～前世の知識を持つ少女、サーラの料理譚～

７話 思い出のアップルパイ

２１

　「ねぇ、リリャー。…あたしの話を聞いてほしい。」
　「う、うん。…何？」
　「…どうしていいか解らなかったとはいえ、…あたしを真っ先に頼ってくれなかったのは、とても悲しかったわ。」
　「…そう、ね。…本当にごめんなさい。」
　「ううん。…別に怒ってないよ。…あたしも喧嘩別れしたみたいなままの状態で、仕事に出ちゃったし、…元はと言えば此方が原因なんだから。…」
　「わ、私も。…あの時は言いすぎたわ。」
　「それでもさ、…季節が過ぎるよりも短い日々しか一緒に暮らしてないけど、…同じ食事をしたりして、あたし、…あんたを親友と思っているんだよ。…」
　「っ！！」
　「あんたは、違うのかい？」
　「……ううん。…そうよ。…私もそう。」
　「だからさ、…また一緒に住まないかい？…」
　「アニタ、……いいの？。」
　「もう、…あたしも料理が、ある程度は手伝えるしさ。前よりも、あんたを楽させてあげられるから。…あたしの方から、お願いします。」
　リリャーは、彼女の言葉を聞いて、「うん。…」と頷きながら返事をした。とても晴れ晴れとした良い笑顔をしていて、目頭が熱くなるのを堪えている。おまけに腹の虫も鳴るのが聞こえていた。