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「本題?まだ何かあんの?」

 怯えてますわね。先程までの勢いが明らかに減速されてますわ。

「別に、こちらが被害を被らなければ害さないですわよ。その前にアメリア様からの伝言を伝えさせていただきますわ」



「アメリア様?誰だっけ?ああ、シルヴェスト攻略時の悪役令嬢」

 シルヴェスト様の元婚約者のアメリア・ドリス公爵令嬢で貴女に振り回された被害者でいらっしゃいます。緋色の髪と目の、暁の乙女と称される素敵な女性です。
 



「貴女のおかげで、アスキア国のライフォード様と婚約致しました。ライフォード様って素晴らしい男性ですの。ローズ・クローブにはシルヴェスト程度の男がお似合いですわ。一言一句アメリア様のお言葉ですわ」

「なっ、はあ?何なのそのクソ女。ライフォード様は簡単に落ちないんだから素人が攻略できるわけない」

「上手くいっているようですわよ」



 
 アメリア様達の婚約が白紙になったのですが、今から婚約者を探すのは困難でしたので他国に打診した所、アスキア国の第三王子ライフォード様が臣籍降下される事となりアメリア様が婚約者となられ、準備が整い次第アスキア国へ嫁ぐことになりました。 


 その前に顔合わせされたそうですが、ライフォード様を見る度、ローズさんの悔しがる顔が浮かんで見えてしまうので笑みが絶えなくなり始終ニコニコ微笑まれていたら、ライフォード様も満更でもないご様子で恙無つつがなく婚約の運びとなったそうです。


 ─ライフォード様と幸せになれそうです。男性のお顔を見てこんなに幸せな気持ちになれると思っても見ませんでしたわ─
 

  シルヴェスト、ガドウィン、アーシェスの元婚約者であるアメリア様、マリアンヌ様、コーネリア様だけをお招きしたお茶会で、アメリア様は頬を染めてそうお話されておりました。




 ただ、今回ローズさんとの会話でライフォード王子はゲームの続編のキャラクターで続編も似たような内容との事でしたので、蜂蜜色の第二の棒が邪魔をしに現れるかもしれないとご忠告の手紙を差し出そうと思います。



 続編は平民として暮らしていたヒロインが愛していた女性と瓜二つだけの理由から都合良く王族籍だと発覚し、王子三人に騎士やら王弟やらをたぶらか・・・虜に・・・ぼやかす言葉が見つかりませんわ。
 兎に角、真実の愛やらを育むらしいです。

 アメリア様も二回目となると、傾向も対策も立てれるでしょうからあまり心配いたしませんわ。



 マリアンヌ様もコーネリア様も辺境伯の嫡男や他国の貴族への婚約を結ばれて安心致します。

 それでも、婚約期間も長かったのですから元婚約者達に多少思うところがおありかと思っておりましたが、三人共にお気持ちはとうに冷めてしまわれたとのこと。

 自分が認めた女に奪われるならまだしも、あんなのに懸想けそうするなんて趣味を疑います、とか愚痴が止まりませんでしたわね。
 自尊心プライドの高い小者、脳筋、依存性。
 そんな男と結婚しなくて良かったと笑い話に出来るようになるのに暫く時間を要したのは、気持ちの整理が必要で確かに愛情をお持ちだったのを知っておりますから。



 お心を繋ぎ留めようと、努力されたお姿を近くで見ておりました。

 諭すと煙たがられ、ローズさんに言えば怒られ、自分の言葉は届かずに空回りするだけ。
 どうしていいか分からず、鳥の飼い方という本を手に取らないといられないほど追い詰められていたのを、ローズさんはお気づきでしたでしょうか?
 振り回される男性以上に女性が振り回されていたのを。
  


 そのローズさんは大層憤慨ふんがいされておりますね。
 自分が狙っていた男が横から攫われるのがそんなに悔しいのでしょうか?似たような事をしでかしておいて?
 本当に自分に甘い方ですわね。


 
 
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