妹と歩く、異世界探訪記

東郷 珠

文字の大きさ
上 下
303 / 415
変わりゆく日常

301 ロイスマリア武闘会 ~閉会式とエキシビジョンマッチ~

しおりを挟む
 対戦者の二名が治療室に運ばれる激闘が終わり、大会の優勝はモーリスに決定した。試合会場から二名が運び出された後も、歓声は鳴り止む事は無く、戦いの興奮に観客達は浸っていた。
 決勝戦の後は、二時間ほどの休憩を挟み、閉会式とエキシビジョンマッチが行われる。徐々に観客席からは、昼食の為に席を離れる者が現れる。

 休憩の間は、大会運営による会場設備の点検と、結界の張り直しが行われた。モーリスとエレナは、神の張った結界すらも震わせた。そしてこれから行われるエキシビジョンマッチは、現状での世界最強、冬也の出番となる。
 流石の冬也でも、観客席に影響を及ぼす事は無いだろうと考えつつも、神々は結界の更なる強化にあたる。結界の強化にはペスカとアルキエルも協力をした。なにせ、冬也の神気にまともに対抗出来るのは、この二柱しか存在しないのだから。

「なあ、ペスカ。せっかく俺が手伝ってやってんだからよぉ。俺も参加させろよ」
「馬鹿な事を言ってないで手を動かしてよね、アルキエル」
「いいじゃねぇかよ。モーリスと糞猫が、あれだけの試合をしたんだ。滾ってるのは、冬也だけじゃねぇんだぜ!」
「気持ちはわかるけど駄目だよ。こればっかりは、ミュール様の言う通りだね! モーリスが望むから大会の副賞にしたけどさ、私達とモーリス達じゃ実力差があり過ぎるんだよ。もしここで、あんたとお兄ちゃんが試合したら、この大会自体が白けちゃう。あんたは、毎日お兄ちゃんとガチで戦ってるじゃない。今回は、可愛い弟子に花を持たせてやりなよ」
「仕方ねぇな。なら、ミスラを相手に憂さ晴らしするか!」
「一応、手加減してよね。パパリンの神格は記憶を留める程度のものでしかないし、神気だって残り滓みたいなもんなんだから」
「馬鹿野郎、誰に物を言ってんだ! 奴に神気が有ろうと無かろうと、関係ねぇよ。元は格闘の神なんだ。冬也ほどとはいかなくても、充分楽しめるぜ!」

 アルキエルはニヤリと笑うと、結界は任せたと言わんばかりに会場を後にする。ペスカは少し溜息をつきながら、結界の強化を続けた。
 そして、閉会式の時間が訪れると共に、観客達が席に戻って来る。体の大きさ故に試合が終わり次第、帰国した魔獣達を除き、残った選手達が試合会場へと入場し列を作った。

 ペスカの宣言で、閉会式が始まり各賞の授与が行われる。優勝者のモーリス、準優勝のエレナ、三位のサムウェルが壇上へと上がる。ただ本来ならば、三位で表彰されるはずのレイピアだが、本人の強い希望により、受賞は辞退となった。

 メダルと賞金の授与が、女神フィアーナの手により行われる。恭しく頭を下げ、女神手ずから首にかけれるメダルは、何にも勝る栄誉である。この時ばかりは、受賞者達も誇らしげな表情を浮かべていた。
 そして賞金の授与。今回の受賞者達は、賞金自体に各段の興味を持たない。ただ、一般の民衆にとって、数年は遊んで暮らせる程の破格の賞金である。武術で立身する事を志す者達に、夢を見させるには充分な効果が有るだろう。

 三柱の大地母神が本大会の総評を述べ、選手達に賛辞を贈る。観客達と各地で中継を見ていた者達は、精一杯の拍手で称える。五日間に渡る数々の戦いは、見る者を存分に満足させるものだった。

 そして、三か月の間続いた祭りは、この閉会式と共に幕を閉じる。閉幕が近づくにつれ、寂しさが増してくる。史上最大のイベントは、最後のエキシビジョンマッチを残すのみとなった。

「みんな! 最後にもう一度、選手達に拍手を!」

 ペスカの掛け声で、割れんばかりの拍手と歓声が起こる。歓声に包まれながら、選手達は試合会場を後にした。神々も関係者席に戻り、試合会場は冬也とモーリスの二人になる。

「さぁここからは、優勝者モーリスが最強の神へと挑戦する! 地上最強の力は、果たして最強の神に通じるのか! ここまでの戦いを勝ち抜いたモーリス! その意地を見せる時が来た! 全力で挑め! 全力で道を切り開け! さぁ、お前の意地を見せてみろ! モーリス!」

 哀愁を吹き飛ばすかの様に、ペスカがマイクで煽る。観客席は元より、モニター前の観戦者達も大歓声を上げた。
 決勝戦で、モーリスのマナは神気にまで至った。未だ神気を扱いきれてはいないせいか、モーリスが体内に巡らせたのは神気ではなくマナであった。それでも濃密なマナが、モーリスを包む。その光景に、観客席は更なる盛り上がりを見せた。

「流石だな、モーリスさん。この世界の出身者は、どいつもこいつもすげぇぜ」

 冬也の口から零れた言葉は、真意であろう。だからこそ、冬也の心を滾らせるのだから。

 冬也は普段、特別に神気を抑える事はしない。神気を大地に流す事で、荒廃したタールカールの大地を蘇らせるている。ただ、普段の冬也に対し、怯える者はいない。なぜなら、冬也の神気はとても暖かく穏やかであるから。
 しかし、この時ばかりは違った。膨れ上がるモーリスのマナを受け、冬也は戦いに集中する。冬也の中に闘志が漲る。そして普段は穏やかな神気が、激しく燃え盛る様な神気へと変わった。

 冬也の闘志は周囲を威圧する。例え、結界が張られていたとしても、その威圧に耐えられる者は多くない。観客達は椅子から降り、その場で両膝を突き頭を垂れる。それは、会場外で大型モニターを眺めていた者達も同様であった。

 一番近くで対峙していたモーリスは、冬也の神気に圧倒されていた。自分なりに、強くなった自負があった。だから最強と謳われた冬也との距離が、どの位なのかを確認したかった。

 思い上がっていた。

 モーリスの足は竦む。これ程に遠いのかと実感させられ、心が折られそうになる。思えば師であるアルキエルは、余程手加減をしてくれていたのだろう。
 
「立ってるだけで辛いって所か? これが神と人間の差だよ。でもよ俺とペスカは、そんな差くらい超えて来たぜ。そりゃそうだろ、震えてるだけじゃ今頃はとっくに消滅してる。ただよ、あんたに同じ事が出来ねぇとは思えない、違うか?」

 無茶な事を言っているのは、事実だろう。実際の所、かつて相対した邪神ロメリアの実力は、現在の冬也とは比較にならない。冬也は数多の戦いを経て、更に現在も研鑽を重ねている。これから神気を扱いを学ぼうとするモーリスが、力の差に竦むのも無理はない。 
 
「何してんのよモーリス! あんたの意を汲んで、この試合を実現させたんだよ! ビビッてないで戦いなさい! それにみんな! モーリスを応援してあげて! みんなの勇気を弱っちいモーリスに分けてあげて!」

 スピーカーから聞こえてくるペスカの声に、観客達は目を覚ました様に頭を上げる。

「モーリス! モーリス! モーリス! モーリス! モーリス!」

 ペスカの呼びかけに応える様に、観客席から声が上がり始める。やがて、その掛け声はうねりを上げる様に、会場中に響き渡った。

 自分の名を呼ぶ声が、モーリスの背中を押す、一歩を踏み出させる。モーリスは、両手で力強く自分の頬を叩いた。

 何をしていた。敵わぬ事くらい、最初からわかっていた事だろう。情けない、こんな事くらいで戦意を挫かれ、呆然と立ち尽くすなど、愚の骨頂だ。今までの修行は何だった。今までの試合は何だった。友から何を学んだ。

「冗談じゃない!」

 絶望に対した時、圧倒的な力の前に心が折られた時。いつの時も己を奮い立たせるのは、勇気である。些細でいい、ほんの一握りでいい、立ち向かう勇気が現状を打開する。

 モーリスは自分を鼓舞する様に声を荒げ、マナを更に高めて剣を抜いた。そして冬也は、少し笑みを浮かべると、モーリスとの間合いを詰める為にゆっくりと歩みを進めた。

 渾身の力で、モーリスは剣を振るう。しかしその剣は、容易く冬也に躱される。素早くモーリスの懐に潜り軽く腹部を殴ると、冬也はモーリスを悶絶させる。
  
 苦悶の表情を浮かべながらも、モーリスは剣を離す事なく、膝を折る事もない。モーリスは、ひたすらに剣を振るう。その度に冬也に躱され、掌打を食らう。激しい痛みがモーリスの全身に広がる。それでも、モーリスは冬也に挑んだ。

 避けるまでも無く、モーリスの剣は冬也には届かないだろう。傷一つ付ける事は叶わないだろう。だが、冬也はモーリスの剣を避けて、掌底でダメージを与え続ける。モーリスはそれに耐え、剣を振り続ける。
 ただの無謀であろうか。否、モーリスのマナは高まりを見せ続ける。戦いの中で、モーリスのマナは光を放ち始める。それは、紛う方なく神気の輝きである。

「ようやく至ったな」

 冬也が少し力を籠めるようにすると、更に強烈な神気が体から溢れ出る。それは、ペスカとアルキエルが手を加えた結界すらも、揺らす程であった。
 差は広がる一方。どれだけモーリスが力を籠めても、その差が埋まることは無いだろう。しかし、モーリスの心はもう折れはしない。揺るぐ事の無い意志、強靭な精神力、それが今日までモーリスを支えて来たのだから。闘志を燃やすモーリスはこの時、限界を超えて神気を高めていた。

「止めろモーリス。それ以上は、無理をするな! お前の体は人間のものだ。神気に耐えられない!」

 関係者席で観戦していた神レグリュードは、怒声を上げる。敢えて無視しているのか、集中しすぎて聞こえてないのか、モーリスは更に神気を高めて剣を振るう。

「くそっ! 冬也、モーリスを止めてくれ!」

 冬也は少し神レグリュードを見やり、軽く頷いた。冬也とて、この戦いを長引かせる気は無かった。モーリスが神気を扱える様にし、限界を教える事が出来れば充分だった。

 神気の宿ったモーリスの剣が、冬也が纏った神気を削っていく。それは最初に冬也が、アルキエルを倒した時に使った、剣に神気を集中させ威力を高める技と同じ。
 このまま神気同士がぶつかり合えば、衝突の余波で結界は消し飛び、会場ごと吹き飛ばされる。冬也は身に纏う神気を消す。そして振り下ろされるモーリスの剣が、冬也の体に届く。

 瞬間的に体を捻って、冬也は致命傷を逃れる。肩口に深い傷を作り、滂沱の血を流しながらも、冬也は掌底をモーリスの腹部に叩き入れる。激しい痛みに体が耐えきれず、モーリスは倒れ伏した。

「無理させて悪かった。ただ、やっぱりあんたすげぇよ。次は単純に技を競いたいぜ」

 薄れゆく意識の中で、冬也の声が響いていた。届かなかった、でも次こそは。モーリスは心の中で呟くと、完全に意識を失った。

 傷を塞ぐように、冬也は再び神気を体中に満たす。そして、試合会場を後にした。その後を追う様に、モーリスが試合会場から連れ出される。
 いったいどれだけの神が、冬也の神気の結界に傷をつけられる。関係者席に陣取る神々が、モーリスに拍手を贈る。観客席からは、モーリスの健闘を称える拍手が鳴り止まなかった。

 閉幕を告げるペスカのアナウンス。大会は終了しても、暫くの間は皆の興奮が収まる事は無かった。
 この夜、各地の酒場では、スポーツくじが当たった者が大盤振る舞いをする姿を見かけ、各家庭で話が尽きる事は無かった。会場前の屋台周辺では、祭り最後の夜を惜しむ様に、日の出を迎えるまで大騒ぎが続いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

処理中です...