気になるなぁ日記3

三五八11

文字の大きさ
上 下
384 / 755
2024年1月

占い

しおりを挟む

「空。でも、どうして急に、腕輪なんて、難儀なものを」

「昔、家に来るおじさんが『親切にされたら、ちゃんと真心を返さなければ』って。ごめんね。これからいっぱい返すから………」

「返したら、空は何処かへ行ってしまうのか?」

「だって、そうにいちゃんは、だって………」

    瞳に涙をためた空は顔を背けた。青白い、いくら外で遊んでも焼けない肌。どちらかというと蒼も色白の方だが、比べ物にならない。青い静脈と透ける肌と首筋に、匂いたつほどの色気を感じた。

 無理矢理抱きしめて、次の間の布団に押し倒し、純潔を奪ってしまいたいと思った。組み敷いて「怖くないよ」とやさしく唇を奪って、肌を重ねたい。

 こんなもの、お伽噺だ。叶わない。空はそういう目で自分を見ていない。

「どうしたの?そうにいちゃん、悲しい顔してるよ」

「……空がこの村の約束の十五歳になったら、祝言をあげよう。そうにいちゃんの珠合わせの相手になってくれ」

「珠合わせって、結婚なんて出来ないよ。この家に、空は『身の程知らず』でそうにいちゃんを『籠絡』したって言われてる。籠絡は、間違いだと思うけど、身の程知らずっていうのは、空もそう思う。空じゃ、不相応だよ」

    蒼は、身をのりだし空の頬に口づけた。空の箸から甘く煮た黒豆がポトリと落ちた。蒼はじっと空の瞳を見つめて話を続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...