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1話 芋餅

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 そのまま、彼女は自宅の裏手まで移動する。目的の物置小屋へと辿り着いたら、全体を眺めだした。
 その物置小屋は、民家に最初から備え付けられた代物である。高さと幅と奥行きは全て2メートル程度しかなく、幾つもの板を釘で打ち付けて、ただ組み立てただけの簡単な造りをしている。またほぼ同様の年期が経っており、外観は蔦が生い茂り、長年に渡って使った形跡はないが、ーー
 小屋の扉が僅かに開いており、中からは微かに聞き取り難いが、「エ…、エ、」という妙な音もしているようだった。
 「んん?…んんん?」
 サーラはより目を凝らして確認する。扉越しからだと、中は薄暗くてハッキリしない。だが床の上で、何かが蠢いているようだと気がつく。更に近くまで寄って、視線を下に向けてみたら、
 「………え?……………えぇぇぇ!!?」
 と驚いて、かなりの大声をあげていた。
 すると同時に、ケリーもやってくる。ドタドタ走って荒くなった息を整えながら、怯えながらも小屋の中を覗き込むと、同じ様な反応をして大声をあげた。
 彼女達の叫びが、辺りに響き渡る。何事かと、近所中の人々が表に出てきてしまう程だった。
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