329 / 415
混乱の東京
327 オールクリエイト ~救出~
しおりを挟む
総本部を出た冬也は、直ぐにタクシーを拾い、聞き出したビルに向かう。ビルまでは、タクシーを拾う時間を合わせても、小一時間で到着した。
既に日は傾きかけ人通りが多くなり始める中、目的のビルには明らかに普通のサラリーマンや、運送業者と思える男性が出入りをしていた。一見すると、普通の賃貸オフィスに思える数階建てのビルは、当たり前の様に複数テナントが入っている。
余程巧妙に所有者名義を隠したのだろう。ビルの所有者が暴力団と知っていれば、普通の企業は敢えて賃貸はしまい。
一般人が出入りする中に隠れて、麻薬製造の拠点を作っているなら、警察にもバレにくいだろう。加えて、今夜までという時間を限定した組長の言葉で、点々と拠点を変えている事を察する事が出来る。またこの様な拠点が幾つも有り、必要に応じて直ぐに移動するなら、流石のマトリでも現場を特定するのは難しいのではないか。
小難しい理屈はわからなくても、慎重に麻薬の出所を隠蔽している事は、流石の冬也にも理解出来た。
一方で冬也には、ある気がかりが有った。それは、能力者の事である。
能力者が暴力団の協力的な存在であれば、暫く動けない様に叩きのめせばいい。問題はその逆であった時である。
強制的に能力を使用させる方法なら、非人道的な行為も平気で行うだろう。闇組織というのは、そういう存在である。傀儡の様に成り果て、ボロボロになり、人間としての尊厳すら保っていない。そんな状況など容易に想像がつく。
能力者がどんな能力を使うのか、どんな人間なのかはわからない。ただ冬也はこの時、危惧した事が現実にならない様に祈っていた。
体は癒せても、心を癒すのは至難を極めるのだから。
ビル内には警備員がいる訳でもなく、入る事は容易かった。そして冬也は、エレベーター近くに有る各階の案内版を眺める。外から見た時と変わらず、案内版に載る企業名には怪しいさを感じない。となれば拠点の場所は一つしかあるまい。冬也はエレベーターに乗り、案内板に社名の記載がない地下を目指した。
ただそう簡単に、拠点へ乗り込む事が出来たら、せっかくの隠蔽が意味を成さなくなる。冬也は地下へのボタンを押すが、不停止の設定でもしているのか反応を示さない。
すぐさま冬也は、非常階段を探して下る。だが地階へ続く扉は、鍵がかかっており開かない。一般企業が入居しているビルの為、強引な行動を慎んでいた冬也であったが、この時ばかりは力づくでノブを回し錠を破壊した。
ガキっと音を立てて、ドアノブが自由になる。冬也が地階の扉を潜ると、扉らしきものは一つしか無い。彼らが拠点としているのは、間違いなくその扉の奥だろう。
ただ、冬也に一抹の不安を与えたのは、入り口に見張りすらいない事であった。
冬也の移動は一時間近くかかっている。仮に総本部壊滅の連絡が入っていたとすれば、逃げるのには充分な時間であったろう。またビル内の出入りを、防犯カメラで監視されていたとすれば、対応する暇も有っただろう。
これまでバレなかった自信か、隠蔽に関する自信か、それとも既に逃走したのか、または組長が嘘の情報を伝えたか。今の冬也が持つ情報は、この場所しかなく、迷っている暇はない。
冬也は勢いをつけて、扉をこじ開けた。扉を開けた瞬間に、広い倉庫らしき部屋の奥には、一人の女性を複数の男が囲んでいる光景が飛び込んでくる。
「当たりかよ」
情報が伝わっていなかったのか、逃げていないのは好都合である。しかし、その女性が重度の薬物依存状態である事は、遠目でも見て取れた。
嫌な予感が当たった。冬也は、想定した現実を目の当たりにして落胆し、少し目を細め深い溜息をついた。
誰かを犠牲にして得られる対価に、どれ程の価値がある。
資本主義と言う名の競争社会の中で、富を得る者と得られない者が存在する事は確かである。しかし、それなりの努力を重ねて来たから、社会の競争に打ち勝った者も多いはずだろう。
人間は生まれながらにして平等、それは認識が誤っている箇所がある。平等なのはその者の肉体や精神であり、金銭面では誕生した瞬間、格差が生じるのだから。
また競うのと蹴落とすのでは、結果が同じでも過程が異なる。競う事で成長するのであって、蹴落とす事で人間は成長はしない。
わかっていても、溜息が出る。これが日本経済を担う一因だとすれば、尚更だろう。
「誰だてめぇ!」
奥にいた男の一人が気が付いた時には、既に冬也は扉の近くには居ない。十メートル以上を一気に駆け抜け、冬也は男達に近寄る。そして、女性を囲んでいた男達に、掌底を加え一斉に昏倒させた。そして、女性に声をかけようとした瞬間、パンっと乾いた音が聞こえた。冬也が振り向くと、スーツを着た男が拳銃を向けていた。
「東郷! てめぇ、なんでこんな場所にいる!」
それは冬也も見た事がある人物だった。かつて冬也が、この組織と抗争した時に若頭と呼ばれ、多くの構成員を率いていた男であった。
「あんた、少し老けたんじゃねぇか? 格下げにでもなったのか?」
「てめぇのせいだろうが! いくら手打ちになったからって、てめぇを恨んでる奴は山ほど居るんだ! ただで帰れると、思うんじゃねぇぞ!」
「それなら、心配いらねぇよ。本部は潰して来たからな。今頃は、警察が入ってる」
「てめぇ!」
スーツの男は声を荒げると、迷う事なく引き金を引く。冬也の居る方角へ、真っ直ぐに銃弾が飛ぶ。今、冬也は女性が座る椅子の近くに立っており、銃弾を避ける訳にはいかない。
冬也は咄嗟に女性を庇う様に立ち、掌底を振い銃弾を逸らす。銃弾は冬也と女性を避け、打ちっ放しのコンクリートに痛々しい痕跡を作る。
それを見たスーツの男は、一瞬にして青ざめた。さもありなん、人間の出来る技とは到底思えない。しかもスーツの男は、入り口近くに居た冬也が、瞬間移動でもしたかの様に移動したのを見ていたのだから。
「何もんだ、てめぇは! あん時といい、今といい。バケモンか!」
「化け物は、ひでぇだろ。人間だよ、一応はな」
「ガキが、調子こいてんじゃねぇぞ!」
「うるせぇよ! 人を道具にして遊んでる、あんた等よりはましだろ!」
スーツの男が精一杯の気勢を上げているのは、手に取る様にわかる。拳銃を頼る事も出来ない状況に、足は震え腰が引けているのだから。
因縁のあるこの男に恐怖を刻もうが、一思いに倒そうが、冬也にとってはどっちでも構わなかった。自分が逃げられない事がわからない程、この男は馬鹿ではあるまい。仮にも、若頭と呼ばれる程の地位にあった男なのだ。
冬也が昏倒させた男達は、現代医学を持ってしても、目を覚ます可能性は低いだろう。仮に目を覚ます事が有っても、半身不随は待逃れまい。スマホのGPSで居場所を探り、警察が到着するのもそう遅くはない。
そして、真に追い詰められた時、人間の本性が現れる。
「なぁ東郷。前回はこっちが見逃してやったんだ。貸しがあんだろ? なぁ、今回はお前が見逃してくれねぇか?」
スーツの男が吐いた言葉は、冬也を唖然とさせた。冬也はかつての抗争をよく覚えている。正に命がけだったのだ。自分の武術が未熟であった自覚はある。幹部衆の事は記憶に無くても、自分を苦しめたこの男の事を忘れるはずがない。
かつての彼なら、この期に及んで見逃せなどと言うはずがない。仇敵とも言える自分に対して頭を下げる姿に、怒りというよりも喪失感に近い感情が、冬也の中に広がっていった。
「なぁ、あんた。何を言ってるか、わかってんのか?」
「わかってる。だから、頭を下げてんだろ」
「ふざけんなよ! 極道には義理がねぇのかよ! 俺はあんたらの頭を、潰したって言ってんだぞ!」
「それでも頼む。俺だってタマぁ惜しい。これが失敗したら、落とし前どころじゃすまねぇんだ」
「だったら、この人が助けてくれって言った時、助けたのかよ! ふざけんじゃねぇぞ! 人をここまでボロボロにしておいて、何が見逃せだ!」
冬也は女性を指さしながら、怒声を上げた。頭を下げれば何でも許されると思うな、涙ながらに訴えれば悪事を見逃されると思うな。自分のしでかした事には、責任を取れ。それは、極道だろうが一般人だろうが、何も変わりはない。
「別にあんたを裁くのは、俺じゃねぇ。この国の法律だ。あんたは、それに従って罪を償え。それが、唯一あんたを救う方法だ」
冬也は吐き捨てる様に言い放つと、スーツの男との距離を詰め、掌底を放ち意識を奪った。そして、ゆっくりと女性の所に向かう。
解放されたにも関わらず、喜びも見せず呆然としている女性の下へ。
既に日は傾きかけ人通りが多くなり始める中、目的のビルには明らかに普通のサラリーマンや、運送業者と思える男性が出入りをしていた。一見すると、普通の賃貸オフィスに思える数階建てのビルは、当たり前の様に複数テナントが入っている。
余程巧妙に所有者名義を隠したのだろう。ビルの所有者が暴力団と知っていれば、普通の企業は敢えて賃貸はしまい。
一般人が出入りする中に隠れて、麻薬製造の拠点を作っているなら、警察にもバレにくいだろう。加えて、今夜までという時間を限定した組長の言葉で、点々と拠点を変えている事を察する事が出来る。またこの様な拠点が幾つも有り、必要に応じて直ぐに移動するなら、流石のマトリでも現場を特定するのは難しいのではないか。
小難しい理屈はわからなくても、慎重に麻薬の出所を隠蔽している事は、流石の冬也にも理解出来た。
一方で冬也には、ある気がかりが有った。それは、能力者の事である。
能力者が暴力団の協力的な存在であれば、暫く動けない様に叩きのめせばいい。問題はその逆であった時である。
強制的に能力を使用させる方法なら、非人道的な行為も平気で行うだろう。闇組織というのは、そういう存在である。傀儡の様に成り果て、ボロボロになり、人間としての尊厳すら保っていない。そんな状況など容易に想像がつく。
能力者がどんな能力を使うのか、どんな人間なのかはわからない。ただ冬也はこの時、危惧した事が現実にならない様に祈っていた。
体は癒せても、心を癒すのは至難を極めるのだから。
ビル内には警備員がいる訳でもなく、入る事は容易かった。そして冬也は、エレベーター近くに有る各階の案内版を眺める。外から見た時と変わらず、案内版に載る企業名には怪しいさを感じない。となれば拠点の場所は一つしかあるまい。冬也はエレベーターに乗り、案内板に社名の記載がない地下を目指した。
ただそう簡単に、拠点へ乗り込む事が出来たら、せっかくの隠蔽が意味を成さなくなる。冬也は地下へのボタンを押すが、不停止の設定でもしているのか反応を示さない。
すぐさま冬也は、非常階段を探して下る。だが地階へ続く扉は、鍵がかかっており開かない。一般企業が入居しているビルの為、強引な行動を慎んでいた冬也であったが、この時ばかりは力づくでノブを回し錠を破壊した。
ガキっと音を立てて、ドアノブが自由になる。冬也が地階の扉を潜ると、扉らしきものは一つしか無い。彼らが拠点としているのは、間違いなくその扉の奥だろう。
ただ、冬也に一抹の不安を与えたのは、入り口に見張りすらいない事であった。
冬也の移動は一時間近くかかっている。仮に総本部壊滅の連絡が入っていたとすれば、逃げるのには充分な時間であったろう。またビル内の出入りを、防犯カメラで監視されていたとすれば、対応する暇も有っただろう。
これまでバレなかった自信か、隠蔽に関する自信か、それとも既に逃走したのか、または組長が嘘の情報を伝えたか。今の冬也が持つ情報は、この場所しかなく、迷っている暇はない。
冬也は勢いをつけて、扉をこじ開けた。扉を開けた瞬間に、広い倉庫らしき部屋の奥には、一人の女性を複数の男が囲んでいる光景が飛び込んでくる。
「当たりかよ」
情報が伝わっていなかったのか、逃げていないのは好都合である。しかし、その女性が重度の薬物依存状態である事は、遠目でも見て取れた。
嫌な予感が当たった。冬也は、想定した現実を目の当たりにして落胆し、少し目を細め深い溜息をついた。
誰かを犠牲にして得られる対価に、どれ程の価値がある。
資本主義と言う名の競争社会の中で、富を得る者と得られない者が存在する事は確かである。しかし、それなりの努力を重ねて来たから、社会の競争に打ち勝った者も多いはずだろう。
人間は生まれながらにして平等、それは認識が誤っている箇所がある。平等なのはその者の肉体や精神であり、金銭面では誕生した瞬間、格差が生じるのだから。
また競うのと蹴落とすのでは、結果が同じでも過程が異なる。競う事で成長するのであって、蹴落とす事で人間は成長はしない。
わかっていても、溜息が出る。これが日本経済を担う一因だとすれば、尚更だろう。
「誰だてめぇ!」
奥にいた男の一人が気が付いた時には、既に冬也は扉の近くには居ない。十メートル以上を一気に駆け抜け、冬也は男達に近寄る。そして、女性を囲んでいた男達に、掌底を加え一斉に昏倒させた。そして、女性に声をかけようとした瞬間、パンっと乾いた音が聞こえた。冬也が振り向くと、スーツを着た男が拳銃を向けていた。
「東郷! てめぇ、なんでこんな場所にいる!」
それは冬也も見た事がある人物だった。かつて冬也が、この組織と抗争した時に若頭と呼ばれ、多くの構成員を率いていた男であった。
「あんた、少し老けたんじゃねぇか? 格下げにでもなったのか?」
「てめぇのせいだろうが! いくら手打ちになったからって、てめぇを恨んでる奴は山ほど居るんだ! ただで帰れると、思うんじゃねぇぞ!」
「それなら、心配いらねぇよ。本部は潰して来たからな。今頃は、警察が入ってる」
「てめぇ!」
スーツの男は声を荒げると、迷う事なく引き金を引く。冬也の居る方角へ、真っ直ぐに銃弾が飛ぶ。今、冬也は女性が座る椅子の近くに立っており、銃弾を避ける訳にはいかない。
冬也は咄嗟に女性を庇う様に立ち、掌底を振い銃弾を逸らす。銃弾は冬也と女性を避け、打ちっ放しのコンクリートに痛々しい痕跡を作る。
それを見たスーツの男は、一瞬にして青ざめた。さもありなん、人間の出来る技とは到底思えない。しかもスーツの男は、入り口近くに居た冬也が、瞬間移動でもしたかの様に移動したのを見ていたのだから。
「何もんだ、てめぇは! あん時といい、今といい。バケモンか!」
「化け物は、ひでぇだろ。人間だよ、一応はな」
「ガキが、調子こいてんじゃねぇぞ!」
「うるせぇよ! 人を道具にして遊んでる、あんた等よりはましだろ!」
スーツの男が精一杯の気勢を上げているのは、手に取る様にわかる。拳銃を頼る事も出来ない状況に、足は震え腰が引けているのだから。
因縁のあるこの男に恐怖を刻もうが、一思いに倒そうが、冬也にとってはどっちでも構わなかった。自分が逃げられない事がわからない程、この男は馬鹿ではあるまい。仮にも、若頭と呼ばれる程の地位にあった男なのだ。
冬也が昏倒させた男達は、現代医学を持ってしても、目を覚ます可能性は低いだろう。仮に目を覚ます事が有っても、半身不随は待逃れまい。スマホのGPSで居場所を探り、警察が到着するのもそう遅くはない。
そして、真に追い詰められた時、人間の本性が現れる。
「なぁ東郷。前回はこっちが見逃してやったんだ。貸しがあんだろ? なぁ、今回はお前が見逃してくれねぇか?」
スーツの男が吐いた言葉は、冬也を唖然とさせた。冬也はかつての抗争をよく覚えている。正に命がけだったのだ。自分の武術が未熟であった自覚はある。幹部衆の事は記憶に無くても、自分を苦しめたこの男の事を忘れるはずがない。
かつての彼なら、この期に及んで見逃せなどと言うはずがない。仇敵とも言える自分に対して頭を下げる姿に、怒りというよりも喪失感に近い感情が、冬也の中に広がっていった。
「なぁ、あんた。何を言ってるか、わかってんのか?」
「わかってる。だから、頭を下げてんだろ」
「ふざけんなよ! 極道には義理がねぇのかよ! 俺はあんたらの頭を、潰したって言ってんだぞ!」
「それでも頼む。俺だってタマぁ惜しい。これが失敗したら、落とし前どころじゃすまねぇんだ」
「だったら、この人が助けてくれって言った時、助けたのかよ! ふざけんじゃねぇぞ! 人をここまでボロボロにしておいて、何が見逃せだ!」
冬也は女性を指さしながら、怒声を上げた。頭を下げれば何でも許されると思うな、涙ながらに訴えれば悪事を見逃されると思うな。自分のしでかした事には、責任を取れ。それは、極道だろうが一般人だろうが、何も変わりはない。
「別にあんたを裁くのは、俺じゃねぇ。この国の法律だ。あんたは、それに従って罪を償え。それが、唯一あんたを救う方法だ」
冬也は吐き捨てる様に言い放つと、スーツの男との距離を詰め、掌底を放ち意識を奪った。そして、ゆっくりと女性の所に向かう。
解放されたにも関わらず、喜びも見せず呆然としている女性の下へ。
0
お気に入りに追加
361
あなたにおすすめの小説
奪い取るより奪った後のほうが大変だけど、大丈夫なのかしら
キョウキョウ
恋愛
公爵子息のアルフレッドは、侯爵令嬢である私(エヴリーヌ)を呼び出して婚約破棄を言い渡した。
しかも、すぐに私の妹であるドゥニーズを新たな婚約者として迎え入れる。
妹は、私から婚約相手を奪い取った。
いつものように、妹のドゥニーズは姉である私の持っているものを欲しがってのことだろう。
流石に、婚約者まで奪い取ってくるとは予想外たったけれど。
そういう事情があることを、アルフレッドにちゃんと説明したい。
それなのに私の忠告を疑って、聞き流した。
彼は、後悔することになるだろう。
そして妹も、私から婚約者を奪い取った後始末に追われることになる。
2人は、大丈夫なのかしら。
平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした
カレイ
恋愛
「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」
それが両親の口癖でした。
ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。
ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。
ですから私決めました!
王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
妹の事が好きだと冗談を言った王太子殿下。妹は王太子殿下が欲しいと言っていたし、本当に冗談なの?
田太 優
恋愛
婚約者である王太子殿下から妹のことが好きだったと言われ、婚約破棄を告げられた。
受け入れた私に焦ったのか、王太子殿下は冗談だと言った。
妹は昔から王太子殿下の婚約者になりたいと望んでいた。
今でもまだその気持ちがあるようだし、王太子殿下の言葉を信じていいのだろうか。
…そもそも冗談でも言って良いことと悪いことがある。
だから私は婚約破棄を受け入れた。
それなのに必死になる王太子殿下。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】悪女のなみだ
じじ
恋愛
「カリーナがまたカレンを泣かせてる」
双子の姉妹にも関わらず、私はいつも嫌われる側だった。
カレン、私の妹。
私とよく似た顔立ちなのに、彼女の目尻は優しげに下がり、微笑み一つで天使のようだともてはやされ、涙をこぼせば聖女のようだ崇められた。
一方の私は、切れ長の目でどう見ても性格がきつく見える。にこやかに笑ったつもりでも悪巧みをしていると謗られ、泣くと男を篭絡するつもりか、と非難された。
「ふふ。姉様って本当にかわいそう。気が弱いくせに、顔のせいで悪者になるんだもの。」
私が言い返せないのを知って、馬鹿にしてくる妹をどうすれば良かったのか。
「お前みたいな女が姉だなんてカレンがかわいそうだ」
罵ってくる男達にどう言えば真実が伝わったのか。
本当の自分を誰かに知ってもらおうなんて望みを捨てて、日々淡々と過ごしていた私を救ってくれたのは、あなただった。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる