運命を超えて、ただ君を

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運命を見つめる瞳

――それは、交わることのない想いを抱えた二人の物語。



第1章 幼き日の誓い

 リリアーヌとアレクセイが出会ったのは、彼女が5歳のときだった。
 公爵家の令嬢であるリリアーヌは、王子の遊び相手として選ばれ、王宮へと招かれた。

「はじめまして、王子様」

 そう微笑んだリリアーヌの姿に、アレクセイは一瞬驚いたことを覚えている。
 彼女は透き通るようなプラチナブロンドの髪と、夜空のように深い紫の瞳を持つ少女だった。

 ――その美しさに、思わず見とれてしまうほどに。

「これから仲良くしてくれるか?」

「ええ、もちろん!」

 無邪気に笑う彼女に、アレクセイも微笑み返した。
 それが始まりだった。



第2章 叶わぬ恋

 リリアーヌは、初めてアレクセイに会ったその日から、彼に恋をしていた。
 だが、その気持ちを口にすることはできなかった。

 王子と公爵令嬢。

 身分こそ釣り合っていたが、アレクセイはいつか国を背負う身。
 そして何より――

「……アレクセイは、私のことをそういうふうには見ていない」

 わかっていた。
 彼にとって私は、幼なじみであり、大切な友人。

 だけど、それ以上ではないのだと。



第3章 出会い

 彼女が現れたのは、16歳の夜会だった。

 壁際に佇む、ふわふわのピンク色の髪と水色の瞳を持つ少女。
 華やかな場に似つかわしくないほど、控えめな彼女の姿に、アレクセイの目が惹かれた。

「……踊りませんか?」

「えっ?」

 驚いた様子の少女だったが、やがて小さく微笑んでアレクセイの手を取った。
 その瞬間、アレクセイの世界が変わった。

(この子ともっと話してみたい)

 そんな思いが、自然と心に芽生えたのだった。



第4章 運命を知る魔法

「ねえ、リリアーヌ。運命を変える力があったら、どうする?」

 そう問いかけたのは、リリアーヌにしか見えない妖精だった。

「……運命を?」

「うん。未来を見せてあげる。どんな結末を迎えるのか」

 妖精が示したのは、二つの未来。

 一つは、このまま何もしなければ、アレクセイと彼の想い人が結ばれる未来。
 そしてもう一つは――

 リリアーヌが想いを告げ、運命を変えた未来。

(もし、私が勇気を出せば……)

 だが、その未来を見たリリアーヌは、強く震えた。

「……無理よ」

 怖かった。

 もし彼が困るようなことになったら。
 もし、彼の幸せを壊してしまったら。

 それなら――最初から、何もしない方がいい。



第5章 別れ

 そして迎えた最後の日。

「アレクセイ、私、旅に出ることにしたの」

 彼が想い人と結ばれる未来を知っていた。
 だからこそ、リリアーヌは王都を去る決意をした。

「……どうして?」

「好きな人がいるの。でも、その恋は絶対に叶わない」

 アレクセイの顔が、一瞬だけ驚きに染まった。

「……誰なんだ?」

「……」

 答えは、言えなかった。

「その人のおかげで、私は生きてこられたの。人生で初めて、愛した人だったわ」

 静かに微笑んで、リリアーヌは言った。

「人生で一番、あなたが大好きでした」

 その言葉に、アレクセイの心臓が締め付けられた。

(どうして、そんな顔をするんだ)

(どうして、俺の前から消えてしまうんだ)

 引き止めたい。だけど、言葉が出てこなかった。

 ただ、夕日に染まる彼女の髪が風に揺れるのを、見つめることしかできなかった――。



第6章 旅立ち

 貴族の身分を捨てたリリアーヌは、新しい人生を歩むために旅に出た。
 どこへ行くかも決めていなかった。

 ただ、アレクセイのいない世界を探していた。



第7章 残された想い

 リリアーヌが去った後、アレクセイは幸せになろうとした。

 想い人と過ごす日々は、確かに幸せだった。
 彼女の笑顔は優しく、アレクセイの心を癒してくれた。

 だが、それでもふとした瞬間に、リリアーヌのことを思い出してしまう。

 彼女の微笑み。
 彼女の仕草。
 彼女が見せた、最後の涙をこらえた笑顔。

(俺は……何をしていたんだ)

 今になって気づく。
 彼女が、どれほど自分を想っていたのか。

「……行かないでほしかった」

 だけど、もう遅かった。



第8章 それぞれの道

 どこか遠くの地で、リリアーヌは静かに空を見上げた。
 そこに、アレクセイの姿はない。

(これでよかったのよね)

 風が吹き、彼女のプラチナブロンドの髪を揺らす。
 紫の瞳に映るのは、新しい未来――

 彼女はただ、彼の幸せを願うことしかできなかった。



――そして、物語は続いていく。
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