～前世の知識を持つ少女、サーラの料理譚～

２話 ３章 玉葱ソースの鹿肉ハンバーグ

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　ついでにサーラも、補足説明をしだす。
　「特に茸の方は、お肉のたんぱく質を分解する酵素が、他のよりもずっと多く入っているから、３０分から一時間程度でも、ある程度は柔らかくなるの。」
　「…分解する酵素？…何やら、難しい言葉を知っているのだな。」
　と、マーチスは感心するも、訳が解らずに首を傾げていた。だが、特に深くは考えずに、再び調理の工程に視線を向けていた。
　その間に、ブランモンは両手に二本の包丁を持ちながら、肉を叩く様に切って細かくしており、最終的に荒微塵のミンチ状にしてしまう。さらには続けて、三つの行程を平行しながら進めだした。
　一つ目は、ミンチ状の肉をボウルに集めると、冷や水を張った大きめのボウルに重ねてて冷ます。さらに材料からパン、卵、油、ミルク、を用意していく。
　二つ目は、パンを細かく千切って器に移し、革袋からミルクを注ぎ入れて漬け込んだ。
　三つ目は、微塵切りの玉葱を半分に分けると、片方を油を敷いたフライパンに入れている。
　「ブランモンさん。…お持ちしました。」
　「あぁ、どうも。」
　やがて作業が終わると、彼の側にメイドがカートを押しながらやって来た。
　そのカートには大きな四角い陶器の器が乗せられており、中にも火の付いた薪がくべられていた。
　すぐに村長が代表して、質問しだす。
　「それは何じゃ？」
　「はい。…これは赤土の陶器を使った簡易的な釜戸です。…持ち運びも可能なしろものでして、
」
　とブランモンは答えながら、次の調理を始めだした。すぐさまフライパンを火にかけて、微塵切りの玉葱が軽く茶色になるまで炒めると、火から離して粗熱を取ったら、肉の入ったボウルに卵、牛乳に浸したパンくず、油、塩と胡椒も投入し、中身を混ぜ合わせていく。