妖精さん達と暮らそう 改訂版

東郷 珠

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四大元素の妖精さん

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 皆さんは、四大元素ってご存知でしょうか? 世界を構築する概念である、火・風・水・土、この四つを指して四大元素と言います。

 何でこんな事を言ってるのか? 何故なら存在するんですよ、ちゃんと四種類の妖精さんは。でもね、この妖精さん達は役に立ったり立たなかったりです。当然ながら見た目はとっても可愛いですよ。

 火の妖精さんなら炎がメラメラした様子、水の妖精さんなら流れる水を模した様子、それをデフォルメさせた姿をで、ふわふわと飛び回っています。とっても癒されます。
 癒しパワーは、ゆるキャラなんて目じゃないです。それに、四大元素と言われるだけあって、特化した能力を持つこの子達は、物凄く力が強いんです。

 例えば火の妖精さんです。火と言えば、熱く燃え盛るイメージをすると思います。実際に火の妖精さんは、ひたすら燃やす事に情熱を傾け、消す事なんか考えて居ません。一歩間違えれば放火魔確定です。ブタ箱入りです。

「ねぇ、ちょっと暑いよ。少し抑えてくれない?」

 そんな事を言った日には、燃やすジャンキーな火の妖精は多分グレますね。自棄を起こして、色々燃やし尽くしますよ。私が都内の大規模住宅火災を食い止めている、と言っても過言では無いと思います。

 そもそも、日常的に火を使う事って有ります? 私の自宅は賃貸アパートで、台所はIHだし、ストーブ禁止だし、お風呂はガスだし。火を使うのは、キャンプ場に行った時くらいです。まぁ、キャンプ自体を私はあんまり行かないですけど。誘ってくれる友達も居ませんし……。
 
 そ、れ、は兎も角! 部屋に一人居てくれるだけで暖かいので、冬は重宝します。ファンヒーター要らずです。
 そんな火の妖精さんの有効的な活躍方法は、他に知りません。誰か他に良い活躍方法が思いついたら、教えてください。是非! 是非!

 火の妖精さんと比べ、活躍度が高いのが水の妖精さんです。この子は凄いです。でも、ちょっとツンデレ気味です。

 皆さん、美味し水を飲みたくなりませんか? 何処だか産地が良く分からない水じゃ無くて、美味しい水を。水の妖精さんが出してくれる水は、と~っても美味しいです。

「何この水、すっごく美味しい!」

 そうやってゴクゴク飲んでると、普段は澄ましている表情が凄く柔らかくなります。それを見た私は嬉しくなって、水の妖精さんを抱きしめたくなります。そしてビチャビチャになります。だってこの妖精さんって水ですし……。

 水は生活のあらゆる場面で使用します。お風呂、おトイレ、洗濯、料理、これが全て水の妖精さんが、出してくれるとしたらどう思います?
 私が払ってる水道料金は、基本料だけですね。エコって言うよりも、へそくりが貯まります。

 一番助かるのは何と言っても、火の妖精さんを静かにさせてくれる事です。「今日は何だか燃やしたい気分!」なんて言ってる火の妖精さんのやる気を、ジュっと消してくれます。
 なので、だいたい何時も部屋の中で、鬼ごっこしてます。勿論、鬼は水の妖精さんです。やっぱりフンって顔しながら、火の妖精さんを追いかけます。

 まぁ何だかんだで二人共、楽しそうなので良いんですけど。見てるだけなら癒されますし。二人の妖精さんが鬼ごっこしてるおかげで、私の部屋は蒸気が充満し、冬でも乾燥しらずです。
 でも夏は困ります! 夏に鬼ごっこされると、部屋の中がサウナになるんですよ。湿気やカビ所の騒ぎじゃ有りませんよ!

 そんな時に活躍するのが、偉い子その二の風の妖精さんです。窓さえ開けておけば、蒸し暑い蒸気を外に出して、涼しい風を室内に入れてくれるんです。まさに天然エアコンです。きっとマイナスイオンとか、沢山出してるんじゃないでしょうか?

 風の妖精さんの活躍は、その位かな? でも、部屋の温度管理に大活躍な風の妖精さんのおかげで、電気代は大幅な節約になっています。ありがとう、風の妖精さん。

「あんたの部屋って、何時来ても快適よね」
「そうでしょ?」
「エアコンが無いのに不思議よね」
「そ、そうでしょ……」

 ほら、裕子ちゃんのお墨付きです。

 後一人足り無くないって? わかってますよ。土の妖精さんでしょ! 土の妖精さんは、私の自宅内には居ません。むしろ、出禁です。

 当たり前かもしれませんけど、土の妖精は土の中に居るのが幸せみたいです。休みの日に近所の広場に行くと、ヒョコっと土の中から顔を出します。何かするって程では無いんですけど、一緒に遊びます。
 
 そう言えば、この間作った泥団子は宝石みたいに光ってました。裕子ちゃんに見せたら、「良い歳して馬鹿なの?」と言われました。

「そんな事を平気で言うから、裕子ちゃんの所に妖精さんが現れないんだよ」
 
 そんなこんなの四大元素の妖精さん達です。何だよ便利じゃん、文句言うなよって? 甘いですね! 妖精さん達に言う事を聞いて貰うのは、苦労するんですよ。

 絶対に放置をし過ぎてはいけません!

 放置し続けると、火の妖精さんは自棄を起こすし、水の妖精さんはデレが無くなってツンのみになるし、風の妖精さんは気ままに何処か行くし。土の妖精さんだって、二週間程遊びに行かなかったら、広場を全部砂場に変えてましたよ。

 単体で暴れ出したら、大火事に大洪水等。それを人は災害と呼ぶんです。もしタッグを組んで暴れ出したら、アワワ……。そんなの、人間に制御出来る訳が有りません。

 適度に構って、適度に放置。この加減が難しいとだけ言っておきましょう。
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