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2話 幕話 領主の屋敷、新たな出会い。
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(ーー、お嬢様言葉、なのじゃ。…)
対してサーラは呆けた表情で、相手を黙ったまま見つめている。
「まぁ?!!…なんですの?…私が話しているのに無視するなんて!…失礼じゃないの?」
「…ほえ?」
「私を王家に連なる侯爵家の長女、メローナと知っていて、そういう態度を取るのなら!…お祖父様に言いつけますわよ!!」
しかし、その様子に美少女、ーーメローナは怒りを露にして、怒鳴りつけてくる。どうやら堪に触ったようだった。
「いや、違う。」と、サーラは冷静な態度で、頭を横に振って否定する。
「ムキィィィーーーー!!」
それでも相手の怒りは治まらないようだった。大きな声が廊下に響き渡った。
「すいませんでしたぁぁ!!」
するとトーニャが気圧されてしまい、堪らず踵を返すと、サーラの腕を掴んだまま反対側の廊下に向かって走り出した。慌てた様子で、どんどんと奥に進んでいく。
サーラも後ろへと引っ張られてしまった。全く抵抗する間もなく、必死に転ばない様に付いていくので精一杯に足を動かす。
「ほえぇぇ!?」
「あ、コラ!…待ちなさいよ!!」
と、メローナが言うのが聞こえていたが、すぐに遠くになってしまう。
そのままサーラは、トーニャに導かれるままに、屋敷中を走り回る事となった。
もはや今の自分が何処にいるのだか、解らなくなっている。
やがて二人は疲弊していき、足取りもふらふらの状態となるが、未だに止まらないまま廊下を横切っていく。
「なんだ?」
そんな彼女達と入れ代わる様に、一人の白髪の老人が廊下の反対側を行き過ぎながら、不思議そうな目付きで見ていた。
彼は見上げる様に背が高くて、でっぷりと腹が出た恰幅の良い大柄な体格をした人物である。また身に纏うスーツは仕立ても良くて、金の刺繍が施されており、かなりの上物だと解る。それだけで、もはや只者ではない雰囲気を纏っているようだった。
対してサーラは呆けた表情で、相手を黙ったまま見つめている。
「まぁ?!!…なんですの?…私が話しているのに無視するなんて!…失礼じゃないの?」
「…ほえ?」
「私を王家に連なる侯爵家の長女、メローナと知っていて、そういう態度を取るのなら!…お祖父様に言いつけますわよ!!」
しかし、その様子に美少女、ーーメローナは怒りを露にして、怒鳴りつけてくる。どうやら堪に触ったようだった。
「いや、違う。」と、サーラは冷静な態度で、頭を横に振って否定する。
「ムキィィィーーーー!!」
それでも相手の怒りは治まらないようだった。大きな声が廊下に響き渡った。
「すいませんでしたぁぁ!!」
するとトーニャが気圧されてしまい、堪らず踵を返すと、サーラの腕を掴んだまま反対側の廊下に向かって走り出した。慌てた様子で、どんどんと奥に進んでいく。
サーラも後ろへと引っ張られてしまった。全く抵抗する間もなく、必死に転ばない様に付いていくので精一杯に足を動かす。
「ほえぇぇ!?」
「あ、コラ!…待ちなさいよ!!」
と、メローナが言うのが聞こえていたが、すぐに遠くになってしまう。
そのままサーラは、トーニャに導かれるままに、屋敷中を走り回る事となった。
もはや今の自分が何処にいるのだか、解らなくなっている。
やがて二人は疲弊していき、足取りもふらふらの状態となるが、未だに止まらないまま廊下を横切っていく。
「なんだ?」
そんな彼女達と入れ代わる様に、一人の白髪の老人が廊下の反対側を行き過ぎながら、不思議そうな目付きで見ていた。
彼は見上げる様に背が高くて、でっぷりと腹が出た恰幅の良い大柄な体格をした人物である。また身に纏うスーツは仕立ても良くて、金の刺繍が施されており、かなりの上物だと解る。それだけで、もはや只者ではない雰囲気を纏っているようだった。
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