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一章 辺境の森の中の小さな集落
5話
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「こんにちわー。あの、ここで毛皮を買い取ってくれて、布を売ってくれると聞いたんですけど……」
路地を入って言われた通り奥まったところにあったのは、一見すると店だとはわかりにくい場所にあった。けれど教わった通りに色とりどりの布が見えたので、多分ここだろうと思って声を掛けてみた。
「はいよー。どうど入っておくれ」
「はい、おじゃまします」
店の奥から聞こえて来た返事に安心して中に入る。露店のおばさんが言っていた通り、凄い種類の布があるようで見ているだけで心が浮き立った。
「どれ、持って来た毛皮を見せてくれるかい?おじょうちゃんは見かけないから旅の人かい?」
「はい。父が狩人で、この辺りまで足を延ばしたのは初めてです。買い取って欲しい毛皮はこれになるのですが」
籠の中から厳選して持って来た毛皮を取り出す。狩りの仕方も獲物の解体の仕方も皮のなめし方も、全て教えて貰っていたから全て自分でやっている。まあ最近はシルバーが狩って来たものを解体することの方が多いのだけれど。
最近の獲物の中でも、ちょっとした珍しすぎない獲物の鞣した毛皮を少しずつ持ってきてある。
「おお、これは……。……これはいい状態のものだね。さすがに旅の狩人さんだ。この皮の鞣し具合も文句ないものだよ。それでおじょうちゃん、布が欲しいんだろう?好きに見てってくれ。この毛皮を査定しているから、金額は欲しいものと清算でいいかい?」
「はい。では見せて貰いますね」
店の布は肌ざわりが滑らかな高級な布はなかったが、丁寧に染められた様々な色の布や、様々な毛から織られた質感の違う布があった。
教えて貰ったので自分でも布を織ることも出来るが、最近では皆の世話で手一杯で織る暇はなかった。それに集落では布用の毛皮を持つ羊系を飼育している訳ではなかったから織るのは森の動物の毛だったし、色も染めるにも色鮮やかな花などはあまりなかった。だからこれだけの種類の布を見るのは初めてで、見ているだけでうれしくなってしまう。
せっかくだから、様々な色の布を買っていくことにしよう。
自分用の布を選び、それに手触りが気に入った生成りと黒の布も手に取る。別れ際にピュラに「買ってくるなら布は多めにするといいよ。地味な色のでいいからね」と言われたのだ。何故ピュラがそんなことを言うのか分からなかったが、一応その言葉に従って選んでみた。
これくらいなら、多分変えるよね?大きな毛皮を持って来たし。
「これ、お願いします。ええと色が鮮やかな分は二メルで、他は生成りの分を多めに買い取り金額で買える分欲しいのですが、どのくらい買えそうですか?」
結局自分の分は、赤と青、それに若草色の布を選んだ。ずっと生成りと茶色の服ばかりだったので、色鮮やかな服もいいかな、と思ったのだ。どうせ集落には一人きりだしね。
ちなみにメルは単位で、一メルは約一メートルくらいだ。
「はいよ。おお、おじょうちゃんは見立てがいいね。いい布を選んでいるよ。毛皮と皮の代金分で清算するとなると、生成りがが五メル、黒が二メル、ってところかね」
「はい、それでお願いします。ありがとうございます!」
「いいや、こちらこそいい毛皮をありがとうね。まだここら辺に来たら持って来ておくれ。いつでも買わせて貰うよ」
「はい!ではまたここら辺に来たら、寄らせて貰いますね」
お礼を言って籠に切った布を入れて貰って店を出た。取り立てて何も言われなかったし、これなら変に悪目立ちはしなかっただろう。
でも布は高価だったはずだから、こんなに買えるとは思っていなかった。あとは調味料が欲しいけど、さっきの露店で貰ったお金が残っているから薬草を売る必要はないかもしれない。
とりあえず露店を覗きながら広場の向こう側の薬屋に向かって歩こう。どうせなら苗とかも欲しいし、薬草だけを売ってもいいよね。
あ、ピュラにもお土産にかわいい花とかあったら買ってみようかな!なんだかシルバーがピュラに落ち着きなさい!と怒られているような気がするのよね。
大通りまで戻り、露店を見ながら広場まで行くと、広場にはさまざまなものを扱う露店が何件も出ていた。主に食料品や生活に必要な物ばかりだったが、もしいつもこの村ではこんなに露店が並ぶのなら、かなり活気のある村なのだろう。
この村がある国は、大陸の中央にある。ただこの大陸は、大陸を横断する高い山脈、バルティモア山脈によって半分に分断されており、この山脈は人には越えることはできないので人が住んでいるのは大陸の右側半分、ということになる。
この国の他には大きな国が四つと小さな国が十ほどあって、この国は大陸中央にあるが、人が住む領域からいえば東の端にあり、更にこの村が一番バルティモア山脈の麓に広がる森から近い辺境の地にあるのだ。
ちなみに山脈の向こう側にたどり着いたという人はいないが、向こう側にはエルフや獣人、ドワーフなどの人とは違う種族が住む国があると伝えられていた。
まあエリザナおばあちゃんが言うには、これは本当のことらしいけれど。でも今はそれは置いておいて、だからこの村はこんな辺境にあるのに、なんでこんなにも活気があるんだろうか?
「よう、そこのおじょうちゃん。ちょっと見て行かないか?いい魔狼の毛皮で造ったマントがあるよ。そのフードのローブも、魔力あふれる獲物の皮から作ったものだろう?」
広場の露店で欲しい物を買いながら歩いていると、また露店から声を掛けられた。
「……え?魔狼、ですか?」
森には確かに狼が住んでいる。でも魔獣と化した狼なら、魔獣と言われる筈だ。まあ、魔獣なんて滅多にいる筈はないのだけれど。
「知らないでそんなの着ていたのか?もしかしてあまりここら辺には来たことないのか?」
「……はい。父が狩人で、普段は森で生活しています。ここら辺に来たのは初めてですが」
「ああ、それでか。親父さんも娘に説明もしてなかったのか」
この人が言っているのは、私が来ているローブのこと、だよね?これはエリザナおばあちゃんの物を、適当に見繕って持って来ただけだったんだけど。
「ええと。な、何のことです、か?」
「……ちょっと説明してやるか。その無知だといくら子供でも危なさそうだからな。いいか、この村は人の住む限界、つまり辺境だ。この奥にはバルティモア山脈と閉ざされた魔森しかない。だからここら辺の土地は、その分魔素が豊富なんだよ。もう王都の方なんて、ほとんど魔素を感じられないみたいだからな。ここら辺でももう魔獣や魔物はそんなには見ねぇが、森の奥から来た獲物は動物でも魔獣ほどじゃあないが魔力を持っているんだよ。魔力を持っている動物の毛皮や骨なんかは色々な素材になるから、それを求めて国中から商人が集まってくるんだぜ?あんたのそのローブも、森の奥の獲物から作ったんだろう?」
「あ、ああ……そう、なんですね。これは実は祖母の形見なんです。祖母は森でずっと暮らしていましたから」
「ああ、成程。じゃあお前さんのばあさんは、森を歩く時の為にそのローブを持っていたんだろう。森は魔力がない者がうろつくと、狙われ易いからな」
「そう、だったんです、か……。私、何も知らなくて」
そんなことはエリザナおばあちゃんからもは聞いたことがなかったし、集落の皆も言っていなかった。
森を魔力がない人がうろつくと狙われる、というのは結界で緩和していたのかもしれないけれど、そういえばピュラがシルバーは私の魔力に接していたから大丈夫だと言っていたのを追及し忘れていたのを思い出した。
エリザナおばあちゃんから結界を張る意味と効果を集落からの観点でしか聞いてなかったことを、今更ながら後悔する。家に戻ったらエリザナおばあちゃんの本をもう一度全部見直す必要があるようだ。それにピュラにも、もっと魔素や魔力についても聞いてみよう。
しかし、このローブ、か……。適当に持って来たけど、まずかったかな……。もしかして、さっきの布を買った時にたくさん買えたのは、売った毛皮にも魔力を含んでいた、とか?
「……まあ、その手の素材は見ただけでは中々区別がつくものでもないんだが、わかるヤツが見ると一目でわかっちまうんだよ。だから気をつけな。暗くなる前に親父さんと合流した方がいい」
顔を寄せ、そっと声を潜めて忠告してくれたおじさんに、周囲の気配を辿るってみると、こちらを窺がっている気配があることに気づいた。自分に注視している気配を探るのは、森で狩りをするよりも簡単だった。
いつから見られていたのだろう……?露店で木の実を取引した時までは、気が付かなかったのに。やっぱりあの布やに売ったのは、魔力を帯びた毛皮だった?
「ありがとうございます。急いで用事を済ませて帰ります。商品は間に合ってますが、ありがたいご忠告のお礼にこれ、受け取っていただけませんか?毛皮はさっき手放してしまったので、薬草しかありませんが」
私がもっと小さい子だと思って親切に声を掛けてくれたのだろう露店のおじさんに、そっとローブの内側のカバンから集落の辺りて採った薬草を差し出す。勿論見られないようにローブで隠しながらだ。
「これは……。ありがとうよ。こっちこそ、な」
受け取ったおじさんの反応に、やはり薬草にも魔力が多く含まれているのだと確信する。勿論、そんなことはリザは今まで知りもしなかったが。
深い森でしか育たない薬草って、魔素が関係あったのね。本にそんなこと書いてあったかな?
「いいえ。これは売れないことが分かったので、ありがたいです。では、ご親切にありがとうございました」
「またここら辺に来たら、毛皮は今度はうちに持って来てくれよ」
掛けられた声に頷くと、そっと露店を覗く客の賑わいにまぎれるように雑踏へと踏み出した。
後はそのまま振り返ることはせずに人混みに紛れ、しばらく広場の人が多い場所を歩き回った後、広場を出て一本目を右に曲がった。すぐに薬屋を見つけると、後ろの気配がないことを確認して中へと入った。
路地を入って言われた通り奥まったところにあったのは、一見すると店だとはわかりにくい場所にあった。けれど教わった通りに色とりどりの布が見えたので、多分ここだろうと思って声を掛けてみた。
「はいよー。どうど入っておくれ」
「はい、おじゃまします」
店の奥から聞こえて来た返事に安心して中に入る。露店のおばさんが言っていた通り、凄い種類の布があるようで見ているだけで心が浮き立った。
「どれ、持って来た毛皮を見せてくれるかい?おじょうちゃんは見かけないから旅の人かい?」
「はい。父が狩人で、この辺りまで足を延ばしたのは初めてです。買い取って欲しい毛皮はこれになるのですが」
籠の中から厳選して持って来た毛皮を取り出す。狩りの仕方も獲物の解体の仕方も皮のなめし方も、全て教えて貰っていたから全て自分でやっている。まあ最近はシルバーが狩って来たものを解体することの方が多いのだけれど。
最近の獲物の中でも、ちょっとした珍しすぎない獲物の鞣した毛皮を少しずつ持ってきてある。
「おお、これは……。……これはいい状態のものだね。さすがに旅の狩人さんだ。この皮の鞣し具合も文句ないものだよ。それでおじょうちゃん、布が欲しいんだろう?好きに見てってくれ。この毛皮を査定しているから、金額は欲しいものと清算でいいかい?」
「はい。では見せて貰いますね」
店の布は肌ざわりが滑らかな高級な布はなかったが、丁寧に染められた様々な色の布や、様々な毛から織られた質感の違う布があった。
教えて貰ったので自分でも布を織ることも出来るが、最近では皆の世話で手一杯で織る暇はなかった。それに集落では布用の毛皮を持つ羊系を飼育している訳ではなかったから織るのは森の動物の毛だったし、色も染めるにも色鮮やかな花などはあまりなかった。だからこれだけの種類の布を見るのは初めてで、見ているだけでうれしくなってしまう。
せっかくだから、様々な色の布を買っていくことにしよう。
自分用の布を選び、それに手触りが気に入った生成りと黒の布も手に取る。別れ際にピュラに「買ってくるなら布は多めにするといいよ。地味な色のでいいからね」と言われたのだ。何故ピュラがそんなことを言うのか分からなかったが、一応その言葉に従って選んでみた。
これくらいなら、多分変えるよね?大きな毛皮を持って来たし。
「これ、お願いします。ええと色が鮮やかな分は二メルで、他は生成りの分を多めに買い取り金額で買える分欲しいのですが、どのくらい買えそうですか?」
結局自分の分は、赤と青、それに若草色の布を選んだ。ずっと生成りと茶色の服ばかりだったので、色鮮やかな服もいいかな、と思ったのだ。どうせ集落には一人きりだしね。
ちなみにメルは単位で、一メルは約一メートルくらいだ。
「はいよ。おお、おじょうちゃんは見立てがいいね。いい布を選んでいるよ。毛皮と皮の代金分で清算するとなると、生成りがが五メル、黒が二メル、ってところかね」
「はい、それでお願いします。ありがとうございます!」
「いいや、こちらこそいい毛皮をありがとうね。まだここら辺に来たら持って来ておくれ。いつでも買わせて貰うよ」
「はい!ではまたここら辺に来たら、寄らせて貰いますね」
お礼を言って籠に切った布を入れて貰って店を出た。取り立てて何も言われなかったし、これなら変に悪目立ちはしなかっただろう。
でも布は高価だったはずだから、こんなに買えるとは思っていなかった。あとは調味料が欲しいけど、さっきの露店で貰ったお金が残っているから薬草を売る必要はないかもしれない。
とりあえず露店を覗きながら広場の向こう側の薬屋に向かって歩こう。どうせなら苗とかも欲しいし、薬草だけを売ってもいいよね。
あ、ピュラにもお土産にかわいい花とかあったら買ってみようかな!なんだかシルバーがピュラに落ち着きなさい!と怒られているような気がするのよね。
大通りまで戻り、露店を見ながら広場まで行くと、広場にはさまざまなものを扱う露店が何件も出ていた。主に食料品や生活に必要な物ばかりだったが、もしいつもこの村ではこんなに露店が並ぶのなら、かなり活気のある村なのだろう。
この村がある国は、大陸の中央にある。ただこの大陸は、大陸を横断する高い山脈、バルティモア山脈によって半分に分断されており、この山脈は人には越えることはできないので人が住んでいるのは大陸の右側半分、ということになる。
この国の他には大きな国が四つと小さな国が十ほどあって、この国は大陸中央にあるが、人が住む領域からいえば東の端にあり、更にこの村が一番バルティモア山脈の麓に広がる森から近い辺境の地にあるのだ。
ちなみに山脈の向こう側にたどり着いたという人はいないが、向こう側にはエルフや獣人、ドワーフなどの人とは違う種族が住む国があると伝えられていた。
まあエリザナおばあちゃんが言うには、これは本当のことらしいけれど。でも今はそれは置いておいて、だからこの村はこんな辺境にあるのに、なんでこんなにも活気があるんだろうか?
「よう、そこのおじょうちゃん。ちょっと見て行かないか?いい魔狼の毛皮で造ったマントがあるよ。そのフードのローブも、魔力あふれる獲物の皮から作ったものだろう?」
広場の露店で欲しい物を買いながら歩いていると、また露店から声を掛けられた。
「……え?魔狼、ですか?」
森には確かに狼が住んでいる。でも魔獣と化した狼なら、魔獣と言われる筈だ。まあ、魔獣なんて滅多にいる筈はないのだけれど。
「知らないでそんなの着ていたのか?もしかしてあまりここら辺には来たことないのか?」
「……はい。父が狩人で、普段は森で生活しています。ここら辺に来たのは初めてですが」
「ああ、それでか。親父さんも娘に説明もしてなかったのか」
この人が言っているのは、私が来ているローブのこと、だよね?これはエリザナおばあちゃんの物を、適当に見繕って持って来ただけだったんだけど。
「ええと。な、何のことです、か?」
「……ちょっと説明してやるか。その無知だといくら子供でも危なさそうだからな。いいか、この村は人の住む限界、つまり辺境だ。この奥にはバルティモア山脈と閉ざされた魔森しかない。だからここら辺の土地は、その分魔素が豊富なんだよ。もう王都の方なんて、ほとんど魔素を感じられないみたいだからな。ここら辺でももう魔獣や魔物はそんなには見ねぇが、森の奥から来た獲物は動物でも魔獣ほどじゃあないが魔力を持っているんだよ。魔力を持っている動物の毛皮や骨なんかは色々な素材になるから、それを求めて国中から商人が集まってくるんだぜ?あんたのそのローブも、森の奥の獲物から作ったんだろう?」
「あ、ああ……そう、なんですね。これは実は祖母の形見なんです。祖母は森でずっと暮らしていましたから」
「ああ、成程。じゃあお前さんのばあさんは、森を歩く時の為にそのローブを持っていたんだろう。森は魔力がない者がうろつくと、狙われ易いからな」
「そう、だったんです、か……。私、何も知らなくて」
そんなことはエリザナおばあちゃんからもは聞いたことがなかったし、集落の皆も言っていなかった。
森を魔力がない人がうろつくと狙われる、というのは結界で緩和していたのかもしれないけれど、そういえばピュラがシルバーは私の魔力に接していたから大丈夫だと言っていたのを追及し忘れていたのを思い出した。
エリザナおばあちゃんから結界を張る意味と効果を集落からの観点でしか聞いてなかったことを、今更ながら後悔する。家に戻ったらエリザナおばあちゃんの本をもう一度全部見直す必要があるようだ。それにピュラにも、もっと魔素や魔力についても聞いてみよう。
しかし、このローブ、か……。適当に持って来たけど、まずかったかな……。もしかして、さっきの布を買った時にたくさん買えたのは、売った毛皮にも魔力を含んでいた、とか?
「……まあ、その手の素材は見ただけでは中々区別がつくものでもないんだが、わかるヤツが見ると一目でわかっちまうんだよ。だから気をつけな。暗くなる前に親父さんと合流した方がいい」
顔を寄せ、そっと声を潜めて忠告してくれたおじさんに、周囲の気配を辿るってみると、こちらを窺がっている気配があることに気づいた。自分に注視している気配を探るのは、森で狩りをするよりも簡単だった。
いつから見られていたのだろう……?露店で木の実を取引した時までは、気が付かなかったのに。やっぱりあの布やに売ったのは、魔力を帯びた毛皮だった?
「ありがとうございます。急いで用事を済ませて帰ります。商品は間に合ってますが、ありがたいご忠告のお礼にこれ、受け取っていただけませんか?毛皮はさっき手放してしまったので、薬草しかありませんが」
私がもっと小さい子だと思って親切に声を掛けてくれたのだろう露店のおじさんに、そっとローブの内側のカバンから集落の辺りて採った薬草を差し出す。勿論見られないようにローブで隠しながらだ。
「これは……。ありがとうよ。こっちこそ、な」
受け取ったおじさんの反応に、やはり薬草にも魔力が多く含まれているのだと確信する。勿論、そんなことはリザは今まで知りもしなかったが。
深い森でしか育たない薬草って、魔素が関係あったのね。本にそんなこと書いてあったかな?
「いいえ。これは売れないことが分かったので、ありがたいです。では、ご親切にありがとうございました」
「またここら辺に来たら、毛皮は今度はうちに持って来てくれよ」
掛けられた声に頷くと、そっと露店を覗く客の賑わいにまぎれるように雑踏へと踏み出した。
後はそのまま振り返ることはせずに人混みに紛れ、しばらく広場の人が多い場所を歩き回った後、広場を出て一本目を右に曲がった。すぐに薬屋を見つけると、後ろの気配がないことを確認して中へと入った。
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