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シェニー視点

嫌がらせ

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2日後、その日の昼食は
アインス様とマーケル様の三人で
サラさんがくるのを待っていた。
その日はサラさんが後から行くといってアインス様と一緒に来なかった。
昼休みの半分を過ぎても来ないので心配になって彼女の教室に向かった。
 
教室をのぞくとその光景に驚く。
 
ぽたぽたとスカートの裾から
水滴が零れ落ちていく。
どうして。
いや誰が。
 
誰が彼女をこんな目に合わせたのか。

全身びしょぬれになりながら自分の席の前で茫然と立ち尽くしていた。
 
「サ・・」
 
私が声をかける前に
アインス様はさっと彼女の前に行き
自分の着ていたブレザーを彼女の肩にそっとかけた。

「サラ。大丈夫か?医務室に行こう。」
 
泣きそうな顔で震えながらうなずくと
アインス様と一緒に教室を出ていく。
私の横を通って。
1秒1秒がとても長く感じた。

何も動けず何も声をかけれず
ただじっと二人を見ることしかできなかった。

足音が聞こえなくなるまでその場を動けず二人を追うことができなかった。
 
「シェニー様。行きましょう。」
 
一緒に来ていたマーケル様が声をかけてくれたおかげで
なんとか体を動かし
マーケル様にひかれるまま一緒に再び中庭に向かった。
 
完全に意気消沈している私を彼は何も言わずにただずっとそばにいてくれた。

サラさんは大丈夫だろうか。

 
鐘が鳴り自分の教室に戻る。
アインス様はそのまま放課後になっても戻ってはこなかった。
 
そしてその日からサラさんに対する嫌がらせは増していった。
アインス様は彼女を守るように授業が終わるたび彼女のもとに向かう。
放課後も彼女の家の馬車がくるまで彼女のそばを離れなかった。
 
そしてその嫌がらせをしている犯人は
シェニー様だと。噂は瞬く間に広がっていった。

彼女に水をかけたのは私の指示だと。

 
どうしてそんな噂が出回ったのか。

サラさんとお昼を共にすようになっても
彼女とはただそこで時間を共有するだけで特別話すことはなかった。
いつも一言、二言かわすだけ。
サラさん自身も私と無理に話そうとはしなかったし
記憶が戻る前の私は彼女をひたすら無視していたからそうなるのもおかしくない。
 
マーケル様と四人で食事をするようになってからも
それは変わらなかった。
 
 
そんな関係だったために噂が広まってしまったのだと思う。
彼女との関係を良好にすることをしなかった私の落ち度だ。

 噂のことはそれほど
気にはしなかったけど
それを聞いたクラスの人たちや
マーケル様。アインス様はどう思うのか。
そしてサラさんはそのことで更に傷ついたのではないだろうか。


 
もしかしてこれは小説の中にあった
シェリーがサラさんを苛めているシーンにあたるのだろうか。
知らない間に小説のシナリオ通りに動いている気がする。
 
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