~前世の知識を持つ少女、サーラの料理譚~

あおいろ

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2話 一章 オムパスタ

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 ふと唐突に、アリサから腹の虫が鳴るのが聞こえてきた。
 「そういえば、もうお昼だわね。」
 「おや。…なら、解散しますか。」
 「それも、そうね。…旦那が自宅で待ってるだろうし。」
 周りの人達も気がついたようだった。次々に踵を返して家路につく。
 サーラも流れに乗り、アリサを連れて家に向かい、玄関の扉を潜り抜けた。
 そのままアリサは揺りかごに寝かされる。すると途端に、ぐずりだした。
 「ねぇ~。」
 「はい、はい。…今、ご飯作るから待っててね。」
 とサーラは一言だけ声をかけると、調理場に向かったのだった。
 彼女は棚や床下の氷室を覗き見て、
 「今日はこれにしようかな?」
 と中から、材料を取り出す。
 それは、小麦粉、たまご、水、塩、油、鳥の胸肉、玉葱である。さらに調理器具も準備してから作業に取りかかった。
 その様子をアリサは、遠くから眺める。もう泣き止んでいた。
 まずサーラは、二つの釜戸に火をくべると、片方の口に水を張った鍋を設置した。さらに続けて、作業台の天板に小麦粉を振るいながら山を作りつつ、頂上を窪ませる。そこに卵と油や水、塩を二摘まみ程度を加えたら混ぜ合わせだした。最初はそぼろ状になったら纏めていき、台の上でよく捏ねて、丸い生地を作った。だいたい耳たぶ程の固さになった。続けて麺棒で長方形に伸ばし、包丁で生地の端から細く切って、最終的に細麺を形成したのだった。
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