351 / 415
混乱の東京
348 サイバーコントロール ~能力者の行く末~
しおりを挟む
本来ならば、語るべき事ではないのかもしれない。特に能力者ではない、三島と佐藤には。
だが三島は納得はしまい。それに曖昧にしていても良い事ではない。
威圧感のある三島の鋭い眼光を眺め、ペスカは溜息を零した。
「で。三島のおじさんは、どこまで知ってるの?」
「私が知っているのは、東郷君から受けた報告だけだよ。後は推測だ」
「アルキエルの事も?」
「そうだよ。アルキエル君の場合は論外だけどね。銃弾を受けて傷一つ負わない人間なんて、いやしない」
「ちょっと待って下さい、三島さん。まさか、あの八王子の大災害も、関係してるなんて事は無いですよね」
「いいや、佐藤君。有り得る話しだよ。あれは正しく大災害だ、にも関わらず死者がゼロ。そんな事は有り得るかい? この事件と前後する様に、異能力を持つ人間が現れた。これも有ってはならない事態だ。そうだろ? この世界では起こり得ない事態が発生したなら、こことは違う世界から、何等かの干渉を受けたと考えるしかない」
「それに、この子が関わっていると?」
「あぁ、異界の旅行者との間に生まれた冬也君。また、異界からやって来たペスカ君。この兄妹を中心に事件は展開している。だからこそ聞きたいんだ。私の推測じゃなくて、真実をね。特にこの先、能力者に未来が有るのかをね」
ペスカと冬也は、アルキエルと同質の存在であると、三島は想定していた。
三島は幼い頃の二人を知っている。だからこそ、現在の二人との違いがわかる。若しくは様々な修羅場を乗り越えて来た三島だから、理解が出来る感の様なものかもしれない。
佐藤は、冬也の事を良く知っていた。
暴力団の事務所に単身で乗り込む中学生。そして、組員を全て叩きのめす。こんな事はざらに有った。何度、冬也が起こす事件を揉み消したかわからない。
しかし、ペスカと会ったのは、新宿警察署が初めてであった。それ以降、何度もペスカには驚かされた。インビジブルサイトのトリックを簡単に暴き、麻薬取引増加問題を解決する為の中核となったのだから。
ただのやんちゃ坊主と、頭の良い少女ではない。それは理解しているつもりである。しかし、異世界と言われても、荒唐無稽だとしか言いようがない。尚更、一連の事件の根本に、彼らが関与しているなどと、普通に考えても馬鹿らしいと思うはず。
ペスカ達の事情に疎い佐藤の考えは、ごく一般的であろう。だが、三島は彼らを一連の事件を関連付けた。それは何故なのか。三島の言葉に誘導される様に、佐藤の眼つきも変わっていった。
二人の真剣な表情を受け、ペスカは遼太郎を見やる。しかし、遼太郎はただ黙って頷いた。自分で話せと言わんばかりに。
そしてペスカはゆっくりと語りだす。
「三島のおじさんの言う通り。この世界に有ってはならない能力なんだよ。本当はね、全て消してしまった方が良いの」
以前ペスカは、空、翔一、美咲の三人に、能力の危険性について語った事が有る。
能力とは、劣等感やトラウマの様なマイナスの感情が、邪神ロメリアの植え付けた悪意の種と結び付き、肥大化して発現したものだと。
元を辿れば、能力とは邪神の力なのである。
では、邪神とは何か?
それは、世界を構築するシステムの一つである。
人間に関わらず、亜人や魔獣、動植物に至るまで、生物が生きる上で欲は必須である。しかし、それが過ぎれば、欲望は世界を壊す。そして世界を守る為のシステムとして、邪神が存在する。
邪神は世界に満ちるありとあらゆる悪意を取り込み、力を増していく。そして集めた悪意毎、存在を抹消させられる。
ただこれは、あくまでも異世界ロイスマリアでのケースである。
地球にもこれに似た逸話が存在する。アルマゲドンやラグナロクである。片や善と悪の戦い、片や神々の戦争と内容は異なれど、世界の終末を予期した物語。類似する逸話と、ロイスマリアでの世界の浄化は、似て非なる物だと言えよう。
ただし行動の結果次第では、地球でも終末が訪れる可能性も有るだろう。
ロイスマリアでは、ペスカと冬也を中心に世界中の者達が力を合わせる事で、災厄を退けた。では、地球の場合はどうか。ロイスマリアと全く同じ災厄が起こるとは限らない。しかし、邪神ロメリアの植えた種が成長を続けた場合は、その限りではない。
その種こそが、能力なのである。
事実、三堂は能力を暴走させ、モンスターと化した。これが、能力者が能力を使い続けた場合に起きる、可能性の一つなのだ。
特に深山の能力は、危険である。
例えば深山が能力を使い、多くの人間を支配したとしよう。同時に多くの人間から悪意が集まったとしよう。その場合、深山はどんな変化を遂げるのか。
どれだけ強靭な精神力を持ち合わせていたとしても、数千数万の人間から悪意を集めれば、それに呑まれて狂気する。
深山の狂気は、支配された側にも伝染していくだろう。それは邪神誕生のシステムにも近い状態になる。その結果は語るまでもなかろう。
本来であれば、分不相応な力は取り除いた方が良い。ましてや根源となっているのは、邪神の力なのだから。制御できるならまだしも、制御方法すら知らない者が多いだろう。
能力を便利な力だと簡単に考えてはならない。これは身を滅ぼし、果ては世界を滅ぼしかねない力なのだ。
「そうすると、能力者には未来が無いと言うのかね」
「違うよ、三島のおじさん。能力者としての未来は無いけど、人としての未来はある」
「それは、能力者から能力を消すと言う事かい?」
「そんな面倒な事は、この世界では出来ないよ。強いて言えば全員、私の眷属としてロイスマリアに連れて行くとかかな」
「それは、異世界を危険に晒す事にならないか?」
「そうとも言い切れないよ。ロイスマリアに戻りさえすれば、私が時間をかけて浄化するからね」
「何故、浄化はこの世界では出来ないんだい? 能力者から能力を切り離す事は出来ないのかい?」
「勘違いして欲しくないんだけど、能力はその人のマナと結び付いてるから、簡単には除去出来ないよ。物理的に消去したければ、能力者を殺す事だね」
「随分と物騒な事を言うね。君達の力が有れば可能じゃないのかな?」
「それは、止めた方が良いと思うよ。なにせ、私達が本当の力を使ったら、この世界に影響を及ぼすからね。能力者どころの騒ぎじゃないよ。ラグナロクを起こしたいなら、話しは別だけどさ。私達とこの世界の神々がガチで戦ったら、地球は生物の住めない星になるよ」
質問を続けてきた三島も、流石にペスカの言葉で青ざめた。
ペスカの言葉は、自分達が地球にいる事自体が問題だと言っているのである。その言葉は、アルキエルの戦いぶりで、真実味を帯びているだろう。あれで、力を制限していると言うならば。
ペスカは辛らつに、能力者の殺害を示唆した。それが確実な方法なのだろう。しかしそれならば何故、彼らは力を制限してまで地球で奮闘している。能力者を助ける方法はまだ有るのではないか。
三島は一縷の望みを抱いて、ペスカに質問を続けた。
「他に方法は無いのかな?」
「あるとすれば、空ちゃんと翔一君の例かな。二人はロメリアから与えられた力で、ロメリアに反抗したんだ。その時点で、邪神の制御下からは外れてる。どれだけ能力を鍛えようが、世界に災厄を齎す事はないよ」
「少しややこしいな。それは、自身のコンプレックスを乗り越えて、他者の悪意に晒されても問題ない、強靭な精神力を身に着けろってことかな?」
「う~ん、間違いではないけど。精神論で片づけるのは、凄く難しいよ。重要なのは、己の中に眠る邪神の種を否定する事かな。拒絶と言ってもいいけどさ」
「具体的にはどうすれば良い?」
「そこまではわからないよ。真っ当に努力すれば良いじゃない? 若しくは、能力に頼らないとかね。誰かの為にっていう善意でも良いとは思うけど」
「それは力の根源を、再定義するって事かな? 邪悪な力ではなく、善良な力に変更する様に」
「概ね間違いでは無いよ。これ以上の方法は、自分達で考えてね。考えが纏まらなければ、問答無用で全員ロイスマリアに連れて行くよ」
実際に能力とは、過度な力である事は間違い無いのである。本来この世界に無い力は、消し去った方が良い。消し去る事が出来ないならば、排除すれば良い。引き取り手がいるのだから。
無責任と思われようが、それが一番安全なのだ。
しかし三島は、眉根を寄せて考え込む。何が一番良い方法なのかを。だが簡単に答えは見つからない。
そんな三島を察してか、ペスカは話題を切り替えた。
「ところで三島のおじさん。忙しいのに、わざわざこれを聞く為だけに来たんじゃないよね?」
「あぁ、勿論だとも。君達にお願いしたい事があってね。それと今後の方針も打ち合わせしたいし」
そう語ると、三島はそれまでとは一変する様に、柔らかな視線で周囲を見渡した。
だが三島は納得はしまい。それに曖昧にしていても良い事ではない。
威圧感のある三島の鋭い眼光を眺め、ペスカは溜息を零した。
「で。三島のおじさんは、どこまで知ってるの?」
「私が知っているのは、東郷君から受けた報告だけだよ。後は推測だ」
「アルキエルの事も?」
「そうだよ。アルキエル君の場合は論外だけどね。銃弾を受けて傷一つ負わない人間なんて、いやしない」
「ちょっと待って下さい、三島さん。まさか、あの八王子の大災害も、関係してるなんて事は無いですよね」
「いいや、佐藤君。有り得る話しだよ。あれは正しく大災害だ、にも関わらず死者がゼロ。そんな事は有り得るかい? この事件と前後する様に、異能力を持つ人間が現れた。これも有ってはならない事態だ。そうだろ? この世界では起こり得ない事態が発生したなら、こことは違う世界から、何等かの干渉を受けたと考えるしかない」
「それに、この子が関わっていると?」
「あぁ、異界の旅行者との間に生まれた冬也君。また、異界からやって来たペスカ君。この兄妹を中心に事件は展開している。だからこそ聞きたいんだ。私の推測じゃなくて、真実をね。特にこの先、能力者に未来が有るのかをね」
ペスカと冬也は、アルキエルと同質の存在であると、三島は想定していた。
三島は幼い頃の二人を知っている。だからこそ、現在の二人との違いがわかる。若しくは様々な修羅場を乗り越えて来た三島だから、理解が出来る感の様なものかもしれない。
佐藤は、冬也の事を良く知っていた。
暴力団の事務所に単身で乗り込む中学生。そして、組員を全て叩きのめす。こんな事はざらに有った。何度、冬也が起こす事件を揉み消したかわからない。
しかし、ペスカと会ったのは、新宿警察署が初めてであった。それ以降、何度もペスカには驚かされた。インビジブルサイトのトリックを簡単に暴き、麻薬取引増加問題を解決する為の中核となったのだから。
ただのやんちゃ坊主と、頭の良い少女ではない。それは理解しているつもりである。しかし、異世界と言われても、荒唐無稽だとしか言いようがない。尚更、一連の事件の根本に、彼らが関与しているなどと、普通に考えても馬鹿らしいと思うはず。
ペスカ達の事情に疎い佐藤の考えは、ごく一般的であろう。だが、三島は彼らを一連の事件を関連付けた。それは何故なのか。三島の言葉に誘導される様に、佐藤の眼つきも変わっていった。
二人の真剣な表情を受け、ペスカは遼太郎を見やる。しかし、遼太郎はただ黙って頷いた。自分で話せと言わんばかりに。
そしてペスカはゆっくりと語りだす。
「三島のおじさんの言う通り。この世界に有ってはならない能力なんだよ。本当はね、全て消してしまった方が良いの」
以前ペスカは、空、翔一、美咲の三人に、能力の危険性について語った事が有る。
能力とは、劣等感やトラウマの様なマイナスの感情が、邪神ロメリアの植え付けた悪意の種と結び付き、肥大化して発現したものだと。
元を辿れば、能力とは邪神の力なのである。
では、邪神とは何か?
それは、世界を構築するシステムの一つである。
人間に関わらず、亜人や魔獣、動植物に至るまで、生物が生きる上で欲は必須である。しかし、それが過ぎれば、欲望は世界を壊す。そして世界を守る為のシステムとして、邪神が存在する。
邪神は世界に満ちるありとあらゆる悪意を取り込み、力を増していく。そして集めた悪意毎、存在を抹消させられる。
ただこれは、あくまでも異世界ロイスマリアでのケースである。
地球にもこれに似た逸話が存在する。アルマゲドンやラグナロクである。片や善と悪の戦い、片や神々の戦争と内容は異なれど、世界の終末を予期した物語。類似する逸話と、ロイスマリアでの世界の浄化は、似て非なる物だと言えよう。
ただし行動の結果次第では、地球でも終末が訪れる可能性も有るだろう。
ロイスマリアでは、ペスカと冬也を中心に世界中の者達が力を合わせる事で、災厄を退けた。では、地球の場合はどうか。ロイスマリアと全く同じ災厄が起こるとは限らない。しかし、邪神ロメリアの植えた種が成長を続けた場合は、その限りではない。
その種こそが、能力なのである。
事実、三堂は能力を暴走させ、モンスターと化した。これが、能力者が能力を使い続けた場合に起きる、可能性の一つなのだ。
特に深山の能力は、危険である。
例えば深山が能力を使い、多くの人間を支配したとしよう。同時に多くの人間から悪意が集まったとしよう。その場合、深山はどんな変化を遂げるのか。
どれだけ強靭な精神力を持ち合わせていたとしても、数千数万の人間から悪意を集めれば、それに呑まれて狂気する。
深山の狂気は、支配された側にも伝染していくだろう。それは邪神誕生のシステムにも近い状態になる。その結果は語るまでもなかろう。
本来であれば、分不相応な力は取り除いた方が良い。ましてや根源となっているのは、邪神の力なのだから。制御できるならまだしも、制御方法すら知らない者が多いだろう。
能力を便利な力だと簡単に考えてはならない。これは身を滅ぼし、果ては世界を滅ぼしかねない力なのだ。
「そうすると、能力者には未来が無いと言うのかね」
「違うよ、三島のおじさん。能力者としての未来は無いけど、人としての未来はある」
「それは、能力者から能力を消すと言う事かい?」
「そんな面倒な事は、この世界では出来ないよ。強いて言えば全員、私の眷属としてロイスマリアに連れて行くとかかな」
「それは、異世界を危険に晒す事にならないか?」
「そうとも言い切れないよ。ロイスマリアに戻りさえすれば、私が時間をかけて浄化するからね」
「何故、浄化はこの世界では出来ないんだい? 能力者から能力を切り離す事は出来ないのかい?」
「勘違いして欲しくないんだけど、能力はその人のマナと結び付いてるから、簡単には除去出来ないよ。物理的に消去したければ、能力者を殺す事だね」
「随分と物騒な事を言うね。君達の力が有れば可能じゃないのかな?」
「それは、止めた方が良いと思うよ。なにせ、私達が本当の力を使ったら、この世界に影響を及ぼすからね。能力者どころの騒ぎじゃないよ。ラグナロクを起こしたいなら、話しは別だけどさ。私達とこの世界の神々がガチで戦ったら、地球は生物の住めない星になるよ」
質問を続けてきた三島も、流石にペスカの言葉で青ざめた。
ペスカの言葉は、自分達が地球にいる事自体が問題だと言っているのである。その言葉は、アルキエルの戦いぶりで、真実味を帯びているだろう。あれで、力を制限していると言うならば。
ペスカは辛らつに、能力者の殺害を示唆した。それが確実な方法なのだろう。しかしそれならば何故、彼らは力を制限してまで地球で奮闘している。能力者を助ける方法はまだ有るのではないか。
三島は一縷の望みを抱いて、ペスカに質問を続けた。
「他に方法は無いのかな?」
「あるとすれば、空ちゃんと翔一君の例かな。二人はロメリアから与えられた力で、ロメリアに反抗したんだ。その時点で、邪神の制御下からは外れてる。どれだけ能力を鍛えようが、世界に災厄を齎す事はないよ」
「少しややこしいな。それは、自身のコンプレックスを乗り越えて、他者の悪意に晒されても問題ない、強靭な精神力を身に着けろってことかな?」
「う~ん、間違いではないけど。精神論で片づけるのは、凄く難しいよ。重要なのは、己の中に眠る邪神の種を否定する事かな。拒絶と言ってもいいけどさ」
「具体的にはどうすれば良い?」
「そこまではわからないよ。真っ当に努力すれば良いじゃない? 若しくは、能力に頼らないとかね。誰かの為にっていう善意でも良いとは思うけど」
「それは力の根源を、再定義するって事かな? 邪悪な力ではなく、善良な力に変更する様に」
「概ね間違いでは無いよ。これ以上の方法は、自分達で考えてね。考えが纏まらなければ、問答無用で全員ロイスマリアに連れて行くよ」
実際に能力とは、過度な力である事は間違い無いのである。本来この世界に無い力は、消し去った方が良い。消し去る事が出来ないならば、排除すれば良い。引き取り手がいるのだから。
無責任と思われようが、それが一番安全なのだ。
しかし三島は、眉根を寄せて考え込む。何が一番良い方法なのかを。だが簡単に答えは見つからない。
そんな三島を察してか、ペスカは話題を切り替えた。
「ところで三島のおじさん。忙しいのに、わざわざこれを聞く為だけに来たんじゃないよね?」
「あぁ、勿論だとも。君達にお願いしたい事があってね。それと今後の方針も打ち合わせしたいし」
そう語ると、三島はそれまでとは一変する様に、柔らかな視線で周囲を見渡した。
0
お気に入りに追加
361
あなたにおすすめの小説
奪い取るより奪った後のほうが大変だけど、大丈夫なのかしら
キョウキョウ
恋愛
公爵子息のアルフレッドは、侯爵令嬢である私(エヴリーヌ)を呼び出して婚約破棄を言い渡した。
しかも、すぐに私の妹であるドゥニーズを新たな婚約者として迎え入れる。
妹は、私から婚約相手を奪い取った。
いつものように、妹のドゥニーズは姉である私の持っているものを欲しがってのことだろう。
流石に、婚約者まで奪い取ってくるとは予想外たったけれど。
そういう事情があることを、アルフレッドにちゃんと説明したい。
それなのに私の忠告を疑って、聞き流した。
彼は、後悔することになるだろう。
そして妹も、私から婚約者を奪い取った後始末に追われることになる。
2人は、大丈夫なのかしら。
平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした
カレイ
恋愛
「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」
それが両親の口癖でした。
ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。
ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。
ですから私決めました!
王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
妹の事が好きだと冗談を言った王太子殿下。妹は王太子殿下が欲しいと言っていたし、本当に冗談なの?
田太 優
恋愛
婚約者である王太子殿下から妹のことが好きだったと言われ、婚約破棄を告げられた。
受け入れた私に焦ったのか、王太子殿下は冗談だと言った。
妹は昔から王太子殿下の婚約者になりたいと望んでいた。
今でもまだその気持ちがあるようだし、王太子殿下の言葉を信じていいのだろうか。
…そもそも冗談でも言って良いことと悪いことがある。
だから私は婚約破棄を受け入れた。
それなのに必死になる王太子殿下。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】悪女のなみだ
じじ
恋愛
「カリーナがまたカレンを泣かせてる」
双子の姉妹にも関わらず、私はいつも嫌われる側だった。
カレン、私の妹。
私とよく似た顔立ちなのに、彼女の目尻は優しげに下がり、微笑み一つで天使のようだともてはやされ、涙をこぼせば聖女のようだ崇められた。
一方の私は、切れ長の目でどう見ても性格がきつく見える。にこやかに笑ったつもりでも悪巧みをしていると謗られ、泣くと男を篭絡するつもりか、と非難された。
「ふふ。姉様って本当にかわいそう。気が弱いくせに、顔のせいで悪者になるんだもの。」
私が言い返せないのを知って、馬鹿にしてくる妹をどうすれば良かったのか。
「お前みたいな女が姉だなんてカレンがかわいそうだ」
罵ってくる男達にどう言えば真実が伝わったのか。
本当の自分を誰かに知ってもらおうなんて望みを捨てて、日々淡々と過ごしていた私を救ってくれたのは、あなただった。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる