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可愛いが止まらない。~フロウside~

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「ご無沙汰しております。ウリエルさん。クレハさん。」

やっと見つけた。

よりにもよってここはデートスポットとして有名な場所で、明日僕が兄さんを連れてこようと思っていた場所だった。

ウリエルさんからの伝言を聞いていてもたってもいられなくなった僕はとある筋に依頼してウリエルさん達を探してもらい監視、随時報告をしてもらっていた。
あんなに絶叫したのは初めてかもしれない。
執務室が防音で本当に良かった。


私は必死に仕事を片付けていき、ようやく終わりが見えた頃、この見晴台方面に向かったという報告を受けた。

その瞬間、僕は開いていたファイルを閉じ、コールパネルで馬車を呼んだ。


見晴台に着くとセントラルが一望できる場所にテーブルセットが設置され、そこに兄さんとウリエルさんが僕に背中を向けて座っていた。
僕は兄さんなら体の一部だけでも分かる自身がある。

二人の光景を見た瞬間、胸が締め付けらたように苦しくなった。これは嫉妬だ。
ただ二人で座っているだけ。それだけなのに……。

ゆっくり近づいていくとクレハさんが僕に気が付き、二人も振り向いた。

兄さんの顔見た瞬間、落ち着かせたはずの嫉妬が再燃した。
兄さんの隣にいるのは僕のはずなのに……。

挨拶すると、ウリエルさんが引き攣った顔で僕を見た。

兄さんも驚いている。

クレハさんの表情は変わらない。

「ウリエルさん、勝手に兄を連れていくなんて、誘拐ですよ?」

「心配をかけないように伝言をしただろう!」

「ほぼ事後報告ではないですか。僕だってまだちゃんと兄さんと出掛けていないのに……。」

言っててだんだん殺意が沸いてきた。

これが彼等でなければ容赦なく……

「ロウ、ウリエルをあまり攻めないでほしい。沢山引っ越し祝いも買って貰ったんだぞ!日用品も買って貰ったし。それに色々案内もして貰ったし、美味しい店も教えてくれたんだ。明日は買い物しなくて平気だからお前のオススメの場所に案内してくれよ。な?」

「……はぁ。ウリエルさん、引っ越し祝いありがとうございます。有り難く頂戴致します。」

そんな笑顔見せられたら許すしかないじゃないか……。僕は兄さんに甘くて弱い。これが惚れた弱みというやつだろうか。

「いや、いいんだ受け取ってくれ。ミカ坊も世話になったしな。」

「そうだロウ、俺お前の友達の会いたいから家に招待しいんだけどいいか?」

え?ん?家に僕の友人を呼ぶ?

「え、兄さん急にどうしたの?」

「いや、ほら俺こっち来たばっかりで知り合いいないしさ。それならお前の事分かってる友達と仲良くなりたいなと思ったんだ。それにお前の話とかも出来るじゃん?」

くっ……そんな可愛く小首傾げて僕を殺す気なの?しかもその理由……僕の事知りたいからとか……ダメって言えないでしょ!!

「……兄さんがそう言うなら……でも、もう少し落ち着いてからだからね。」

「良かった!ありがとな、ロウ!」

あぁ……可愛い…抱き締めたい……。

「……あは、ルカの威力は驚異的だな。クレハ、そうと決まれば僕のスケジュールをフロウに教えてくれ。」

「畏まりました。」

「ルー兄さん、帰るから先に馬車に乗ってて。荷物の積み替えもあるでしょ?」

「わかった。ウリエル、クレハ、今日はありがとな!またな!」

「ああ、また会おうルカ。ミカエルの事も宜しく頼むよ。」

「ルカ様、本日は無理矢理お連れして申し訳ありませんでした。今後とも宜しくお願い致します。フロウ様、こちらがウリエル様のスケジュールでございます。」

兄さんは二人に手を振ると小走りで駆けていった。
僕はそれを見送るとクレハさんに耳打ちした。

「ウリエルさんが仕事の日にしたいので代役を立てていただけますか?」

「……今回はウリエル様と私の非です。そのお話お受け致します。」

「クレハさんは来て下さいね。あなたが来た方が彼にダメージが大きいので。」

少しは反省して貰わないと僕の気が収まらない。
これくらいしたって罰は当たらないだろう。

「……畏まりました。今回はウリエル様が申し訳ありませんでした。主に代わり謝罪致します。」

「……過ぎたことですし、兄にも言われたのでもういいです。ただ……」

僕は最後に耳打ちを止め、二人に聞こえるように口を開いた。

「今後このような事があった場合は、さすがに僕も我慢出来かねますよ?」

笑顔のまま二人に忠告すると、ウリエルさんの肩が一瞬ビクリと跳ねた。
思わず殺気を放ってしまった様だ。いけないいけない。

兄さんの事に関してはどうしても余裕が無くなってしまう……本当に格好悪いな……。

兄さんを恋人に出来たら少しは安心きるのだろうか………いや、無理だな。無理無理。

「ローーウ!!帰らないのかーー?」

振り向くと、積み替えが終わった兄さんが馬車の入り口から体を乗り出し手を振っている。

「兄さんが呼んでるので失礼しますね。」

「あ、ああ。今日買った大きい物は後日配送されるからな。」

「お気を付けて。」

「ありがとうございます。では、また。」

ヒラヒラと手を振るウリエルと、美しく礼をするクレハに軽く会釈をすると馬車に向かって歩きだした。

兄さんはまだ体を乗り出したままニコニコしながら僕を待っている。ああ、可愛い。

「ほら、ロウ。」

「え?」

僕が馬車まで来ると兄さんは僕に手を差し出して来た。思わず固まった。

「ほら!えーと、エスゲート?だっけ?ほら、捕まれよ。」

エスコートの事?

「ふふ、兄さん、もしかしてエスコートの事?エスゲートって何のゲートなの?ふふっ…ふふふ。」

可愛い、可愛すぎる。

僕が笑いながら兄さんの手を取ると、兄さんは恥ずかしそうに顔を赤らめた。
うぅっ……このまま腕を引いて抱き締めたい……。
必死に理性に打ち勝った僕は兄に手を引かれ馬車の中に入った。当然のように兄の横に腰を下ろす。

兄はこれが当たり前であると思ってくれた様で何も言わない。
先程のエスコートもまたしてくれるかもしれないから詳しい事は黙っておこう。

「ルー兄さん、楽しかった?」

カーテンを開け窓の外を見つめる兄さんに声をかけると、兄さんは僕に笑顔を向けた。

「おう!すごい楽しかった!でも明日も楽しみだぞ?」

「うん、僕もすごく楽しみだよ。いろいろ見て回ろうね。」

「そうだな!」


ああ、幸せ。昼間はどん底だったけど、結果オーライかな。

早く兄さんと恋人になって抱き締めたりしたい。

「どうしたロウ、思い詰めた顔してるぞ。」

「あ、気にしないで。今後について思案してるだけだから。」

「?」

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