27 / 50
白の章
白十話
しおりを挟む
夜、王の部屋でエーデルは王に尋ねた。
「スターチス王家の王ならば、青年王のように西大陸の盟主になりたいと思ったことはありますか?」
エーデルの問いにスターチス王は穏やかに答えた。
「今はそれぞれの国や町が力を付けて均衡を保っています。小さな小競り合いはあっても、皆がその均衡を変えたくないと大事にしています。昔とは時代が違います。昔は相手の国を大切にしなかったのでしょう。今はそれぞれの国や町の産業をお互い尊重する気風ができているようです。
直轄領も独立した町と契約を結んで会計を国でやっているだけです。だから町の人が大国と結び付きたいと思ったら、契約で直轄領になることも自由にできます。デンファーレがやっているのは、お金を使って町の人たちに直轄領になったり同盟都市になったりすることを有利なことだと勧めているのです。
でも直轄領が増えた所で国が大きくなるとは限りません。それぞれの国は独立しているので、奴隷が増えるわけではありません。デンファーレがやりたいことは、多分、広い範囲の経済圏を持ちたいのだと思っています。商業に敏感で、お金を増やすことに長けている王だと思います」
「隣国として嫌ではないのですか?」
エーデルはスターチス王とデンファーレ王の不思議な関係を理解しようとした。スターチス王は真面目に答えた。
「デンファーレは他の国を吸収合併するような野心は持っていないでしょう。私は町のことは町の人が決めることだと思っています。それに国が大きくなり過ぎると、結局町が独立していくというのが西大陸の歴史です」
王の視点は穏やかだった。しかし楽観ではなく注意深く隣国を見ている様子が窺えた。王は珍しく悪戯っぽく笑った。
「今、デンファーレ王は王女アキレスとお付き合いしているでしょう。彼女は硬骨の人だという話です。とても相性がいいのでしょうね」
「そういうものなのですか?」
エーデルはその話は知っていた。とても意外であった。王は頷いた。
「そういうものですよ、エーデル」
「スターチス王家の王ならば、青年王のように西大陸の盟主になりたいと思ったことはありますか?」
エーデルの問いにスターチス王は穏やかに答えた。
「今はそれぞれの国や町が力を付けて均衡を保っています。小さな小競り合いはあっても、皆がその均衡を変えたくないと大事にしています。昔とは時代が違います。昔は相手の国を大切にしなかったのでしょう。今はそれぞれの国や町の産業をお互い尊重する気風ができているようです。
直轄領も独立した町と契約を結んで会計を国でやっているだけです。だから町の人が大国と結び付きたいと思ったら、契約で直轄領になることも自由にできます。デンファーレがやっているのは、お金を使って町の人たちに直轄領になったり同盟都市になったりすることを有利なことだと勧めているのです。
でも直轄領が増えた所で国が大きくなるとは限りません。それぞれの国は独立しているので、奴隷が増えるわけではありません。デンファーレがやりたいことは、多分、広い範囲の経済圏を持ちたいのだと思っています。商業に敏感で、お金を増やすことに長けている王だと思います」
「隣国として嫌ではないのですか?」
エーデルはスターチス王とデンファーレ王の不思議な関係を理解しようとした。スターチス王は真面目に答えた。
「デンファーレは他の国を吸収合併するような野心は持っていないでしょう。私は町のことは町の人が決めることだと思っています。それに国が大きくなり過ぎると、結局町が独立していくというのが西大陸の歴史です」
王の視点は穏やかだった。しかし楽観ではなく注意深く隣国を見ている様子が窺えた。王は珍しく悪戯っぽく笑った。
「今、デンファーレ王は王女アキレスとお付き合いしているでしょう。彼女は硬骨の人だという話です。とても相性がいいのでしょうね」
「そういうものなのですか?」
エーデルはその話は知っていた。とても意外であった。王は頷いた。
「そういうものですよ、エーデル」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
【R18】偽りの騎士〜鎧の下の身体〜
サディスティックヘヴン
ファンタジー
聖堂騎士団に所属するブラッドは同室の分隊長シルバーの正体が、実は女であることを知ってしまった。
常々シルバーの活躍に嫉妬し、恨みを抱いていたブラッドは、その秘密を盾にし、シルバーを無理やり犯したのだった。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結・R18】下々を玩具にした姫の末路
ハリエニシダ・レン
ファンタジー
身分が高い者は何をしてもいいと、やりたい放題やってきた高慢なお姫様。クーデターが起きて、王家に怨みを持つ兵士達に肉体的にも精神的にも滅茶苦茶にされてしまいます。
1〜3話は陵辱→気持ちよくなっちゃう
4話はそれ+百合テイストで、最初から気持ちよくなってる
話です。
※かなりガチな陵辱なのでご注意ください。
◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
完結済みの「姫様に玩具にされたメイドと騎士」のif です。ちょっと力を入れ過ぎたのでこちらに隔離してあります。
以下を知ってれば本編読んでなくてもエロを楽しむ分には支障ありません。
解説: ミリアとリチャードは、本編にて姫様の退屈しのぎに姫様の目の前でエッチさせられてたメイドと騎士です。
本編を読んだ方への解説: 二人がまだ姫様のオモチャだった頃に起きた話です。
※初期から何度も修正入れてたら、とうとう一話が一万文字近くなりました。流石に一気には読みにくそうなので分割しました。
◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
騎士団長の欲望に今日も犯される
シェルビビ
恋愛
ロレッタは小さい時から前世の記憶がある。元々伯爵令嬢だったが両親が投資話で大失敗し、没落してしまったため今は平民。前世の知識を使ってお金持ちになった結果、一家離散してしまったため前世の知識を使うことをしないと決意した。
就職先は騎士団内の治癒師でいい環境だったが、ルキウスが男に襲われそうになっている時に助けた結果纏わりつかれてうんざりする日々。
ある日、お地蔵様にお願いをした結果ルキウスが全裸に見えてしまった。
しかし、二日目にルキウスが分身して周囲から見えない分身にエッチな事をされる日々が始まった。
無視すればいつかは収まると思っていたが、分身は見えていないと分かると行動が大胆になっていく。
文章を付け足しています。すいません
【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。
雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。
——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない)
※完結直後のものです。
愛娘(JS5)とのエッチな習慣に俺の我慢は限界
レディX
恋愛
娘の美奈は(JS5)本当に可愛い。そしてファザコンだと思う。
毎朝毎晩のトイレに一緒に入り、
お風呂の後には乾燥肌の娘の体に保湿クリームを塗ってあげる。特にお尻とお股には念入りに。ここ最近はバックからお尻の肉を鷲掴みにしてお尻の穴もオマンコの穴もオシッコ穴も丸見えにして閉じたり開いたり。
そうしてたらお股からクチュクチュ水音がするようになってきた。
お風呂上がりのいい匂いと共にさっきしたばかりのオシッコの匂い、そこに別の濃厚な匂いが漂うようになってきている。
でも俺は娘にイタズラしまくってるくせに最後の一線だけは超えない事を自分に誓っていた。
でも大丈夫かなぁ。頑張れ、俺の理性。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる