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2話 四章 手作りクッキー/すみれ茶

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 「お~い。」
 ふと背後から、聞き覚えのある聞こえてきた。
 すぐにサーラは振り返り、視線を向ける。
 その視線の先では、村長夫妻が歩いていた。互いに隣り合って寄り添いながら、此方に真っ直ぐやってくる。
 「お~い、サーラや。」と、再び村長が呼び掛けてきた。
 「おはよう、村長さん。ばあ様!」とサーラも、元気に返事を返している。
 やがて彼等が合流すると、話をしだした。
 「あんた達、こんな所にいたのかい。…」
 「うん、…いつもの時間に目が覚めちゃって…村長さん達は?」
 「ワシ等は、日課の散歩じゃい。…ばあ様が、頑固で行くと言うのでな。」
 「当たり前でしょうよ。…あんたは最近、運動不足なんだから、」
 「ところで、ロンドはどうした?」
 「お父ちゃんは、お部屋の豪華なベッドで寝るのに、一晩中も緊張してて寝られなくて、お日様が登りだした頃に寝落ちしたの。」
 「…あの、馬鹿。…どっちが保護者かわからんぞ。」
 「…本当に、情けないね。」
 と、村長夫妻は揃って溜め息を吐いた。さらに続け様に、互いに顔を見合せると頷きあってから、
 「おい、サーラや。…この後は、ワシ等がアリサの面倒を見るから、好きな事でもしなさい。」
 と再び向き直るや否や、提案してきた。
 それをサーラは聞いて驚いた表情となるが、「えっ、でも。…」と、やや尻込みしている様子だ。
 しかし、村長夫妻は諭す様に告げてくる。
 「…折角の旅行なんじゃから、…お前さんも、好きな事すればいいんじゃよ。」
 「そうだわさ。…まだ小さい子供が、大人に遠慮なんかするんじゃないの。…本当なら、あの親父がするべき事なんだから。」
 「う~ん。」
 とサーラは腕組みしながら、悩んでいたものの、「…じゃあ、お言葉に甘えて。…ありがとう。…お願いします」と最終的には頷き、頭を下げながら礼を言いつつ、申し出を受け入れた。
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