～前世の知識を持つ少女、サーラの料理譚～

第５話 ポテトオムレツ

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　そうして森が静かになった。
　サーラはタイミングを見計らいながら、急いで木を降りていき、再び川を目指して走っていく。
　暫くして、真向かいの藪を越えた先に、アニタ達や親方を含むハンター達の姿があった。
　「皆、大丈夫！！？」とサーラは見つけると、一目散に駆け寄る。
　「おぉ！…サーラ、来たか！…悪いが急いで村まで一走り行って、ばあ様達に病人がいるって知らせてくれ！！」
　と親方も気がつくと、語りかけてきた。
　サーラも視線を動かすと、アニタに背負われた女性の姿を確認する。
　その女性、ーーリリャーは青白い顔色で、憔悴している様子だった。今にも力尽きてしまいそうである。
　アニタも、パニック寸前の状態だった。オロオロとしていて、冷静な判断も出来そうにない。
　サーラは意図を汲み取り、踵を返すと村への道を目指して全速力で走り出す。もはや無我夢中であった。必死に獣道を突き進み、山を下り続けて、抜けて行った。
　やがて村の門まで辿り着く。
　もはやサーラは疲労で足取りが重い。だが決して止まろうとせずに、さらに進みつづけたのだった。