134 / 199
134.beloved②
しおりを挟む
今日の夜ご飯は外のお店で待ち合わせ。最近ご飯を食べに行くのは美波ちゃんと化粧品会社に勤める由香。由香は私の中学時代からの親友だったけれど、私を介してオシャレ好きの二人は仲良くなっていた。
同期の真央ちゃん結婚退職、真奈美ちゃんは彼氏持ちということで何かと誘いづらい。そうなると必然的にシングル彼氏なし同士が集まるわけで。でも、ずっと彼氏のいない私と違い、なんせ、2人とも女子力が高いから、とにかくモテる。その気になればいくらでもお付き合いできる人はいるのに、シングルには訳があるというか。
次に付き合う人は、妥協しないという信念がある。
それというのも、私たちはもう三十路。結婚を視野にいれる現実的なお年頃になっていた。だから、2人とも少しでもいい出会いをつねに求めていて、今日もそんなお話が話題に上がる。
こんな時、私はいつも通り聞き役だったはずが今日はどういうわけか違っていた。
「ねー、優里も合コンに行かない?」
「何で私が?そういうの苦手だって...」
いつもは他人事のように聞いていた合コンは、参加をした事がない。もともとそういう場が苦手な方で、忙しい事をいい事にずっと断りっぱなし。それなのに今日は由香から熱心に参加を勧められる。
「...もういい加減、引きずるのやめなよ。
そんな大昔の失恋なんて。優里よりも仕事と結婚したような男なのよ?」
「それはそうだけど...男の人ってどうも苦手で」
実際問題として学生時代からの友人の松浦を除き、私は男性がもともと苦手。自分としては男性を避けているという意識はなかったけれど、親友の由香には確実にそう見えるらしい。それに輪をかけて藤澤さんとの別れがあったので、ますます男性に対する苦手意識というものが強くなった気がした。この歳になればある程度の社会性も出てきて、こんな私の事を好いてもらえる機会もあるというのに、それでもいざ付き合うとなると別問題。
中学時代から藤澤さんとのことまで私の数少ない男性遍歴を知っている由香には、全く反論の余地がない。
けれども、藤澤さんと完璧に別れてしまったあとにどれだけ彼女に励まされた事か。
「...へぇ、優里ってそんな仕事人間と付き合ってたんだ?うちの会社の人?」
そこへ初耳とばかりに美波ちゃんが口を挟む。
結局、私と藤澤さんが付き合っていたことは松浦以外誰にも話す事なく終わった事で、由香はたまたま社外だったので私は彼女を相談相手に選んでいた。
「そうなの。優里の元彼ってば本当にヒドイ男でさ。だから、新しい彼でも作ればそいつの事忘れられると思うのよ」
お酒の勢いもあり由香が藤澤さんの素性を詳しく美波ちゃんに話そうとしていたので、私は焦るあまり口が滑った。
「わー、分かったってば。今度の合コンは行けばいいんでしょ?」
こんな訳で生まれて初めての合コン参加が決定。
この頃の私は藤澤さんのことは大して引きずっていなくて、それを証明するのにはもってこいのいい機会だったと思う。
『優里の為にとっておきのメンバーを揃えたんだから、オシャレして来てね』
前日に美波ちゃんからこんな内容のメールをもらってしまい、明日の合コンに行く格好に悩みまくるくらいに。
...とりあえず昔のデート服を引っ張り出し、アクセサリーはと。
いつもだったら迷いなくお気に入りのピアスを身につけていくけれど、合コンにつけていくのは流石に躊躇してしまう。
藤澤さんにプレゼントされたものだから罪悪感というか、後ろめたさというか...。
それに似た感情が合コンにそのピアスを身につけることを邪魔していた。
※※※
そんな気持ちで迎えた合コン当日。場所からして、大学時代に流行っていた合コンと大違い。頭にあったイメージは居酒屋さんみたいな所だったけれど、今回の場所はバーカウンターとかあるオシャレなイタリアンレストランだった。
...へぇ、社会人になるとこんな所で合コンするんだ。
ちょっとしたカルチャーショックを受けながら予約席に触り、メンバー紹介されると自分が場違いのような気がしてくる。
女性陣は、由香と由香の会社の同期の子に、美波ちゃん私。言うまでもなく、私以外素敵女子な綺麗どころ。男性陣はというと商社マンに銀行マン。全員が30歳半ばくらいで大学の同期だと話していた。
ここで美波ちゃんがとっておきのメンバーと話していたのに納得がいく。
うちの業界もそれなりに年収や知名度はあるけれど、金融系、商社は別格。これは合コンなんて軽いものではなくて、積極的に結婚相手を探すことを目的とする集団お見合いのように思えた。男性は自己アピールをして、女性はそれに華を添える。
初めて出た合コンの敷居の高いこと高いこと。私は殆ど話すことができなくて、話の中心にいる人の話に耳を傾けるだけだった。
それでも、男性と少しだけ話しもできた。
「三浦さん...だっけ?」
「は、はい...」
誰かの話を聞いていたら、隣に座っている男性にいきなり声をかけられてビックリ。思わず反射的に構えてしまうと、男性は私のその態度を見るなり。
「もしかして、こういう飲み会って苦手?」
「はい、まぁ...」
お酒が適度に入っていたので、つい本音をポロリ。あっと気が付いた時にはもう遅くて、気分を害したかしらと心配すると。
「...実は俺もちょっとこういうの苦手で」
人差し指で頰を照れ臭そうにかき、私と意見を合わせてくれた彼に少しだけ親近感を抱いた。
同期の真央ちゃん結婚退職、真奈美ちゃんは彼氏持ちということで何かと誘いづらい。そうなると必然的にシングル彼氏なし同士が集まるわけで。でも、ずっと彼氏のいない私と違い、なんせ、2人とも女子力が高いから、とにかくモテる。その気になればいくらでもお付き合いできる人はいるのに、シングルには訳があるというか。
次に付き合う人は、妥協しないという信念がある。
それというのも、私たちはもう三十路。結婚を視野にいれる現実的なお年頃になっていた。だから、2人とも少しでもいい出会いをつねに求めていて、今日もそんなお話が話題に上がる。
こんな時、私はいつも通り聞き役だったはずが今日はどういうわけか違っていた。
「ねー、優里も合コンに行かない?」
「何で私が?そういうの苦手だって...」
いつもは他人事のように聞いていた合コンは、参加をした事がない。もともとそういう場が苦手な方で、忙しい事をいい事にずっと断りっぱなし。それなのに今日は由香から熱心に参加を勧められる。
「...もういい加減、引きずるのやめなよ。
そんな大昔の失恋なんて。優里よりも仕事と結婚したような男なのよ?」
「それはそうだけど...男の人ってどうも苦手で」
実際問題として学生時代からの友人の松浦を除き、私は男性がもともと苦手。自分としては男性を避けているという意識はなかったけれど、親友の由香には確実にそう見えるらしい。それに輪をかけて藤澤さんとの別れがあったので、ますます男性に対する苦手意識というものが強くなった気がした。この歳になればある程度の社会性も出てきて、こんな私の事を好いてもらえる機会もあるというのに、それでもいざ付き合うとなると別問題。
中学時代から藤澤さんとのことまで私の数少ない男性遍歴を知っている由香には、全く反論の余地がない。
けれども、藤澤さんと完璧に別れてしまったあとにどれだけ彼女に励まされた事か。
「...へぇ、優里ってそんな仕事人間と付き合ってたんだ?うちの会社の人?」
そこへ初耳とばかりに美波ちゃんが口を挟む。
結局、私と藤澤さんが付き合っていたことは松浦以外誰にも話す事なく終わった事で、由香はたまたま社外だったので私は彼女を相談相手に選んでいた。
「そうなの。優里の元彼ってば本当にヒドイ男でさ。だから、新しい彼でも作ればそいつの事忘れられると思うのよ」
お酒の勢いもあり由香が藤澤さんの素性を詳しく美波ちゃんに話そうとしていたので、私は焦るあまり口が滑った。
「わー、分かったってば。今度の合コンは行けばいいんでしょ?」
こんな訳で生まれて初めての合コン参加が決定。
この頃の私は藤澤さんのことは大して引きずっていなくて、それを証明するのにはもってこいのいい機会だったと思う。
『優里の為にとっておきのメンバーを揃えたんだから、オシャレして来てね』
前日に美波ちゃんからこんな内容のメールをもらってしまい、明日の合コンに行く格好に悩みまくるくらいに。
...とりあえず昔のデート服を引っ張り出し、アクセサリーはと。
いつもだったら迷いなくお気に入りのピアスを身につけていくけれど、合コンにつけていくのは流石に躊躇してしまう。
藤澤さんにプレゼントされたものだから罪悪感というか、後ろめたさというか...。
それに似た感情が合コンにそのピアスを身につけることを邪魔していた。
※※※
そんな気持ちで迎えた合コン当日。場所からして、大学時代に流行っていた合コンと大違い。頭にあったイメージは居酒屋さんみたいな所だったけれど、今回の場所はバーカウンターとかあるオシャレなイタリアンレストランだった。
...へぇ、社会人になるとこんな所で合コンするんだ。
ちょっとしたカルチャーショックを受けながら予約席に触り、メンバー紹介されると自分が場違いのような気がしてくる。
女性陣は、由香と由香の会社の同期の子に、美波ちゃん私。言うまでもなく、私以外素敵女子な綺麗どころ。男性陣はというと商社マンに銀行マン。全員が30歳半ばくらいで大学の同期だと話していた。
ここで美波ちゃんがとっておきのメンバーと話していたのに納得がいく。
うちの業界もそれなりに年収や知名度はあるけれど、金融系、商社は別格。これは合コンなんて軽いものではなくて、積極的に結婚相手を探すことを目的とする集団お見合いのように思えた。男性は自己アピールをして、女性はそれに華を添える。
初めて出た合コンの敷居の高いこと高いこと。私は殆ど話すことができなくて、話の中心にいる人の話に耳を傾けるだけだった。
それでも、男性と少しだけ話しもできた。
「三浦さん...だっけ?」
「は、はい...」
誰かの話を聞いていたら、隣に座っている男性にいきなり声をかけられてビックリ。思わず反射的に構えてしまうと、男性は私のその態度を見るなり。
「もしかして、こういう飲み会って苦手?」
「はい、まぁ...」
お酒が適度に入っていたので、つい本音をポロリ。あっと気が付いた時にはもう遅くて、気分を害したかしらと心配すると。
「...実は俺もちょっとこういうの苦手で」
人差し指で頰を照れ臭そうにかき、私と意見を合わせてくれた彼に少しだけ親近感を抱いた。
0
お気に入りに追加
1,079
あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
デキナイ私たちの秘密な関係
美並ナナ
恋愛
可愛い容姿と大きな胸ゆえに
近寄ってくる男性は多いものの、
あるトラウマから恋愛をするのが億劫で
彼氏を作りたくない志穂。
一方で、恋愛への憧れはあり、
仲の良い同期カップルを見るたびに
「私もイチャイチャしたい……!」
という欲求を募らせる日々。
そんなある日、ひょんなことから
志穂はイケメン上司・速水課長の
ヒミツを知ってしまう。
それをキッカケに2人は
イチャイチャするだけの関係になってーー⁉︎
※性描写がありますので苦手な方はご注意ください。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※この作品はエブリスタ様にも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる