78 / 93
病魔の果てに
感謝
しおりを挟む
「十月二十三日、午後四時十五分。宮川さくらさんの、死亡を確認しました」
貞江は、最後まで勤めを果たした。
信川村の住民全てが集まる中で、貞江が一番冷静であった。
貞江は、死亡宣告をする際、個人を尊重しフルネームを告げる。
それに呼応して、診療所のあちこちから、すすり泣く声が聞こえる。
住人達は皆、死を受け入れたつもりだった。しかし、さくらの死だけは、受け入れ難かった。
死亡を告げられてから、僅かに時間が経過する。誰もが俯く中、ギイとガアが立ち上がる。
そして、詰め掛けていた住人達を掻き分けるようにして、ギイとガアは病室を飛び出した。
五分も経たずに、ギイとガアは戻ってきた。彼らの手に有ったのは、日本酒の一升瓶であった。
そしてギイとガアは、住人達に日本酒を差し出す。
「ないてうの、ばあちゃかなしむ」
「ばあちゃ、たびだちゅの、おくりゅ」
悲しんでるだけじゃ、安心して眠ってもらう事は出来ない。
自分達は大丈夫、そう伝えなきゃいけない。
それは奇しくもギイとガアが、三笠の死に直面した際、さくらから学んだ事であった。
日本酒を差し出し、涙をボロボロ流しながら、ギイ達は笑顔を作ろうとする。
そんな彼らを見れば、いつまでも悲しんでなど居られまい。
ギイ、ガア、クミルが、どれだけ奮闘したか、知っている。
引っ張られる様に、自分達に何が出来るかを考えた。
同時に羨ましくもあった。
これだけ多くに支えられて旅立てるなら、人生は捨てたもんじゃないと思えた。
さくらが、何の為に生にしがみつこうとしたのかを、誰もが知っている。
寿命だから仕方ない。それをさくらは、覆して見せた。
真似など出来る気がしない。
しかし年老いて尚、抗う事の大切さを教えてもらった。
人生なんて、必要とされてる内が花さ!
格好つけてないで、足掻きなよ!
そんな声が聞こえる気がした。
崩れ落ちる様にして、涙を流していた孝則が立ち上がり、ギイとガアの頭を乱暴に撫でる。
「お前達の言う通りだ。さくらを盛大に送り出してやらねぇとな。おい、みんな! 祭りの準備だ! 村の大恩人が、旅立つんだ! しっかりと、祝ってやろうぜ!」
皆の瞳からは、涙が止まらない。
しかし、別れの儀式を準備するために、動き出した。
葬儀の準備は、着々と進められていく。夜になり、さくらの親族が到着する。
そして通夜に代わる、宴会が行われた。
宴席で、息子の宮川敏久を筆頭に、親族は一人一人に頭を下げた。
「母がお世話になりました。ありがとうございます」
親族が、親の死に目に会わないなんてと、非難する者はいない。
さくらなら、自分より仕事を優先しろと、言うはずだから。
それでも、仕事を切り上げて、葬儀に間に合う様に駆けつけたのだ。
充分であろう。
最後に親族は、クミル、ギイ、ガアに深々と頭を下げた。
「クミルさん。母の面倒を見てくれて、ありがとうございます。母から、貴方の事は聞いております。良かったら、あの家はそのまま使って下さい。母が喜ぶはずですから」
「あ、あの。わたし、なにも、できなかった。さくらさん、ちからに、なれなかった」
「何を仰います。あなたは誠心誠意、母の看病をして下さいました。ありがとうございます」
そう言って深く頭を下げる敏久に、クミルは返す言葉を持たなかった。
続いて敏久は、ギイとガアにも話しかける。
「ギイさん、ガアさん。あなた達のおかげで、母は笑顔で旅立つ事が出来ます。ありがとうございます」
「ばあちゃ、しやぁせ?」
「ばあちゃ、ねむえう?」
種族の壁を越え、声帯を変化させてまで、日本語を話せるまでに至った。
口から出る言葉は、子供の様に拙い。しかし気持ちは、これ以上もないほどに伝わる。
「母をばあちゃと呼んでくれるんですね。なら、私はあなた方の父です。あなた方が幸せに暮らせる為に、私と妻、そして息子が尽力します」
「チチ?」
「ハハ?」
「そうです。これから、あなた達は私達の息子です。遠慮なく何でも言って下さい」
「ありやと、おああいあす」
「ありやと、おやいやす」
敏久はギイ達に笑顔を向けると、再びクミルの方へ体を向けた。
「あなたの事情は、色々と聞いております。クミルさん。準備が整ったら、あなたと養子縁組をさせて頂こうと考えております」
その言葉と共に、クミルの中へ、敏久の感情が薄っすらと流れ込んでいく。
敏久から感じたのは、亡き母の願い。
そう、死の淵にあっても、さくらは自分達の事を心配してくれていた。
この村には、隆を除いて老人しかいない。
隆は、容体がよくなれば、元の生活へ戻るだろう。
だが、クミルは違う。日本人でも、就労ビザを持った正式な渡航者でもない。
そんな曖昧な存在であるクミルは、老人達を全て見送った後、独りになる。
記録上、信川村の住人は、存在しない事になる。
その時、不法入国者であるクミルは、どうなるのだろうか。
ゴブリンの寿命を考えれば、その頃にはギイ達も居ないはずだ。
その事を考え、さくらは手を回していた。
さくらの想いと、それを叶えようとする敏久の想いを感じ、クミルの瞳から涙が零れた。
☆ ☆ ☆
一方、独り診療所に残り、片付けをしていた者がいた。
遺体の処置を終えた貞江は、さくらに改築して貰った診療所で、さくらが用意してくれた設備を、静かに点検していた。
誰よりも悔しい思いをしていたのは、貞江ではなかろうか。
医者だから、泣いてはいけないと思っていた。
最後まで、全力を尽くそうと思っていた。
絶対に助けると、約束した。
運命を捻じ曲げても、笑顔にしようと決めた。
でも、救えなかった。結局、何一つ出来なかった。
情けなさだけが残った。
後、どれだけ頑張ったら、救えただろうか。
他に、どんな知識が有れば、良かったんだろうか。
どんな設備を揃えておけば、良かったんだろうか。
どんな、どんな、どんな……。
こうやって、大切な命が、零れ落ちていく。
「さくらさん。ありがとうなんて、言わないで。私、駄目だったのよ」
それが精一杯の言葉だった。
「そんな事は有りません。貴女がいたから、我々は母と別れが出来たんです。貴女の様な方が、母の主治医で良かった」
それは、あり得ないはずの言葉だった。
今頃は、さくらを送る為の宴会に、参加しているはずなのだ。
「宮川さん……、どうしてここに?」
「旦那さんに、聞きました。貴女は多分ここだろうと」
「何をしに?」
口にした瞬間、意味の無い問いかけをした事に、貞江は気がついた。
開口一番に、お礼を言って下さった。それ以上、何の意味が有る?
わざわざ探しに来て、不満を仰る方ではないはずだ。
貞江の様子を見て察したのか、敏久は柔らかな表情を作ると、深々と頭を下げる。
「母の事、ありがとうございます」
貞江にとってそれは、聞きたくない言葉だった。
己の無力を感じ、矮小さを思い知らせていたのだ。感謝の言葉は不要だ。
しかし、敏久は言葉を続ける。
「これからも私の子供達を、よろしくお願いします」
貞江は、言葉の意味を直に理解出来なかった。僅かな時間、呆けていた。
やがて、さくらと敏久のやり取りを、思い出す。
貞江は、あの場所にいて、話しを聞いていたのだから。
「子供達って、ギイちゃんと、ガアちゃん……」
「ええ。クミルは、正式に養子として、迎えます。私の後継者として、頑張って貰うつもりです。ギイとガアは、証が無くても私の子供です」
「そう……ですか……」
「先生には引き続き、あの子達の主治医として、腕を振るって頂きたい」
「私で、良いんですか?」
「貴女に、お願いしたいんです」
それは貞江を、後悔の渦からすくい上げる言葉だった。
敏久は、貞江の役割を、敢えて明確にした。
診療所に入り、貞江の様子を見た瞬間、その必要が有ると感じたからだ。
仮に、今回の件を悔いた貞江が、引退を決意しても、変わりの医者を探す事は、敏久なら造作も無い。
しかし、信川村において、貞江の変わりが誰に務まるだろうか。
貞江は、まだ必要な人材だ。それに、とても優秀だ。
後継者が育つまで、頑張って欲しい。
形は違えど、やはり親子なのだ。さくらと同じ様に、役割を与えてくれる。
さくらとの約束を、果たす事は出来なかった。
しかし、まだ必要とされるなら、さくらの様に最後まで足掻こう。
貞江は、ゆっくりと首を縦に振る。
そして、敏久は笑顔を浮かべた後、宴席に戻っていった。
☆ ☆ ☆
家では、さくらを取り巻く人々が、顔を合わせてさくらの話題で盛り上がる。
これは、祭りの始まり。
宴会は小一時間程で終わり、それぞれが家に戻っていく。
そして日が開ければ、さくらを送る為、荘厳な儀式の準備へ移る。
貞江は、最後まで勤めを果たした。
信川村の住民全てが集まる中で、貞江が一番冷静であった。
貞江は、死亡宣告をする際、個人を尊重しフルネームを告げる。
それに呼応して、診療所のあちこちから、すすり泣く声が聞こえる。
住人達は皆、死を受け入れたつもりだった。しかし、さくらの死だけは、受け入れ難かった。
死亡を告げられてから、僅かに時間が経過する。誰もが俯く中、ギイとガアが立ち上がる。
そして、詰め掛けていた住人達を掻き分けるようにして、ギイとガアは病室を飛び出した。
五分も経たずに、ギイとガアは戻ってきた。彼らの手に有ったのは、日本酒の一升瓶であった。
そしてギイとガアは、住人達に日本酒を差し出す。
「ないてうの、ばあちゃかなしむ」
「ばあちゃ、たびだちゅの、おくりゅ」
悲しんでるだけじゃ、安心して眠ってもらう事は出来ない。
自分達は大丈夫、そう伝えなきゃいけない。
それは奇しくもギイとガアが、三笠の死に直面した際、さくらから学んだ事であった。
日本酒を差し出し、涙をボロボロ流しながら、ギイ達は笑顔を作ろうとする。
そんな彼らを見れば、いつまでも悲しんでなど居られまい。
ギイ、ガア、クミルが、どれだけ奮闘したか、知っている。
引っ張られる様に、自分達に何が出来るかを考えた。
同時に羨ましくもあった。
これだけ多くに支えられて旅立てるなら、人生は捨てたもんじゃないと思えた。
さくらが、何の為に生にしがみつこうとしたのかを、誰もが知っている。
寿命だから仕方ない。それをさくらは、覆して見せた。
真似など出来る気がしない。
しかし年老いて尚、抗う事の大切さを教えてもらった。
人生なんて、必要とされてる内が花さ!
格好つけてないで、足掻きなよ!
そんな声が聞こえる気がした。
崩れ落ちる様にして、涙を流していた孝則が立ち上がり、ギイとガアの頭を乱暴に撫でる。
「お前達の言う通りだ。さくらを盛大に送り出してやらねぇとな。おい、みんな! 祭りの準備だ! 村の大恩人が、旅立つんだ! しっかりと、祝ってやろうぜ!」
皆の瞳からは、涙が止まらない。
しかし、別れの儀式を準備するために、動き出した。
葬儀の準備は、着々と進められていく。夜になり、さくらの親族が到着する。
そして通夜に代わる、宴会が行われた。
宴席で、息子の宮川敏久を筆頭に、親族は一人一人に頭を下げた。
「母がお世話になりました。ありがとうございます」
親族が、親の死に目に会わないなんてと、非難する者はいない。
さくらなら、自分より仕事を優先しろと、言うはずだから。
それでも、仕事を切り上げて、葬儀に間に合う様に駆けつけたのだ。
充分であろう。
最後に親族は、クミル、ギイ、ガアに深々と頭を下げた。
「クミルさん。母の面倒を見てくれて、ありがとうございます。母から、貴方の事は聞いております。良かったら、あの家はそのまま使って下さい。母が喜ぶはずですから」
「あ、あの。わたし、なにも、できなかった。さくらさん、ちからに、なれなかった」
「何を仰います。あなたは誠心誠意、母の看病をして下さいました。ありがとうございます」
そう言って深く頭を下げる敏久に、クミルは返す言葉を持たなかった。
続いて敏久は、ギイとガアにも話しかける。
「ギイさん、ガアさん。あなた達のおかげで、母は笑顔で旅立つ事が出来ます。ありがとうございます」
「ばあちゃ、しやぁせ?」
「ばあちゃ、ねむえう?」
種族の壁を越え、声帯を変化させてまで、日本語を話せるまでに至った。
口から出る言葉は、子供の様に拙い。しかし気持ちは、これ以上もないほどに伝わる。
「母をばあちゃと呼んでくれるんですね。なら、私はあなた方の父です。あなた方が幸せに暮らせる為に、私と妻、そして息子が尽力します」
「チチ?」
「ハハ?」
「そうです。これから、あなた達は私達の息子です。遠慮なく何でも言って下さい」
「ありやと、おああいあす」
「ありやと、おやいやす」
敏久はギイ達に笑顔を向けると、再びクミルの方へ体を向けた。
「あなたの事情は、色々と聞いております。クミルさん。準備が整ったら、あなたと養子縁組をさせて頂こうと考えております」
その言葉と共に、クミルの中へ、敏久の感情が薄っすらと流れ込んでいく。
敏久から感じたのは、亡き母の願い。
そう、死の淵にあっても、さくらは自分達の事を心配してくれていた。
この村には、隆を除いて老人しかいない。
隆は、容体がよくなれば、元の生活へ戻るだろう。
だが、クミルは違う。日本人でも、就労ビザを持った正式な渡航者でもない。
そんな曖昧な存在であるクミルは、老人達を全て見送った後、独りになる。
記録上、信川村の住人は、存在しない事になる。
その時、不法入国者であるクミルは、どうなるのだろうか。
ゴブリンの寿命を考えれば、その頃にはギイ達も居ないはずだ。
その事を考え、さくらは手を回していた。
さくらの想いと、それを叶えようとする敏久の想いを感じ、クミルの瞳から涙が零れた。
☆ ☆ ☆
一方、独り診療所に残り、片付けをしていた者がいた。
遺体の処置を終えた貞江は、さくらに改築して貰った診療所で、さくらが用意してくれた設備を、静かに点検していた。
誰よりも悔しい思いをしていたのは、貞江ではなかろうか。
医者だから、泣いてはいけないと思っていた。
最後まで、全力を尽くそうと思っていた。
絶対に助けると、約束した。
運命を捻じ曲げても、笑顔にしようと決めた。
でも、救えなかった。結局、何一つ出来なかった。
情けなさだけが残った。
後、どれだけ頑張ったら、救えただろうか。
他に、どんな知識が有れば、良かったんだろうか。
どんな設備を揃えておけば、良かったんだろうか。
どんな、どんな、どんな……。
こうやって、大切な命が、零れ落ちていく。
「さくらさん。ありがとうなんて、言わないで。私、駄目だったのよ」
それが精一杯の言葉だった。
「そんな事は有りません。貴女がいたから、我々は母と別れが出来たんです。貴女の様な方が、母の主治医で良かった」
それは、あり得ないはずの言葉だった。
今頃は、さくらを送る為の宴会に、参加しているはずなのだ。
「宮川さん……、どうしてここに?」
「旦那さんに、聞きました。貴女は多分ここだろうと」
「何をしに?」
口にした瞬間、意味の無い問いかけをした事に、貞江は気がついた。
開口一番に、お礼を言って下さった。それ以上、何の意味が有る?
わざわざ探しに来て、不満を仰る方ではないはずだ。
貞江の様子を見て察したのか、敏久は柔らかな表情を作ると、深々と頭を下げる。
「母の事、ありがとうございます」
貞江にとってそれは、聞きたくない言葉だった。
己の無力を感じ、矮小さを思い知らせていたのだ。感謝の言葉は不要だ。
しかし、敏久は言葉を続ける。
「これからも私の子供達を、よろしくお願いします」
貞江は、言葉の意味を直に理解出来なかった。僅かな時間、呆けていた。
やがて、さくらと敏久のやり取りを、思い出す。
貞江は、あの場所にいて、話しを聞いていたのだから。
「子供達って、ギイちゃんと、ガアちゃん……」
「ええ。クミルは、正式に養子として、迎えます。私の後継者として、頑張って貰うつもりです。ギイとガアは、証が無くても私の子供です」
「そう……ですか……」
「先生には引き続き、あの子達の主治医として、腕を振るって頂きたい」
「私で、良いんですか?」
「貴女に、お願いしたいんです」
それは貞江を、後悔の渦からすくい上げる言葉だった。
敏久は、貞江の役割を、敢えて明確にした。
診療所に入り、貞江の様子を見た瞬間、その必要が有ると感じたからだ。
仮に、今回の件を悔いた貞江が、引退を決意しても、変わりの医者を探す事は、敏久なら造作も無い。
しかし、信川村において、貞江の変わりが誰に務まるだろうか。
貞江は、まだ必要な人材だ。それに、とても優秀だ。
後継者が育つまで、頑張って欲しい。
形は違えど、やはり親子なのだ。さくらと同じ様に、役割を与えてくれる。
さくらとの約束を、果たす事は出来なかった。
しかし、まだ必要とされるなら、さくらの様に最後まで足掻こう。
貞江は、ゆっくりと首を縦に振る。
そして、敏久は笑顔を浮かべた後、宴席に戻っていった。
☆ ☆ ☆
家では、さくらを取り巻く人々が、顔を合わせてさくらの話題で盛り上がる。
これは、祭りの始まり。
宴会は小一時間程で終わり、それぞれが家に戻っていく。
そして日が開ければ、さくらを送る為、荘厳な儀式の準備へ移る。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
瞬間、青く燃ゆ
葛城騰成
ライト文芸
ストーカーに刺殺され、最愛の彼女である相場夏南(あいばかなん)を失った春野律(はるのりつ)は、彼女の死を境に、他人の感情が顔の周りに色となって見える病、色視症(しきししょう)を患ってしまう。
時が経ち、夏南の一周忌を二ヶ月後に控えた4月がやって来た。高校三年生に進級した春野の元に、一年生である市川麻友(いちかわまゆ)が訪ねてきた。色視症により、他人の顔が見えないことを悩んでいた春野は、市川の顔が見えることに衝撃を受ける。
どうして? どうして彼女だけ見えるんだ?
狼狽する春野に畳み掛けるように、市川がストーカーの被害に遭っていることを告げる。
春野は、夏南を守れなかったという罪の意識と、市川の顔が見える理由を知りたいという思いから、彼女と関わることを決意する。
やがて、ストーカーの顔色が黒へと至った時、全ての真実が顔を覗かせる。
第5回ライト文芸大賞 青春賞 受賞作

夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました
香木陽灯
恋愛
伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。
これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。
実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。
「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」
「自由……」
もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。
ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。
再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。
ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。
一方の元夫は、財政難に陥っていた。
「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」
元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。
「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」
※ふんわり設定です

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。


【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!
【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語
ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ……
リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。
⭐︎2023.4.24完結⭐︎
※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。
→2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる