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2話 四章 手作りクッキー/すみれ茶
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「えぇと、なんじゃ?…いきなり、やって来て。…」
と、サーラは思わず問いかけた。
対して、ブランモンとトーニャは、互いに顔を見合せながら口ごもっており、困惑しながら狼狽えている様子である。
しかし、メローナだけは素知らぬ素振りで、話しかけてくる。
「ふふふ、聞きましたのよ。…昨日の肉料理は貴女が教えたんでしょ。」
「そうじゃけど?」
と、サーラも答えつつ、話に聞き入っていく。
「あれは、なんでも。…かなり昔の料理で、珍しいとか。…他にも何か知っているのかしら?」
「…まぁ、ある程度はの。…」
「例えば、お菓子とかは?」
「う~ん。…作り方を知っているのは、一杯あるんじゃが、食べたいの?」
「ふふふ、…そうなんですのね。…貴女、意外と使えますわ。」
「なんじゃと?」
やがて話が進んでいくと、ふとメローナは、仰々しい身振りと手振りを交えながら、
「それなら、…私がある方にプレゼントしたいから、飛び切り美味しい菓子の作り方を、ブランモンに教えなさい!…作らせるわ!!」
と命令してきた。
次の瞬間に、辺りは静けさが漂う。
それから一拍の間の後に、
「はい?…プレゼント?…自分で作らんのかえ?」
とサーラは、首を傾げて聞き返す。さらには、再び質問を投げ掛けていた。
それにメローナは、少しムッと表情で怒りを露にするも、次第に顔を赤くして恥ずかしがりながら渋々と答えだした。
「…私が作ったって、美味しくありませんわ。…料理なんて、生まれてから一度もしたことありませんもの。…お口汚しなもの、相手に失礼ですわよ。」
「誰に送るつもりじゃ。」
「…それは、…お、お世話になった人ですわ。」
「ふ~ん。…」
と、サーラは話を聞いて、やや考えこむ仕草をすると、行動に移りだした。まず水場で手を洗い終えると、
「ブランモンさん。…ちょっと此処の材料と調理器具を使わせてもらうのじゃ。」
と、伝えてきた。
次の瞬間に、周りがざわついた。
「は、はい。…構いませんが」と、ブランモンは呆気に取られながらも、流れで返事しながら了承する。
ほぼ同時に、メローナも驚きつつ、聞き返した。
「は?!…貴女が作るつもりですの?」
「そうじゃよ~。…このお菓子は凄く作るのは簡単じゃけど、奥深くて難しいから、説明するよりも作ってみせるぞい。」
それにサーラは平然と言い放つ。
対してメローナは、言いくるめられてしまい、黙って成り行きを見守るようだった。
と、サーラは思わず問いかけた。
対して、ブランモンとトーニャは、互いに顔を見合せながら口ごもっており、困惑しながら狼狽えている様子である。
しかし、メローナだけは素知らぬ素振りで、話しかけてくる。
「ふふふ、聞きましたのよ。…昨日の肉料理は貴女が教えたんでしょ。」
「そうじゃけど?」
と、サーラも答えつつ、話に聞き入っていく。
「あれは、なんでも。…かなり昔の料理で、珍しいとか。…他にも何か知っているのかしら?」
「…まぁ、ある程度はの。…」
「例えば、お菓子とかは?」
「う~ん。…作り方を知っているのは、一杯あるんじゃが、食べたいの?」
「ふふふ、…そうなんですのね。…貴女、意外と使えますわ。」
「なんじゃと?」
やがて話が進んでいくと、ふとメローナは、仰々しい身振りと手振りを交えながら、
「それなら、…私がある方にプレゼントしたいから、飛び切り美味しい菓子の作り方を、ブランモンに教えなさい!…作らせるわ!!」
と命令してきた。
次の瞬間に、辺りは静けさが漂う。
それから一拍の間の後に、
「はい?…プレゼント?…自分で作らんのかえ?」
とサーラは、首を傾げて聞き返す。さらには、再び質問を投げ掛けていた。
それにメローナは、少しムッと表情で怒りを露にするも、次第に顔を赤くして恥ずかしがりながら渋々と答えだした。
「…私が作ったって、美味しくありませんわ。…料理なんて、生まれてから一度もしたことありませんもの。…お口汚しなもの、相手に失礼ですわよ。」
「誰に送るつもりじゃ。」
「…それは、…お、お世話になった人ですわ。」
「ふ~ん。…」
と、サーラは話を聞いて、やや考えこむ仕草をすると、行動に移りだした。まず水場で手を洗い終えると、
「ブランモンさん。…ちょっと此処の材料と調理器具を使わせてもらうのじゃ。」
と、伝えてきた。
次の瞬間に、周りがざわついた。
「は、はい。…構いませんが」と、ブランモンは呆気に取られながらも、流れで返事しながら了承する。
ほぼ同時に、メローナも驚きつつ、聞き返した。
「は?!…貴女が作るつもりですの?」
「そうじゃよ~。…このお菓子は凄く作るのは簡単じゃけど、奥深くて難しいから、説明するよりも作ってみせるぞい。」
それにサーラは平然と言い放つ。
対してメローナは、言いくるめられてしまい、黙って成り行きを見守るようだった。
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