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7話 思い出のアップルパイ
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それは見事な出来映えだ。生地の表面はつやつやと輝き、濃い焼き色がついている。また格子状の切れ込みからは、ゴロゴロとしたりんごの果肉とジャムが見え隠れしており、黄金色に輝いているみたいである。手に取れば、片手に収まるサイズながらも、やや重みを感じる。
ふと辺りには、また薫りが舞い上がる様に伝わりだした。今度は甘くて良い匂いがしきた。
周りの人達も、鼻をひくひくと動かす。
リリャーも匂いを嗅いだ途端に、生唾を飲み込む。さらには、徐に椅子から立ち上がろうとして蹌踉いてしまい、近くにいる村人に支えられて、再び座り直している。
「…はい。…リリャーさん。」
そこへサーラが近づいてきて、アップルパイを乗せた皿を手渡した。
「あ、ありがとう。…」
とリリャーは受けとると、まじまじと見つめ、一口齧った。すると次の瞬間には、両目を見開きながら驚いている。
パイは、さくりと歯切れが良くて、ホロリと崩れてしまう。皮の一部がカリカリして食感が楽しい。また続け様に咀嚼していくと、程よい甘さとりんごの酸味が口一杯に広がり、次第に香ばしい匂いや、りんごの香りが満ちていった。甘過ぎず酸っぱ過ぎず、爽やかで上品な味わいだった。
「どうだい?…リリャー。」
とアニタが聞いてきた。
「うん。…おいしい、…マリーお婆さんのと、殆ど変わらないわ。」
対してリリャーは一言だけ呟くと、また一口、二口とパイに齧りつく。半分くらいまで食べ進めると、静かに涙ぐんでいた。まるで遠い昔に思いを馳せているようで、その時の光景が頭の中に鮮明に見えてきた。
ふと辺りには、また薫りが舞い上がる様に伝わりだした。今度は甘くて良い匂いがしきた。
周りの人達も、鼻をひくひくと動かす。
リリャーも匂いを嗅いだ途端に、生唾を飲み込む。さらには、徐に椅子から立ち上がろうとして蹌踉いてしまい、近くにいる村人に支えられて、再び座り直している。
「…はい。…リリャーさん。」
そこへサーラが近づいてきて、アップルパイを乗せた皿を手渡した。
「あ、ありがとう。…」
とリリャーは受けとると、まじまじと見つめ、一口齧った。すると次の瞬間には、両目を見開きながら驚いている。
パイは、さくりと歯切れが良くて、ホロリと崩れてしまう。皮の一部がカリカリして食感が楽しい。また続け様に咀嚼していくと、程よい甘さとりんごの酸味が口一杯に広がり、次第に香ばしい匂いや、りんごの香りが満ちていった。甘過ぎず酸っぱ過ぎず、爽やかで上品な味わいだった。
「どうだい?…リリャー。」
とアニタが聞いてきた。
「うん。…おいしい、…マリーお婆さんのと、殆ど変わらないわ。」
対してリリャーは一言だけ呟くと、また一口、二口とパイに齧りつく。半分くらいまで食べ進めると、静かに涙ぐんでいた。まるで遠い昔に思いを馳せているようで、その時の光景が頭の中に鮮明に見えてきた。
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