Salut d'amour

Allegroの速さで

憧れの彼と毒舌のアイツ

土曜日。
「えーと、新一年、全員揃った？」
コンサートで部長だと名乗った円香先輩だ。
その隣では副部長の綾部先輩♡が人数を数えている。
「…多分、大丈夫だよ。」
「よし。………。新一年生の皆さん、おはようございます！」
『おはようございます！』
「休日にわざわざ集まってくれてありがとう………といっても、これからは平日土日祝祭日も毎日練習だけどね。これから楽器決めをします。自分の希望する楽器のパートリーダーの所に行ってください。希望楽器にならなくても文句言わんとってな。じゃ、よーい、ドン！」
「まな、後でね。」
「うん。」
和歌はダブルリードパートへ走って行った。
私もフルートパートに行く。
「フルート希望？私がフルートパートリーダーの安中華乃です。呼び方は何でもオッケーだよ。」
「ふっ、フルート希望の天海愛香ですっ。My楽器持ってます。よろしくお願いします…。」
「そんなに緊張しなくていいよ～。愛香ちゃん、よろしくね！」
「はいぃ～っ。」
盛大に声を裏返したその時、綾部先輩が駆け寄ってきた♡
「安中さん、第一希望は9時10分で締め切ってオーディションなりジャンケンなりして～、だって。」
「了解～！」
綾部先輩が颯爽と走り去った。カッコいい♡
「アンタ、」
「へ？」
「にーちゃん見るときなんでそんなに目キラキラすんの？にーちゃんのこと好きなの？」
「へ？そそっ、別にそういうわけではっ、なな無いけど…。」
「にーちゃんとアンタが付き合いますーて言うたらアタシが許さんから。」
「だ、だからっ……」
「フルート希望の綾部美空です。よろしくお願いしますー。」
私はぽかんとしてしまった。まさか、あの綾部先輩に毒舌の妹、しかもフルート吹きがいたなんで…！
「………。あっ、美空ちゃん、だよね。フルートパートリーダーの安中華乃です。よろしくね！」
華乃先輩も呆気にとられている。
「華乃先輩、10分来ました。」
ツインテールの先輩が来た。
「希望者は二人、ですか。ぴったりですね！」
「あ、彼女はピッコロの保泉藍ちゃん。私なんかよりもしっかりしてるの。」
「先輩よりしっかりしている、は違うと思うけど保泉藍です。よろしくねー」
「で、愛香ちゃんと美空ちゃんはフルート決定～！おめでとう～！」
『ええっ？！こんな奴と？！』
ハモってしまった。
「ふふっ、二人、仲いいのねぇ。」
「ですねぇ。」
『仲良くないですっ！！！』
まるで保護者のように笑う先輩たちについつい言い返してしまった。しかも声を揃えて。
「はいはい。パート練習にご案内しまーす！美空ちゃんの楽器決めるぞー！」
「レッツゴーでーす！」
先輩に引っ張られ、パート練習に向かった……。