~前世の知識を持つ少女、サーラの料理譚~

あおいろ

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幕話1 山林の猪

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 翌日。ーー
 冴え渡った早朝の空は、雲一つなく青く澄みきっている。
 此処は村近くの小山。山道へ向かう入り口のすぐ側にある林の中で、鬱蒼とした茂みの生え、清らかだが水流れが速い河の畔である。
 そこで、村の大勢のハンター達が集まっていた。
 彼らは散り散りに周囲の様子を見渡したり、藪を掻き分けて山狩りを行っている。
 「おい、皆来てくれ!」
 とロンドも川沿いを上流に向かって歩いていたら、大きな声をあげて、辺りに呼び掛けた。
 すぐに近場の仲間達が集結してきて、「どうした?」や「なんだ、なんだ?…」と口々に呟く。
 ふと誰かが側で「親方」と呼ぶ声も、聞こえてきた。
 すると人の間を押し退けて、誰かがやってきた。
 厳つい顔と顎髭が特徴的な、大柄で鎧姿の中年男性である。
 「あぁ、親方。こっちの水辺にあったよ。…」と、ロンドが振り向き様に、川辺の縁を指で指し示した。
 「見つけたのか?…どれどれ?」 
 と親方も前のめりの体勢で覗きこむ。
 同じく周囲にいる他のハンター達も、視線を向けだした。
 そこには、大きな獣の足跡があった。まだ新しく、形がハッキリと見て取れる。
 この場にいる誰もが猪の足跡だ、と解ったのだった。
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