程に取りかかった。豚の油が入ったボウルに砂糖を入れると、中身を練り合わせる様にヘラで混ぜていって全体が白くなったところで、今度は卵を複数回に分けてボウルに注ぎ入れながら混ぜていく。だいたい三回まで同じ作業を繰り返すと、ボウルの中身は黄色くなり、もったりとした感触になっていた。さらには小麦粉を加えて、さっくりとヘラで混ぜ合わせると、最終的に手で丸めて、一つの丸い塊にしていた。こうして生地の元が完成するのだった。
「お持ちしました。」
そこへブランモンが荷物を両手に抱えて戻って来るや否や、調理器具ーー、ヘラ、ボウル、ざる、などを同様に置いていた。さらには視線を動かし、作業台の品々を見たら、
「これは、もしや。」
と、思わず言葉を漏らしていた。
「しぃー。」
するとサーラは、人差し指を唇に添える仕草をしだし、
「良いから、このまま釜戸に火をくべて余熱しといて。…」
と、指示を付け加えていた。
対してブランモンも一度だけ頷くと、何も言わずに指示された通りに動き出した。薪を竈にくべていき、火を付ける作業に取りかかる。
それをサーラも見届けると、ようやく調理に移りだす。
まずは小麦粉をざるにあけつつ、小刻みに振りながらボウルの中に入れていく。やがて粉の粒が均一になっていた。さらには、別のボウルでは豚の油をヘラで練る様に混ぜたり、他の皿に卵を割り入れて解きほぐしたりと、材料の下拵えをしていく。
その様子を、メローナはまじまじと見つめるが、唐突に質問をぶつけてくる。
「これっぽっちの材料で、お菓子が作れますの?」
「うん。」
とサーラは、矢継ぎ早に返事をしつつも、次の工程に取りかかった。豚の油が入ったボウルに砂糖を入れると、中身を練り合わせる様にヘラで混ぜていって全体が白くなったところで、今度は卵を複数回に分けてボウルに注ぎ入れながら混ぜていく。だいたい三回まで同じ作業を繰り返すと、ボウルの中身は黄色くなり、もったりとした感触になっていた。さらには小麦粉を加えて、さっくりとヘラで混ぜ合わせると、最終的に手で丸めて、一つの丸い塊にしていた。こうして生地の元が完成するのだった。
10
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる