~前世の知識を持つ少女、サーラの料理譚~

あおいろ

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4話 野菜のポトフ

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 辺りに微妙な空気が漂いだす。
 サーラも目を左右に泳がせて、戸惑っている。やや理解が追い付いていないようだった。
 その目の前ではアニタが立ったまま、明らかに顔色を青くしながら、肩を落としている様子があった。
 「えぇっと、……」とサーラは気がつくと、身振り手振りを交えながらも、しどろもどろに話しかけようとする。
 「…ごめん。…もう一回、今度はちゃんとやるよ。」
 しかし、それでもアニタは遮る様に喋りだす。すかさず落ちた食材や調理器具を拾い上げると、まな板の上に急いでカボチャや他の野菜を並べていく。さらに再び包丁を力一杯に握りしめて、ゆっくりと力を入れながら具材を切っていく。
 ガン!!ガッシャーン!!
 だが結果的に、先程と同じ光景が繰り返されていた。カボチャは不格好で不定形に両断されるも、欠片の一部が飛び散り、床に落ちたりしてしまう。
 「えぇぇ………。」
 とサーラは呆然としながらも、ずっと成り行きを見守っている。顔には大量の冷や汗が流れており、若干だが引いていた。
 「うぅぅ……。」
 やがてアニタは視線に耐えきれなくなり、苦悶の表情を浮かべて膝から崩れ落ちた。
 同じ様に包丁も、音を立てて床に落ちていている。
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