僕の秘密 彼女の不思議

三五八11

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流れる時、流される人、流れを作る影

流れる時、流れてしまう時、流れにくい時

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カンナが突如大声で
いろいろ叫び始めた。
感情が爆発する
よく聞く言葉と思っていたが
これがそうか。とオクトは考えていた。
ぼんやりと眺めて
『って、おいぼんやり見ててどうする』
とココロでつぶやいてから
カンナを抱きしめる。
そして、カンナが泣き叫ぶ言葉の断片を
少しづつ拾っていくと
「それでも母親か」
「私には両親がいない」
「とにかく一緒にいてほしかった」
などだが、基本的には『さみしかった』
と言うことだろう。
と感じると、なぜか自分の両親に対しての
負の感情がオクトを襲ってきた
そして「それでも人の親ぁかぁ~」
と、ありふれた言葉を怒鳴っていた。

無表情とは違う、無感情になった人の顔
と言うのが正しい言い方だと思う。
オクトには長官の、カンナの母親の顔は
そのように見えていた。
この場所にもう1つ別の眼が
カンナを、オクトを、長官を見ていた。
カタン
一番早く反応したのは葉月だった。
反応という言い方は間違いで
音がなる前に葉月は気づいて動いていた。
もう1つの影、存在が
わざとその音を立てる事を。
無意識に、「出雲!」
と叫んだ。
「さすが先輩」とくぐもった声
嫌、陰湿さを少し含んだ湿り気のある
しかし、なぜか通る声の主は
出雲と呼ばれたことにだけ返事をしたようだった。
そして、左手には拳銃が握られていた。
「なんだよ、この茶番は」
このトーンが少し変わった。
2重人格?瞬時に人格が入れ替わる
そんな人がいるというのは
何かの本で読んだことがあったオクトは
この男もそうなのかも?
と直感的に感じとった。
しかし、オクトが驚くのはここからだった。
「オクトとかっていうお前。
 結構賢いんだな。
 俺の秘密を感じるとは。」
当たっていた。この出雲と呼ばれた男は
2重人格であるらしい。
オクトだけでなく、全世界に聞こえるのでは?
と思えるほど、男の声は
大きくはないのに、透き通り響き渡る声が
一人芝居の演者のように
屋や芝居じみた感じで、話をつづけてきた
「オクトとやらの病気は不死
 カンナさんの病気は不老。
 こんな二人の間に生まれた子が
 幸せになれるのか?」
と、一気に話をした後オクトに銃口を向けた
が、
「心配するな。まだ撃たない」
「境遇が違うものどうしは、分かりあうのに時間がかかる。
 しかし、俺とカンナさんは同じ病気だから
 お互いを分かり合える。」
オクトは驚いた。
この出雲という男がカンナと同じ病気であることより
この病気が男性でも発症することがある。
女性にしかかからない病気だと思っていた
男性はカンナと同じ病気にはならないのでは??
と勝手に思っていた。が事実は違った。
今、目の前にカンナと同じ、不老の病気にかかった男性がいる
「お前達二人が世界で一番不幸だ
 とでも言いたいのか?」
オクトは「そんな・・・
出雲が「俺はカンナや葉月さんと同じ病気なんだ!
    しかも
葉月が「自分の事を話すのは珍しいな」
と言葉が被っていく。言葉が遮りあっていく
いろいろな人が
言葉を遮る会話は
オクトは心の奥がズキっとする。
いつも母親にされてきた事だから
言い訳も、謝罪も何もかも
言い切る前に遮り
罵倒もしくは暴力で…
そして、諦め、従順の先に母親の笑顔がある。
「葉月さん、その男とカンナさんが
 本当にお似合いだと?」
「・・・・」葉月は応えない。
『っておい、ここはとりあえず
 「お似合いだ!」って返してくれねぇか?」
と心の中でオクトがつぶやくと
葉月と出雲が同時に
「お似合いの訳ないだろう!」
しかしその先が違った出雲が黙っただけなのかもしれないが
葉月は続けた
「全く違う奇病をもった人同士
 感性が通じる訳でもない。
 そういった意味では出雲の方が
 お似合いかもしれない」」
と葉月が言い切った後の沈黙を出雲が破る
「さすが先輩!葉月さんはやっぱりスゴイわかってる」
ふぅ~~~~~~~~~っ
と葉月は深いため息をつく。
「そういう意味じゃない。
 わかってくれとは言わない
 でも、そういう意味じゃなんだ、出雲」
「全然わかりません。
 大体そいつ何歳ですか?」
「だから私たちの病気の観念で考えるな」
ため息のような葉月の声は
初めて聞いたかもしれない。
「どういうことですか?」
出雲はやはりわかっていないようだ
オクトの病気のことについては
「俺の病気は、あんたとは違う」
と葉月を押しのけて前にでる。
「なんだてめぇ」
出雲の叫び声は
より大きな音に遮られた
部屋に響き渡る銃声と言う大音量の音に
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