社内恋愛はじめました。

柊 いつき

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90.again③

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「はい、よく言えました」

まるで先生が生徒に言うみたいに褒められたわりには、私にまわされた手は不埒な動きをしていた。背後から髪を片側に寄せ私の首筋に顔を寄せる。器用に私のシャツのボタンを外しにかかり、私の項を舌や唇を使い、やんわりと私の身体を刺激してゆく。その真綿に包んだような弱い刺激でさえ、私を誘うのには充分だった。

「...はっ」

短いため息とともに、脚がピクッと勝手に動いてしまう。シャツのボタンを全て外し終えた藤澤さんの手がスルスルと降りて私の太腿を撫でたからだ。膝からゆっくりと腿の付け根まで上がってくる彼の指の動きは滑らか。それでいて、ショーツのギリギリのところを掠める。彼の顔が見えないのとそのもどかしい動きが辛くて、その手を自分の手で抑えるように止めにかかった。

「それ、いや...です...」

「何が嫌なの?」

私に言われても太腿を撫でる手を止めてくれなくて。

「だって、こんないきなりっ...」

もっと語気を強めて言うと、ようやく手を引っ込めてくれたけれど。

「あぁ、ごめん。まだ...」

私の身体を横抱きに背中を支え、彼は自分の身体を近づける。あっという間に私の逃げ場はもっともっとなくなってしまい、不安になりながら藤澤さんの顔を見上げてしまった。すると、「大丈夫」と優しく笑みを浮かべ、今度は真正面から首筋に唇を這わせてゆく。

「あっ...」

そうして、その唇は上へと上がり、私の唇を食むように重ねてきた。ゆっくりと挟み込まれ、私は息を止める。何度も啄むようなキスにたまらず息継ぎをする為に唇が自然と開いてゆく。そのできた隙間に舌を入れられた。舌を絡められ、それに応じるのは恥ずかしかったけれど、気持ち良いい。微かに身体が震えるような刺激に、バランスを崩しそうになり咄嗟に彼のシャツを縋った。

「ん...っ...んっ...」

その不安定な体勢は彼にしっかり抱き込まれることにより安定する。唇を貪られることのみに集中して、考えることを放棄する。それでも、フワリと浮かぶ感覚は分かった。
彼にソファーから抱き上げられたことに気がついた私は、慌てて唇をはなした。

「...わ、私、重い...」

人生初めてのお姫様だっこ。どうしていいか分からない私に対しての答えは、再び、唇で。

「....っぅん」

彼にキスをされると、身体が甘く痺れ力が抜ける。そんな唇を塞ぐような深いキスをずっと繰り返されながら、寝室のベッドの上に寝かされた。

「あっ...」

彼の唇がはなれると、私の唇は名残惜しそうに息を吐く。唇自体に麻酔がかかっているみたいに甘く麻痺が残っている。彼は私の顔の横に手を置き、じっと私を見下ろしていた。その切れ長の目は蠱惑的で、私を魅了してやまない。ただ、彼に丹念に見られることに慣れていない私は、天井の灯りが煌々としているのが気にかかる。

「あ、あの...」

恥ずかしいから電気を消してという目配せをすると、「ダメ」と一蹴されて、それでもお願いするとようやくベッドサイドの灯りだけにしてもらえた。
薄暗い明かりの中で何もされずにジッと見つめられるというのは、どうしようもなく恥ずかしいことで目が泳いでしまうと彼がクスっと小さく笑うのが見える。

「そんな顔、俺以外には見せて欲しくないな」

「え...私、そんなに変な顔して?」

私は自分の変顔を見られまいと両手で隠すと、手を取られた。彼はその手の甲にキスをして、頰にも。その時に微かに笑いかけてくれた彼の顔は素敵だ。

「すごく可愛いからだよ」

その言葉にズクンと身体の内側が疼いてしまう。その疼いた理由が分からないままに、キスをされた。既にボタンが外されていたシャツは脱がされ、ブラのホックはフロントホックにもかかわらず、片手で難なく外された。

なんでこんなに簡単に?と戸惑う間にキャミソールは上へとたくし上げられ、指先で鎖骨のラインが撫でられる。

「あん...っ」

その動きは、くすぐったいのと感じてしまう絶妙な所を行き来し、私の息がすぐにあがってしまう。目を閉じて、グッと息や声を堪えるように顔をそらすと、その手は動きを変え、私の乳房を下から揉み上げた。

「あ....っん...」

その動きに思わず声を上げてしまうと、乳房の頂が舌でコロコロと転がされるように舐められる。直接的な刺激に背中を反りかえらせるように喘ぐと同じ場所を執拗に責められた。その愛撫にはどういうわけだか下半身も疼き、身体全体が反応を示しだしている。彼はじっくりと私の反応を楽しんで、慣れた手つきで私が身につけているものを全て取り去った。

「綺麗だよ」

私が生まれたままの姿になると、彼は掠れた声で私の唇にキスを。馴染まされるように素肌を合わされ、彼の重みを感じていると足の付け根に手を這わされていた。グッと大きく脚を開かれあられもない姿を晒した私は脚を閉じようとしても、彼の手と身体に阻まれてしまう。

「やっ...そこは、ダメ...です」

「どうして?」

「へ、変な声が....私....あっ」

話している途中で腰が揺れる。その原因は彼が訴えを無視して、私の内側を指で触れたから。彼の指を私はゆっくりと飲み込み、中を探られると濡れた音が聞こえてきた。さらに、敏感な部分に触れられると身体がビクんと震える。

「........っん」

おまけに胸まで揉み揺らされているものだから、身体が熱くなり、ジワジワと何かに追い詰められるような熱が身体中を拡がってゆく。その何かに下唇を噛むように必死で堪えていたのに、彼は耳元で優しく尋ねる。

「ここ、気持ちがいいみたいだね」

私をこんな状態にしておいて、わざと聞く藤澤さんに素直に頷けない。小刻みに顔を横に振り、言葉を発しないで抵抗すると、彼は意地悪く口角を上げた。

「いつまで、我慢している気?」

「そんなことっ...な...あぁっ!」

身体の中にある指が奥まで入れられ、グルッと中を馳せる。その指が勢いよく引き抜かれると、私は大きく息を吸い、その弾みで乳房が揺れてしまう。

「本当に素直じゃないなぁ」

いつも優しい藤澤さんが意地悪な事な言い方をしても、それはわざとだって分かる。その証拠に私の大腿に唇を這わせながら身体を開いてゆく彼の目は笑っていた。
私の秘められた部分が大きく晒されてしまい、彼がその部分を見つめるという状況に羞恥心が募り、彼から目を背ける。その不意を突かれ、私の秘めたる部分に生温かいものが触れる。それには堪らず反射的に仰け反ってしまった。

「それ...ダメっ」

私は脚の間にある彼の動きを止めようと必死になってもがき、彼の伏せた頭を押さえる。それでも、止めててくれなくて、もっと丁寧に舌で撫で始め、挙げ句の果てに中まで。

「....やっ....汚いっ」

「そんな事ないよ。優里はすべてが綺麗だ」

場所が場所なだけに話した時に出る言葉ですら、空気が動き私の肌を嬲る愛撫となる。どんなに頭を押しても藤澤さんは私の大腿を抱え込んでいるのでビクともしなかった。次第に私の手からは力が抜けて彼の頭から手がはなれてゆく。その代わり、あられもない嬌声があがる。

「あぁ....んんっ...やあぁっ........あぁっ....!!」

身体が震え声が出るのを自分では止められなくて、感極まる自分が信じられないまま、頭が真っ白になった。
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