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白の章
白十二話【本編ネタバレ有り】
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スターチス王の執務室には大きな地図が壁に掛けてあった。その地図は端をノックすると古い地図を見ることができた。エーデルは三時のお茶を執務室に運び、王に顔を見せた。王は休息するように、昔の地図を眺めていた。
エーデルはこの地図が王のお気に入りであることを知っていた。
「お茶が入りましたよ」
「ありがとう、エーデル」
スターチス王はにこやかにお茶を受け取った。ティーカップはフェネル製で、上品な星形の白い小花の模様が描かれ、透き通ったお茶はジャスミン茶だった。王は美味しそうに喉を潤した。
「昔の青年王は領土は広かったようですね」
エーデルは二千年前の地図を見てスターチス王に言った。王はお気に入りの話を語るように、言った。
「シエララント、チェルロット、カーレインがアーサ様が所有していた城です。そこで交替で宮廷を持っていました。この辺り一帯の町は何か困りごとがあればアーサ様の宮廷に相談しに行き、その範囲は広くてセラムやキール村まで影響力がありました。
また西大陸の盟主だったので、遠い国から助けを求める城主やご婦人もいました。そういう方には、城に集まった騎士がアーサ様の代わりにその土地へ行って問題を解決しました。アーサ様もクラムディアのさくらんぼがお好きだったようです」
「スターチス王家では、王様が夢使いでアリスを現した時、古の青年王が姿を現すと言われているのですよね? 青年王にお会いできるかもしれませんね」
「そうですね。エーデルが手伝ってくれたらそれが可能かも知れませんね。それと夢使いで現れた私の夢の少女の助けも必要ですが」
「アーサ様に会えたら良いですね」
「そうですね。ぜひマヨルのお茶をおもてなししたいですね」
スターチス王はにっこり笑った。
「夢使いは、チェスの時初めて行うのですか?」
「ええ。アリスを呼ぶのは用意ができた時にしようと思っています。夢で遠い所を見るのは、西大陸の王ならたまにすることです。気分転換だったり、遠い国の事件の様子を見たりします。アーサ・クエスト・スターチスのクエストは、夢使いでアリスを呼ぶ王に付けられる名前です」
エーデルはこの地図が王のお気に入りであることを知っていた。
「お茶が入りましたよ」
「ありがとう、エーデル」
スターチス王はにこやかにお茶を受け取った。ティーカップはフェネル製で、上品な星形の白い小花の模様が描かれ、透き通ったお茶はジャスミン茶だった。王は美味しそうに喉を潤した。
「昔の青年王は領土は広かったようですね」
エーデルは二千年前の地図を見てスターチス王に言った。王はお気に入りの話を語るように、言った。
「シエララント、チェルロット、カーレインがアーサ様が所有していた城です。そこで交替で宮廷を持っていました。この辺り一帯の町は何か困りごとがあればアーサ様の宮廷に相談しに行き、その範囲は広くてセラムやキール村まで影響力がありました。
また西大陸の盟主だったので、遠い国から助けを求める城主やご婦人もいました。そういう方には、城に集まった騎士がアーサ様の代わりにその土地へ行って問題を解決しました。アーサ様もクラムディアのさくらんぼがお好きだったようです」
「スターチス王家では、王様が夢使いでアリスを現した時、古の青年王が姿を現すと言われているのですよね? 青年王にお会いできるかもしれませんね」
「そうですね。エーデルが手伝ってくれたらそれが可能かも知れませんね。それと夢使いで現れた私の夢の少女の助けも必要ですが」
「アーサ様に会えたら良いですね」
「そうですね。ぜひマヨルのお茶をおもてなししたいですね」
スターチス王はにっこり笑った。
「夢使いは、チェスの時初めて行うのですか?」
「ええ。アリスを呼ぶのは用意ができた時にしようと思っています。夢で遠い所を見るのは、西大陸の王ならたまにすることです。気分転換だったり、遠い国の事件の様子を見たりします。アーサ・クエスト・スターチスのクエストは、夢使いでアリスを呼ぶ王に付けられる名前です」
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