4 / 5
第1章~生きる~
第4界 誰のために
しおりを挟む「お帰りなさい。スヴァリ。」
バルメディ様の元から帰ってきた俺を、笑って出迎えてくれたのは、泉だった。
復帰初めての仕事が、まさか、坂本功だとは思わなかった。泉の祖母の初恋の人。バルメディ様は、きっと、わざとこんなことをしたのだろう。皮肉だ。もちろん、こなしてみせるとも。どんな仕事であろうと、俺はこなしてやろう。そう思っている。だが、これは皮肉な運命だ。きっと泉はこの仕事を喜んで手伝ってくれるだろう。だが、それは、知りたくもないことを知ってしまう可能性があるということだ。祖母との件で知りたいことは山ほどあるだろう…だが、それが全て知りたかったような事実でない時が必ず来る。人間の想像なんてそんなものだ。全てが想像通りなんて、人間が生きていく中で普通のことなら不幸な人間は1人も存在しない。そういう結果になるはずだ。
「…スヴァリ?」
泉は、もう一度顔色を伺いながら俺の名を呼んだ。
心配そうな顔をして泉は俺をみる。そんな泉の頭の上に、自分の掌を乗せて、少し微笑見ながら口を開けた。
「少し、部屋に来てくれるか?」
俺の言葉に不審に思いながらも泉は黙ってついてきた。
「…え?坂本功って…」
案の定、泉は驚いた顔を隠せないでいた。
当たり前だと、理解しつつも、やはり自分自身も動揺を隠せないでいた。
「…ああ。泉の祖母の初恋相手だ。」
だが、泉の顔色は俺の顔色とは違ってやはり楽しそうな顔をしていた。
「スヴァリ!私に手伝わせて!功さんに聞きたいこと山ほどあるんだもの!」
「…だが、これは…」
そういう俺の声を遮るように、泉は話を続ける。
「というより、功さん、今の今まで、おばあちゃんからもらった命を捨てずに生きていたのね…よかった…」
俺は、ああ。そうだな。それしか言えなかった。
言いたいことはたくさんあったが言えなかった。
「……泉。」
「やっと…やっと。私にも手伝えることが、役に立つことができるのね!」
本当に幸せそうな顔をしながらそう言う泉に、そんな難しくて根拠のない無責任なこと言えなかった。泉が優しいからこそ、強い人であるからこそ、俺が守らなきゃ…俺の前ではせめて強がらせないために…いつからだ。こんなに、泉が俺の心をかき乱すようになったのは…本当の俺は…もっと冷酷。いつの間にそんな性格を忘れてしまうほど、泉と言う存在が強くなったのだろうか。いや、違う。俺は、そんな意味で泉をこの世界へ連れてきたのではない。ただ、色恋をしたかったのではない。違う。別の真の意味があるではないか。忘れるな。俺の償いを。せめてもの償いを俺に…させてくれ。
スヴァリが変だ。
坂本功さんの仕事を持ってきてくれたのに、なんだかぎこちない。急に悲しい表情になる。落ち込んだ顔になる。
変なスヴァリ…そう思いながら、私は部屋に戻った。
「ルルー。何かやることない?」
「へ?」
花瓶に生けてある花を取り替えているルルーに私は聞いた。
「突然どうなさったんです?泉様。」
「あ、いや、特に理由があるってわけじゃないんだけど。なんかしてないと落ち着かなくて…。」
「泉様は働き者ですね。ふふ。」
口を押さえて微笑むルルーはとても優しい顔をしている。
「働き者ってわけじゃないんだけど…。最近身体動かしてないしさ。合気道も最近してないし…」
私がため息混じりにそういうと、
「私がお相手を致しましょうか?」
扉の先から声が聞こえてその数秒後扉の外からヴォントが入ってきた。それを見たルルーは急いで頭を下げる。
「あら、ヴォント。どういうこと?」
「奥様は、地上界で格闘技をやっていたそうだとか。私がお相手して体を動かしてみませんか?」
「格闘技ってものじゃないけど…そうね!相手をしてもらいたいわ。」
「よろこんで。」
そう言って頭を下げたヴォント。
本当によくわからない人だ。話しているのに、私の目を見ずにその目は何も写していない。感情が読み取れない。のか、読み取れないようにしているのか…
そんなことを思いながら私とヴォントとルルーは中庭に移動した。
「え?」
私がそう言った瞬間に、床に叩きつけられた。
叩き付けられた。と言っても軽く床に落とされたというか、男と女の力の差、というよりは、種族の違いを感じさせられた。
え、どうして、私どうして負けたんだろう…弱くなったかな。この私がこんなにも簡単に負けるなんて…
「泉様っ。」
庭の地面に叩きつけられたことで土まみれになってしまった私にルルーがタオルを渡す。私はそのタオルを受け取って顔を拭いてから、自分でも驚くほど大きく大笑いしてしまった。「あはははは!」まるで漫画のように大笑いをしてしまっていた私を見たヴォントもルルーも驚きっぱなし。…ああ。なんて久しぶりなんだろう!こんなに体を動かしたのは。
地面から立ち上がろうとしない私に、ヴォントは、手を差し伸べたが、私はそれを、無視して立ち上がった。
「ヴォント!もう一回勝負しましょ!どうせ負けるけど、次は本気で戦って!」
その言葉にルルーは優しく微笑み、ヴォントは、静かに笑った。ヴォントの笑いを見るのは初めてで、彼の目に初めて私の顔が映ったのだと思えた。
「やぁ。珍しいコンビだね。」
庭にルサファが寄ってきて、笑った。
確かに珍しいコンビだ。私とヴォント、そして、ルルー。
「もう一戦やるからルサファも見ていく?」
私は笑いながらそう言った。
「いや、それより義姉上。バルコニーで4人でお茶しない?」
「「「え?」」」
「せっかく天気もいいしさ。君もおいでよ。」
ルルーに目を合わせながらルサファは言う。
「わ、わたくしもですか?よ、よろしいのでしょうか。」
「そうね!天気もいいし、お茶してから、もう一戦しましょ!ヴォント。」
「かしこまりました。奥様。」
跪きながら頭を下げるヴォント。
バルコニーに移動して、イスに腰掛けると、ルサファが紅茶を持って歩いてきた。「私がやりますのでお座り下さい。ルサファ様。」ルルーがそう言ったが、ルサファは、「私がやるから君は座ってなさい。」そう言って押し通した。自分より人を気遣う、わかりやすい典型的な優しい人だ。いや、魔族か。でも私は、こんな優しさにどう答えればいいのかわからなくなる。優しくされるのには慣れてない。おばあちゃんも、風華も、清乃さんも優しくしてくれたけど、ルサファの優しさとは、絶対に違うのだ。スヴァリの優しさとも違う。優しい。それは、結構厳しくて難しいな。そんなことを思った。
「義姉上。どうぞ。」
そう言って渡された紅茶を私は受け取ったが、しばらく飲まなかった。ルルーや、ヴォントはとても幸せそうな顔で飲んでいたが私だけ飲まなかった。いや、飲めなかった。
「義姉上?私の紅茶は飲みたくないか?」
「え?あ、違うわ。ただ、紅茶自体苦手で…コーヒーも飲めないし…ごめんね。飲めなくて…。」
「そうなんだ。すまない。気づかなくて。ただ、それは、私が作った中で一番上手に作れたものだったんだが。」
悲しそうな顔でルサファはうつむく。
私は慌てて、「練習する!練習して絶対にルサファの作った美味しい紅茶飲めるようにするから!」そう言った。
ルサファは顔を上げて私の顔を見て、意地悪そうな優しそうな笑みを浮かべた。
「うそだよ。待ってる。」
そういうルサファの顔にドキッと胸が高鳴った私は、最低だ。スヴァリがいるんだから。そう言い聞かせた。でも、その優しいルサファの笑みは、そんな自分に対する注意がけも無視してしまうほど、魅力があった。そして、私もルサファに対して優しい笑みをかけてしまうのだった。
不覚だ。
自分の顔が赤く染まっているのが良くわかる…。
義姉上は、兄上のもの。私のものではない。
私には、手に入らない。私のものにはならない相手にときめいてどうする…。
「ルサファ?」
義姉上が私の名を呼ぶ。
私は、悪魔界の中でも高い地位である神官の位を代々受け継いできた、ルダー家の次男だった。幼い頃から病弱で、よく熱をだしたり、それこそ、地上界の人間並みに体を壊しやすかった。それでも、両親の愛情を一身に受け育った。私の兄は、頭の回転が良くて賢くて、口は悪いが本当にできる人だ。尊敬してやまない人だ。両親もきっと、ルダー家にこんな出来る人が生まれてきてくれたことを誇りに思っているだろう。いや、それは構わない。本当に兄上はできるお方だ。それについて責めたり、強く色々いう気にもならない。両親の愛情が偏っていたわけでもないし、逆にこんな私を熱心に育ててくれたとも思う。愛情もたくさんもらった。だが…本当に大切でたまらないような、そんなものは私の今までの人生の中で見つけられなかった。
「ルサファってば。」
義姉上に呼ばれてやっと我に帰る。
私は慌てて義姉上の方を見た。
「すまない。ぼぅっとしていたよ。」
「ふふ。ルサファが我を忘れることってあるのね。」
「え?」
「ルサファ、いつも肩に力入れてるように見えるの。スヴァリも帰ってきて、ルサファも城に戻って、ひと段落したんだから肩の力抜けばいいのに。」
「肩の力…そんなに入ってるように見えるかい?」
「ええ!そりゃ、肩パッドでも入れてるのかってくらい。」
「…」
私はうつむきながら自分の肩を触る。そんなに力が入っているのか、自分が触っても自分には伝わらない。兄上の仕事を代わりに受け持ってから、結構いろいろあったりして疲れてはいたものの、やりがいはあったし何より、人に認められたい気持ちがあったから嫌がらずにやれた。でも、自分では気づかないうちに、肩に力を入れていたのだな、と、自分の気持ちを再認識した。
「あ!スヴァリだわ!」
突然、声を上げて椅子から立ち上がる義姉上は、城の門を出て行く兄上に向かってバルコニーから大きく手を振った。
「スヴァリ!お仕事ー?行ってらっしゃい!」
そう言いながら手を振る義姉上に、兄上は、小さく手を振っている。ああ、やはり、私が2人の間に入る隙間などもとよりないのだ。仕方ない。無理なんだから。
無理…なんだから。…無理にしたくない気持ちが、切実に誰かを愛したい、愛されたいという気持ちがどれだけ辛いものか、私のように深く知っているものはいるのだろうか。愛したいのに愛されない。それは、自分自身だ。
「ルサファ。」
義姉上に呼ばれた方へ体を向ける。
「どうした?義姉上?…うわ!」
義姉上は、私の両頬を反対の方向へつねるのだ。それも、思い切り。私は慌てて、自分の頬にある義姉上の手を離して「何をするんだい」と、聞いた。義姉上は、クスリとも笑わないで、真剣な顔をしながら、私に言った。
「笑って。楽しいお茶会で何を仏頂面しているの。」
「え?」
「笑って。ほら。」
義姉上は、やっと優しくふわりとした笑いを浮かべた。
それにつられて、私も自然と口元が緩む。
「楽しければ笑って、悲しいときは泣くの。イライラしてる時は怒ったり泣いたり、そういうことをしなきゃ生きてるって言わないじゃない?せっかく生まれもった命よ。せっかくの人生を誰よりも楽しまなきゃ。誰よりも笑って誰よりも泣くの。誰よりも、生きていたっていう実感を持つ人生を作るのよ。ほら、笑って!私みたいに!」
本当に太陽のような明るい笑みを私に見せると、やっと私はクスクスと静かに笑えた。その笑いは止まらない元気な笑いに変わる。
「ルサファ?何をそんなに笑ってるの?」
「何をって。はは。義姉上の口元、ケーキのクリームが付いているよ」
「え?うそ!」
と言って、自分の頬を必死にこする。でも、彼女の口元からクリームは取れない。
「ここ。」
そう言って私は、彼女の口元についているクリームを自分の手でとって舐める。義姉上は、顔を真っ赤にしたが、私はそれを見て意地の悪い笑みを浮かべていた。
「スヴァリ!」
私は仕事から帰ってきたスヴァリの名を呼んだ。
スヴァリは、仕事から帰ってきてすぐ、部屋に篭ってしまっていた。もう夕食の時間なのに…
スヴァリの部屋をノックして返事が来る前に部屋に入って行った。
「泉。まだ返事してないんだけど。」
ソファに座りながら、坂本功の資料を読んでいるスヴァリがいた。ソファの前にある机は、資料で埋め尽くされている。
「あら。ごめんなさい。」
軽く謝ると、スヴァリの部屋を見渡した。
あいも変わらず、本で埋め尽くされている典型的な書斎って感じ。でも、いつも通り隠すようにおいてある写真たてだけは…
「で?何か用があるんだろう?」
スヴァリは、資料を机において、私の方へ体を向ける。
私は、ハッとしてスヴァリの方へ向いた。
「あ、アナリア女官長に夕食は部屋で食べるとか言ったみたいだけど…」
「…ああ。まだ仕事は山積みだからな。」
「そうなの…大変ね。あ、それで、アナリア女官長がね。夕食は皆様で使用人も集めて食べるのがこの家の伝統です。たとえ、旦那様でもわがままは許しませんよ。って言ってたんだけど、」
「…」
スヴァリは、私と目も合わせず、資料に目を戻した。
私の心の中には嫌な感情がよぎる。
醜いことを思うな。醜いことを考えるな。嫉妬や、ヤキモチは醜い。そんなもの私は持ってはいけない。大丈夫。私は平気だから。そうでしょ?泉。
「あ…私から言っておくわ。仕事で忙しいのだもの。お部屋でゆっくり食べて……ね。」
私は消え入りそうな声でそう言った。
迷惑をかけるな。私。スヴァリは忙しいんだ。だから…迷惑をかけるな。
スヴァリは、資料から少し顔を上げて私を見て…そして言った。
「泉。用が済んだのであれば、部屋から出て行ってくれ。」
「…え?」
「仕事があるんだ。出て行ってくれ。」
私は、自分に言い聞かせることで精一杯。
ほら、好きになるんじゃなかったのよ。いつか気づく。そんなこと私は予想できなかったわけじゃないでしょ?ほら、困らせるな。
そう…言い聞かせることしか私にはできないのに。
あなたは、私の…いえ、私はあなたの何だったの…?
「ごめんなさい!気付かなくって……」
ほら、笑え。泣くな。私は強いんだから。並の男よりも。私は…強い…はずだから。
私は無理やり口元をあげて、走って部屋から出ていった。
「ごめん。アナリア女官長。スヴァリ仕事が大変だからお部屋で食べるみたい。」
私が頭を下げるとアナリア女官長は、ため息をつきながら席に着く。私はそれについていくようにうつむきながら席に着く。
「義姉上。さ。挨拶を。」
ルサファに言われて私はキョロキョロしたまま顔を傾けた。挨拶。それは、夕食に皆で集まるとき、家の当主が、地上でいう「いただきます」という挨拶をすることだ。…何故、私が?
「何故、私が?」
「兄上がいない場合、当主は義姉上ですよ。お忘れですか?」
「え…」
私がスヴァリの次の当主?
私には、そんなこと……無理だ。
スヴァリにも認められない私がみんなの前に立って当主として、挨拶だなんて…たかが挨拶、されど挨拶だわ…
「義姉上。いただきます、と。それだけで良いのです。ですから、そこまで深く考えずに…。」
「そ、そうよね…」
私はそういって椅子から立ち上がった。
「い、いただきます!」
何を悩んでいるの?
泉!
私は、九条泉でしょ??
何を弱気になっているの!東海大会で優勝したあの頃を忘れたの!?スヴァリに嫁いだ私が私なわけじゃないの。私は誰が何と言おうと、九条泉。私は、頑固で、マナーに厳しいお母さんから生まれたんだもの。私が、スヴァリのことが好き。それで十分よ。私が好きなんだもの。彼が何?彼の気持ちは、置いておけばいいのよ。一方通行でもいい。私は私。私は強いんだ。力は、いつか、男に抜かれる。でも、心の強さだけは、譲れない!
…私は、その覚悟で、種族を超える覚悟でこの世界へ嫁いだんだもの。私は、私を預けない。信じたあなただからこそ、私あなたに預けた。だから、預けた分は、大切に守ってもらう。その間は、私も自分を捨てない。
思い出させてくれて……ありがとう。ルサファ。
ごめんね。まだ、慣れてないんだ。異性に優しくされるのは…。
「泉様?どちらへ?それに、そのお姿は…?」
ルルーに呼び止められ、私は振り返った。
それもそうだ。私がきていたのは、きらびやかなドレスではなく人間界できるようないたって普通のワンピースだったからだ。
「スヴァリと一緒に人間界へ行ってくるのよ。坂本功さんに会ってくるわ。未練を解消させなければいけないのだからね。」
「そうなのですね。お気をつけて行ってらっしゃいませ。」
「ええ。スヴァリの部屋に寄ってからそのまま行くわね。」
私は、また廊下を歩き出して、スヴァリの部屋へと向かう。彼を支えるって約束したんだもの。最低限その約束は無理やりでも守るわ。
私は、彼の部屋の前について、一つ、深呼吸をした。
目を瞑って、気持ちを落ち詰めて、私は部屋をノックした。「…どうぞ。」というスヴァリの落ち着いた声に、反応して、部屋に入る。昨日と同じように、机の上には資料がたくさん置いてある。
「…スヴァリ。昨日はごめんなさい。それで…今日は、坂本功さんの、家に、行って見たいのだけど…未練を解消させてあげたくて…」
私は、床を見たまま消して、スヴァリと目を合わせなかった。…また、帰れと言われてしまうやもしれない。そう思うと、怖くて前を見れなかった。
「顔を上げろ。」
「…え?」
私は、ゆっくりとその言葉に答えるように顔を上げる。
スヴァリの顔は厳しくて、怖くて、ついこの前の優しさはどこに行ってしまったのか…不安で気持ちが押しつぶされそうだった。
「…昨日は…俺も…すまなかった。少し気が立っていた…」
私は慌てて首を横に振った。
そんなんじゃない。全然そんなことない。そう言いながら。
「仕事の邪魔をしてるのは本当のことだもの。私こそ、ごめんなさい…」
「いや、それは違う。」
スヴァリはそう言って両手で私の右手を包み込んだ。
そして、力強い目を私の目に合わせた。
「…本当な気持ちとしては…泉を、この仕事に巻き込みたくなかった…」
少し俯き加減にそういうスヴァリの手の力は少し強くなる。
「…どういう、こと?」
スヴァリは淡々と、でも、丁寧に、詳しく、うつむいて事の次第を説明してくれた。そして、少しずつ、スヴァリが私を守ろうとしてくれた、私を傷つけないようにしてくれた、そんな彼の思いが私の心に響いた。その間も、彼は、私の手を強く握り、時に優しく撫でた。
「…つまり…私を傷つけないようにしてくれたってこと…?」
説明に区切りがつくと、私は深呼吸をしてからスヴァリに向き合って聞いた。
「…こんなことと…思うかもしれないな…だが、俺にとっては、大切だった。それに…根拠のないことで、泉を不安に駆らさせたくなかった…。俺は…以前のように誰かを傷つけるわけにはいかないんだ…」
「…誰かを傷つける?」
「…いや…なんでもない。」
…誰かを傷つけるってことは…以前にそれほど大切な人がいたってことなんだよね…
「…とにかく…すまなかった…」
また、スヴァリの手に力が入った。
私はその力に応えたい。そう思った。
「全然!スヴァリ。大好きよ。」
そう言ってとても明るい顔でスヴァリを見た。
その瞬間に、私の唇に、スヴァリの唇が触れた。
焦って、体を離そうと身をよじったが、スヴァリは、私の肩に入れた力を簡単には譲らなかった。
「ちょっ」
かすかに空いた唇の隙間から私は声を発する。
でも、スヴァリはその空間もすぐに埋めてしまう。
苦しい…苦しい…だけど、それでも、スヴァリならいい。スヴァリだから、苦しくても、彼のそばにいたい。
私を必要としてくれた、私の、大切な人。
久しぶりの地上界。
地上の土。地上の香り。地上の人間。
ああ!なんて久しぶりなのっ。
「スヴァリ!ここだわ!」
私は一つの古民家を指差しながら、スヴァリを呼ぶ。スヴァリはゆっくりと歩いて、私の元へ来る。
なんだ。私は拍子抜けした。
坂本功の住んでいる家は、想像通り、昔風の古民家だった。木でできていて、一階建てで、敷地が広い。おばあちゃんの家から出て行ってから、何かをして大きなお家を買ったのかしら。
「インターホン押していい?」
スヴァリに聞くと、スヴァリは黙って頷いた。
でも、私は、なかなかインターホンを押さなかった。未練を探しに行くとは言ったものの、そう簡単に見つかるのか…。ただ、スヴァリの役に立ちたくて、地上界にきたものの、何をして、どう未練を見つければいいか、私にはわからない…
「泉?押さないのか?」
スヴァリが、うつむいてる私の顔を覗き込んだ。私は慌てて顔を上げた。
「あの、私に何か用でしょうか?」
私と、スヴァリがギクシャクしていると、背後から男の人の声が聞こえて、私たちは振り返った。いきなり振り返ったことに、その男の人はびっくりしたのか、慌てて、こう言った。「あ、その、そこ、私の家です。」
「…松葉杖…」
私がボソリというと、彼は、自分のついている松葉杖を一目見てから、
「…戦争で、無くしました。」
「…え?」
おばあちゃんの話と一緒だ。やはり、この人なのだろうか。
「あ、あの、坂本功さん、ですか?」
私がおどおどしながら聞くと、「どうして、私のことを?」と、聞き返された。
「迎えにきた。」
私が言葉を発する瞬間に、スヴァリが言った。
…そんなこと言ったら気持ち悪がられて、未練探しはおろか、家にも入れてくれないよ…そう、私が落胆していると、坂本さんは、静かに、微笑んだ。
「そうですか。もうそろそろかと思っていたんですよ。」
「え?」
坂本さんはそう言って、松葉杖を動かして、一歩だけ進んだ。
「自分でも、いつの間にか、こんなに生きながらえてしまいました…。どうぞ。上がってください。お茶をお出ししましょう。」
松葉杖で器用に歩いて、玄関の扉を開ける坂本さんは、どこか寂しそうで…
玄関は広くて、木の香りがした。
ここまでの和風の家は最近ではあまり見ない。合気道の稽古の場所と、心なしか、似ていた。
大きな和室に案内され、私とスヴァリは正座をして出してもらったお茶を飲んだ。
広い。この家に、坂本さん一人なのだろうか。8人は住めるであろうその家に、彼は一人で住んでいるのだろうか。
「君は…由紀子のお孫さんですか?」
突然私の顔を見て、私に問う。
「は、はい。九条泉と申します。彼は、スヴァリと言います。坂本さんのことは、祖母から聞きました。」
私は、スヴァリの方を向いて言った。
スヴァリは、ただ前を向いて、何かを見つめていた。
「…そうですか。由紀子は、元気にしていますか?」
静かに、落ち着いた表情をしながら、切ない声で、私に聞いた。ああ…この人は何も知らされていないのだ。それを思うと悲しくなった。
「…祖母は、この前、亡くなりました。」
「え…?」
「一瞬のことで、お医者様も、手の施しようがなく…」
坂本さんは、うつむいて、唇を噛んでいた。
二人は、愛し合っていたんだものね。今、おばあちゃんをどう思っていても、昔の記憶は消えないもの。おばあちゃんを想って、家から出て言った優しい人だから。
「…泉さん、でしたね。」
「はい」
「由紀子は、幸せ、でしたか?」
「…え?幸せが、どうかは、私自身はっきりしていません。坂本さんがいなくなった時、祖母は一度、死んでいます。それでも…あなたからの手紙は綺麗な箱の中に大事に、ずっと何十年も祖母の生きる糧となっていたのだと思います。だから…うまく、言えないんですけど…祖母は、少なくとも祖母は、不幸せでは、なかったはずです。」
坂本さんは、ホッとした顔で、肩の力を抜けさせた。
そして、また切なく、静かに笑って…
「安心しました。由紀子が、そんな人生を送れたのなら、十分です。これで、私の人生も、終止符を打たないとなりませんね。もう、何も思い残すことはありません。スヴァリさん。やっと来てくださいましたね。」
「どういうことだ?」
スヴァリが驚き、聞き返す。
「お忘れですか?私とあなたは、遠い昔に、会ったことがあるではありませんか。」
「…どういうことですか?坂本さん。」
私もスヴァリと同じように聞き返す。
あれは…60年、いや、もっと前、65年以上前のことです。
由紀子と離れて、私は私なりに、戦後の日本から立派に生きようと、そう思っておりました。でも、片足のない私には、仕事もそうそう手に入らなく、お金も底をつき、由紀子のいない人生で、何か生きる希望となるものなど、ありませんでした。片足がないのを悔やんでも、由紀子を置いて出て行ったことも、悔やんでも、遅いのに。
気づいたら、非常階段から飛び降りようとしていました。でも、それを助けてくれたのが、スヴァリさん。あなたですよ。
『どうして!助けたのですか!』
私の前には、空中に浮く、人間ではない死神らしき、スヴァリさんがいた。飛び降りようとしていた私の体を引っ張って、命を助けてくれました。
『…何故、死のうとする。』
『何故…って…』
顔色一つ変えずに、静かに私にそう聞いたのです。
『…由紀子のいない…こんな人生に、加えて、片足もない…そんな私がこの世界で、人間として、生きるのには、あまりにも…無理なことです…』
『由紀子、とは、あんたの恋人か』
『…はい。片足のない私を家に置いてくれた心優しい人でした。それでも…私がいても、由紀子の人生は私によって崩れる。それなら、そう思って家を出ましたが…私にはあまりにも、無理なことでした……由紀子が今、苦しい生活を送っていたら、由紀子が…泣いていたら、お金がなくなっていてみすぼらしい生活をしていたら…それは全て私の責任です…』
私は、スヴァリさんが前にいながらも、大人気なく涙を流していました。終戦後、特需景気を迎えるまで、私には職がありませんでしたから…。ましてや、片足もなくて、雇ってくれるところもわずか…
そんな私に対して、スヴァリさんはまた、顔色を変えずに、私に聞いたのです。
『その女が今でも好きか?』
『え?』
『その、由紀子という女が今でも好きなのか?』
『…当たり前でしょう…いつまでも、いつまでも忘れられない私の唯一の人ですから。』
私がそう言うと、スヴァリさんは、かすかに微笑んで言ったんです。
『それなら、それでいいじゃねえか。そんなに好きな奴なら、その女の幸せだけを願って、その女が幸せに生きている姿を想像するんだ。』
『…え?』
『そんなに好きなら、悲しい姿を、想像するな。幸せに、楽しい人生を送っていることだけを考えろ。そして、あんたも、生きろ。あんたはまだ死なない。死なせない。生きる人生を与えられているんだ。その人生を生きてやり遂げることも、あんたの責任だ。』
『……せき、にん…。』
私に、そんな言葉をかけてくれたのは、スヴァリさんだけで、普通の人は、みんな哀れそうな顔をして私を見ます。でも、スヴァリさんだけは純粋に生きろ、そう言ってくれたんです。由紀子が幸せに生きている姿は、辛い姿よりももっと簡単に想像できました。そのくらい、由紀子の幸せになる確率が高いってことだと、自分に言い聞かせたんです。
『…あんたが死ぬ、その時が来たら、俺が、この俺が、天に送ってやるよ。』
「まさか、その約束を守ってくださるとは、思いませんでした。あなたに再会して、この話をするまで、私は死に切れませんでしたよ。この60数年間、再会するのが本当に楽しみでした」
……まさか、坂本さんの未練が、スヴァリと再会することだったなんて思いもかけなかった。おばあちゃんとのことかと思っていた。坂本さん…よかった。
「…坂本さん。よかったです。」
私が、自分でも気づかないうちにそう言っていた。
坂本さんも、私に聞き返すような表情をしていた。
「祖母のことで、ずっと悩んで生きていらしたのではないのですね。祖母からの命を捨てずに、きちんと守ってくださったんですね。スヴァリと出会って、スヴァリに会うために、そんな理由を持って生きていたのですね。私は、それで心から安心しました。きっと、祖母も、喜んでいると思います。坂本さんが、祖母への手紙を残してくれたからこそ、祖母もまた前を向いて、結婚し、子供を産み、育て、孫を育て、そんな人生の中で、あなたからの手紙があったからこそ、祖母は、踏ん張れたのだと思っています。そして、坂本さんご自身も、こんなお家を建てることができるほど、前を向いていて…。本当にありがとうございます。」
私は、床に頭をつけながら頭を下げた。
おかしいな。未練を探しに言ったのに、私がいろいろ教えてもらって…
「…本当にそっくりですよ。由紀子の若い頃にそっくりです。由紀子の元へ行けたら、こんなにも素晴らしいお孫さんができたなんておめでとうと、そう伝えておきます。」
坂本さんは、お茶をもう一度入れ直して、その後、スヴァリと私と坂本さんで一緒に記念として写真を撮った。
60数年間スヴァリを待って、やっと肩の荷が下りた坂本さん。亡くなるまでの数日間は静かに過ごしてください。
もう夕方だ。
赤い夕焼け。久しぶりの、この世界での夕焼け。
美味しそうな香りが外から坂本さんの家まで香ってくる。
なんで、私たちは、こんな風にしか生きれないのだろう。
もう少し要領よく生きることができればいいのにな…。
坂本さん…おばあちゃんは、おじいちゃんと結婚した後も、きっとあなたを想っていましたよ。本当に心が通じ合っていても、そばにいられない理由ってなんだろう。二人はそばにいたかったのに、いつまでも、二人なら何も怖くなかったはずなのに。なんで、人間って、相手のために離れちゃうの。相手のためって、本当は生きるためだ。人間は、一人になった瞬間本当の自分がわかるんだ。坂本さんは自分の無力さに、おばあちゃんは自分の弱さに…気づかなくてはならなかった。それでも、二人で生きる方法はなかったのかな。二人で気づいて、二人で補うことはできなかったかな。今考えても全ては遅い。
だからこそ、私は、私らしく、おばあちゃんの代わりに、自分という存在を抱きしめて、私だけに私を預けるのよ。
「…まさか、坂本さんの未練が、スヴァリだったなんて。」
帰り道、スヴァリと話をしている。
「俺もすっかり忘れてた。」
「最低ね。ふふ。ま、でも結局は守ったんだものね。約束。」
その後、私にキスをしたスヴァリは、私にクレープを買ってくれて、最後はずっと私の手を握ってくれた。
その間も夕焼けは静かに輝いて、その夕焼けがなくなるまで、私たちは、地上界で、人間らしいことをした。
その3日後。
坂本功さんは、自宅で眠りながら静かに息を引き取った。
亡くなる直前まで、見ていた写真は、私と、スヴァリ、そして功さんと撮ったあの日の写真だった。そして、枕元には、おばあちゃんと功さんのツーショットが、静かに飾られていた。
宮廷に向かい、神室に入ると、バルメディ様は待ってましたと言わんばかりにもう椅子に座っていた。
「うまく言ったようだな。」
「はい。無事、送ることができました。」
「そうか。これなら、他の神官も文句は言うまい。復帰の準備をせよ。」
バルメディ様は、椅子から立ち上がり、私にそう言った。泉。神官に戻れるぞ。待っていろ。良い知らせだ。
そう思いながら、俺は早歩きで、城へと向かっていた。
そんな俺の前に一人の影が入った。
「お待ちください。旦那様。」
「…ヴォント。」
俺の前に現れたのは、ルサファの専属内官であり警護係であるヴォントであった。
「…城を出て、こんなところへ。何の用だ?」
俺は、この男が苦手だ。何を考えているかわからない。
時々、不気味な笑いを浮かべて、何もかも知っているような顔をして、ルサファとは真反対な性格だ。掴み所がなくて、どう接すれば良いのかわからない。
「…ヴォント。何の用だ?」
「………ます。」
「え?」
聞き取れないことでそう言う、ヴォントは、信じられないくらいの睨み目で俺を見た。
「…神官の地位は、ルサファ様のもの。」
「!」
「…すぐ、奪い返します。そして、奥様の心も、全ては、ルサファ様のもの。」
そう言って、ヴォントは、立ち去った。
どういうことだ。ルサファは野心家ではない。ヴォントの独りよがりか?いや、違う。少なくとも、泉ことは、ルサファの本心?どういうことだ。
泉の心はルサファのもの…?
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました
平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。
騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。
そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる