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第1章
その4
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「え!?お嬢様!?どうしたのですか?!忘れ物でしょうか!?」
リリアの部屋の掃除をしていた
ナナはいきなり大きな音を立てて扉が
空いたことに
シーツを寝台から剥がしている手を止めて扉の方に目を向けた。
そしてその扉の前に
先程お見送りした主のリリアが
立っているのだからナナは驚いて
リリアの前まで慌ててやって来た。
「違うのよ!ナナ!思い出したの!学園なんか行っている場合じゃないの!」
リリアはカバンを足元に落として
勢いよくナナの両手を掴み
ブンブンと振り回す。
「お、お嬢様!何がですか!?行っている場合じゃないとはどういうことでしょうか?」
興奮気味に目を輝かせるリリアを
ナナは訝しく思う。
学園に行っている場合じゃないとは
何事があったのか。
ナナは考えるが何一つ思い浮かばない。
「そうね!そうよね!ナナにはわからないよね!あのね、やりたいことがあるの!」
ナナは一瞬馬鹿にされたのかと思ったが
リリアの言葉を聞いて聞き返す。
「やりたいことっていうのは?」
「洋服を作りたいの!」
間髪入れずにリリアは言った。
「よ、ふく?」
しかしナナはその言葉を初めて聞き
リリアが何を言っているのか
さっぱりわからなかった。
「あ、そうよね。この世界には洋服なんてないのよね。んー…とりあえずナナ!手伝って!お願い!」
ナナの両手を持ち上げて
目をキラキラさせながらお願いをする
リリアをナナは同じ同性であり
長年の主でもあるにも関わらずその可愛さに一瞬ドキッとしてしまう。
「何かは存じませんが私でお役に立てるのであれば喜んでリリア様のお手伝いをさせていただきます。」
ナナはこのリリアのお願いに
めっぽう弱かった。
ナナがこのハルベルト家に
雇われたのはリリアが記憶をなくしてから4年後。
ナナの家は代々このハルベルト家に
仕える家系でナナもリリアが10歳になったのを機に14歳で仕えることになったのだ。
リリアの話し相手兼侍女として。
4歳年下のリリアをナナはとても
可愛らしく思えて
リリアも主と侍女の関係ではなく
姉のようにナナにすぐに懐いた。
そんな幼い頃からずっと共にしてきた二人。
ナナにはリリアは主であり
大切な可愛い妹だったのだ。
そんな可愛い妹のお願いには
当たり前になんでも聞いてあげたくなる。
リリアが言うお願いは
突出したようなワガママで
理不尽なことは一切なかった。
もちろん主だからといって
強制するのでなく、
ナナでも簡単に叶えてあげれるものばかり。
だから殊更にナナはリリアの
お願いに弱いのだ。
「ありがとう!ナナ!早速だけどお父様は今屋敷にいる?」
「旦那様は今お城に出城しております。帰ってくるのはおそらく夕方になるかと。」
「あーそっかぁ。たしかにこの時間はお城で執務中よね。はしゃぎすぎていてすっかり忘れていたわ。んーじゃあとりあえず仕立て屋を呼んでくれる??」
「仕立て屋ですか??畏まりました。」
「ありがとう!よろしくね!」
お互いニコリと笑いひとまず
ナナはやりかけていたシーツを外してから部屋を退出した。
(お嬢様は何をやりたいと言うのか。)
ナナは訝しく思いながらも
使用人の一人に仕立て屋を呼ぶよう
頼んだ。
リリアの部屋の掃除をしていた
ナナはいきなり大きな音を立てて扉が
空いたことに
シーツを寝台から剥がしている手を止めて扉の方に目を向けた。
そしてその扉の前に
先程お見送りした主のリリアが
立っているのだからナナは驚いて
リリアの前まで慌ててやって来た。
「違うのよ!ナナ!思い出したの!学園なんか行っている場合じゃないの!」
リリアはカバンを足元に落として
勢いよくナナの両手を掴み
ブンブンと振り回す。
「お、お嬢様!何がですか!?行っている場合じゃないとはどういうことでしょうか?」
興奮気味に目を輝かせるリリアを
ナナは訝しく思う。
学園に行っている場合じゃないとは
何事があったのか。
ナナは考えるが何一つ思い浮かばない。
「そうね!そうよね!ナナにはわからないよね!あのね、やりたいことがあるの!」
ナナは一瞬馬鹿にされたのかと思ったが
リリアの言葉を聞いて聞き返す。
「やりたいことっていうのは?」
「洋服を作りたいの!」
間髪入れずにリリアは言った。
「よ、ふく?」
しかしナナはその言葉を初めて聞き
リリアが何を言っているのか
さっぱりわからなかった。
「あ、そうよね。この世界には洋服なんてないのよね。んー…とりあえずナナ!手伝って!お願い!」
ナナの両手を持ち上げて
目をキラキラさせながらお願いをする
リリアをナナは同じ同性であり
長年の主でもあるにも関わらずその可愛さに一瞬ドキッとしてしまう。
「何かは存じませんが私でお役に立てるのであれば喜んでリリア様のお手伝いをさせていただきます。」
ナナはこのリリアのお願いに
めっぽう弱かった。
ナナがこのハルベルト家に
雇われたのはリリアが記憶をなくしてから4年後。
ナナの家は代々このハルベルト家に
仕える家系でナナもリリアが10歳になったのを機に14歳で仕えることになったのだ。
リリアの話し相手兼侍女として。
4歳年下のリリアをナナはとても
可愛らしく思えて
リリアも主と侍女の関係ではなく
姉のようにナナにすぐに懐いた。
そんな幼い頃からずっと共にしてきた二人。
ナナにはリリアは主であり
大切な可愛い妹だったのだ。
そんな可愛い妹のお願いには
当たり前になんでも聞いてあげたくなる。
リリアが言うお願いは
突出したようなワガママで
理不尽なことは一切なかった。
もちろん主だからといって
強制するのでなく、
ナナでも簡単に叶えてあげれるものばかり。
だから殊更にナナはリリアの
お願いに弱いのだ。
「ありがとう!ナナ!早速だけどお父様は今屋敷にいる?」
「旦那様は今お城に出城しております。帰ってくるのはおそらく夕方になるかと。」
「あーそっかぁ。たしかにこの時間はお城で執務中よね。はしゃぎすぎていてすっかり忘れていたわ。んーじゃあとりあえず仕立て屋を呼んでくれる??」
「仕立て屋ですか??畏まりました。」
「ありがとう!よろしくね!」
お互いニコリと笑いひとまず
ナナはやりかけていたシーツを外してから部屋を退出した。
(お嬢様は何をやりたいと言うのか。)
ナナは訝しく思いながらも
使用人の一人に仕立て屋を呼ぶよう
頼んだ。
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