158 / 218
2話 一章 オムパスタ
8
しおりを挟む
それをロンドは受け取った。さらに中から便箋を取り出し、文面に目を通していく。
後ろからも親方が覗き見ながら、声に出していた。
「なになに……?」
「あぁ、要約すると、…サーラ様ならびに御家族の方へ、…以前のリリャー殿の件は大変に御世話になりました。…それにつきまして、改めて御礼をしたく、是非とも【ネオマルフィア】の屋敷に御越しください。また彼女の体調も良くなってきているので、アリサを連れて顔を見せてあげてほしいです。…って、小難しく書いてあったが、まるっきり招待状だな。」
「ひえぇ、…恐れ多いな。…」
そうして彼等は手紙を読み上げると、互いに顔を見合せていた。
またロンドに至っては、腰が引けてしまっている。
「ねぇ、おとうちゃん~。…あたし、行ってみたいんだけど~。」
そこへ、サーラが間髪入れずに猫なで声で喋りながら擦り寄って、おねだりしている。
「おう、いいじゃねぇか、行ってきなよ。…出発は何時だ?」
「うんと、ねぇ。…返事を送ってからだから、早くて来週かな。」
「そうか、…楽しんでこいよ。」
と、親方は肯定していた。
だが、対照的にロンドは狼狽えては、有耶無耶にしようとする。
「いや、しかし。…何か失礼があったら、大変だし。」
「向こうが誘ってんだから、寧ろ無下に断る方が失礼じゃねぇか?」
「う!?……そ、そうだ。…たしか、来週は狼を追っ払う仕事が、…」
「お前が居なくても、仕事は回るから。…たまには家族サービスしてこい。」
「ぐっ、……。」
「駄目なの?」
それでもサーラは続けて、上目遣いで小首を傾げながら聞いてくる。ついでにアリサも見よう見まねで同じ仕草をしていた。
後ろからも親方が覗き見ながら、声に出していた。
「なになに……?」
「あぁ、要約すると、…サーラ様ならびに御家族の方へ、…以前のリリャー殿の件は大変に御世話になりました。…それにつきまして、改めて御礼をしたく、是非とも【ネオマルフィア】の屋敷に御越しください。また彼女の体調も良くなってきているので、アリサを連れて顔を見せてあげてほしいです。…って、小難しく書いてあったが、まるっきり招待状だな。」
「ひえぇ、…恐れ多いな。…」
そうして彼等は手紙を読み上げると、互いに顔を見合せていた。
またロンドに至っては、腰が引けてしまっている。
「ねぇ、おとうちゃん~。…あたし、行ってみたいんだけど~。」
そこへ、サーラが間髪入れずに猫なで声で喋りながら擦り寄って、おねだりしている。
「おう、いいじゃねぇか、行ってきなよ。…出発は何時だ?」
「うんと、ねぇ。…返事を送ってからだから、早くて来週かな。」
「そうか、…楽しんでこいよ。」
と、親方は肯定していた。
だが、対照的にロンドは狼狽えては、有耶無耶にしようとする。
「いや、しかし。…何か失礼があったら、大変だし。」
「向こうが誘ってんだから、寧ろ無下に断る方が失礼じゃねぇか?」
「う!?……そ、そうだ。…たしか、来週は狼を追っ払う仕事が、…」
「お前が居なくても、仕事は回るから。…たまには家族サービスしてこい。」
「ぐっ、……。」
「駄目なの?」
それでもサーラは続けて、上目遣いで小首を傾げながら聞いてくる。ついでにアリサも見よう見まねで同じ仕草をしていた。
10
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる