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第六章
145話
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「ドルテナ様。もう少し先にいますよ♪」
耳に入れたクラス5の治療薬のお陰か、急激に聴力を取り戻したヨラナはすこぶるご機嫌で、ダンジョン内だというのに俺の腕に自分の腕を絡めて歩いている。
今にも鼻歌を歌いそうなくらいだ。
やはり犬族として聴力を奪われるのは辛かったのかも知れない。
しかしここまで気を許してくれるとは思ってなかったが……。
まあ、女性にこういう事をされて嬉しくないわけがない。
クラス5という高価な治療薬を提供した見返り、と思えばいいかな。
ダンジョン内でなければデートと勘違いしそうだよ。
そんな感じで進んでいくと2階に繋がる部屋にやって来た。
部屋には燈籠が2つあり、片方が2階への転移装置で、もう片方が地上へ繋がっている。
ここは安全地帯となっているので、お昼御飯にすることにした。
アイテムボックスからテーブルと4人分のイスを取り出し、串焼きやパンなどを適当に出す。
マリンも同じ物でいいというので、テーブルの下にお皿を置いて乗せてやる。
「あの、私達もここに座ってよろしいのですか?」
「女性が立って食事をするのはあまり行儀がいいとは言えんぞ?いや、こう言う場所ならばそれも致し方ないのか?」
ヨラナとエマがどうしたらいいのか困った顔で俺の方を見てきた。
「行儀がいい悪いは別にして、2人共一緒に座って食べよう。奴隷だから一般人と一緒に食べることに抵抗がある人達もいるけど、エルヴィスさんも俺も何とも思ってないからね。さぁ、座って。昼からも頑張らないといけないからちゃんと食べてよ?」
と言った物の、エルヴィスは貴族だから奴隷と一緒はマズいような気もするが、それを言っても「私は冒険者のエルヴィスだ」って言いそうだしな。
顔を見合わせていたヨラナとエマも、これ以上言っても何も変わらないと理解したのか、失礼しますと言ってイスに座った。
あれだけ俺と腕を組んでいたのに、奴隷だなんだと言うのも今更のような気もするけど……。
座った2人は、出されている串焼きを口にして驚きの声を上げた。
「え!これ温かいですよ?!」
「?!」
いや、エマは驚きのあまり声も出てなかったな。
「焼きたてを買ったからね。味は大丈夫?そこの屋台のタレはちょっと辛めなんだ。水を出しておいたから、喉が渇いたから自分で注いでね」
「このピリ辛が私は好きだな。食欲がそそられる感じがいい」
エルヴィスにも好評のようで何より。
「いや、そうじゃなくてですね。あの、温かいんですよ?」
「俺のアイテムボックスはちょっと変わってるからね。まぁ、そういうことにしておいて」
「……お2人は一体どういったお方なのですか?お若いのに私達2人を雇えるだけの資金をお持ちですし、見たことのない強力な武器で魔物を倒し、アイテムボックスの容量も、この食事も……先程はヴォルトゥイア帝国がどうとか……」
エマが俺達2人をマジマジと見ながら聞いてきた。
シネスティア国からこのダンジョンを壊しにやって来ました!って言ったら驚くどころじゃないだろうな。
「私達はヴォルトゥイア帝国の兵士。このダンジョンに派遣されてきた若い2人だ。それ以上でもそれ以下でもない。主に問いただされても素直に話すしか君達にはできないのだ。だからそう言うことにしておいてくれ。君達2人に辛い思いをさせたくはないんだ」
エルヴィスはエマとヨラナの目をしっかりと見て、そう理解するように視線で訴えた。
「失礼いたしました。出過ぎたことを……」
エマはその視線と空気を読んで納得してくれた。
「すまないね。だが決して君達の敵ではない。それだけは信じて欲しい」
「はい、私達もお2人の事は信じております」
ヨラナもエマの言葉に頷いている。
「さぁ、冷めないうちに食べてよ。エルヴィスさん、スープでも出しましょうか?」
「そうだな。もらおう」
パチンっと手を叩いて皆に食事を勧める。
しんみりとした空気のまま食事をしても楽しくないからね。
食事は楽しく食べるから美味しいんだ。
ヨラナとエマも俺が出した料理を美味しいと言って食べてくれた。
食後にクッキーと温かいお茶を飲んで一休みした俺達は、2階へと移動した。
このダンジョンは3階まで洞窟になっているとのこと。
聴覚が戻ったヨラナの案内でドンドン進んで行く。
勿論、腕を組んだまま。
そんなヨラナと俺を、後ろの2人は呆れ顔で見ていて、その視線がちょっと痛い。
マリンなんて、『ご主人様、奥様方に怒られない程度になさいませ』なんて言ってる始末。
はい、間違いが起きないように気を付けます。
って、俺から腕を組んでいるわけじゃないからね!
遠くからでも魔物がわかるようになったヨラナは本当に嬉しそうだ。
そうして進んで行って差し掛かった分かれ道で、気になる物があった。いや、感知した。
ヨラナが指し示してくれた道とは反対側に、ゴブリンが大量にいる場所がある。
赤いシルエットの感じからして1カ所に固まっているようだ。
「ねぇ、ヨラナ。こっちの道に行くとどうなるの?」
「そっちは危険ですよ。広い部屋に大量のゴブリンが集まっているんです。聞いた話ですが、最初の頃は道がわからず、何度かその部屋に迷い込んだらしいのです。大人数で行動していた人達は問題なかったようですが、個人や少人数で行動していた兵士の何人かはゴブリンに囲まれて命を落としていると……。噂話ですが、群れるとゴブリンとは思えないほど強くなるという話もあります。真相の程は定かではありませんが、あのゴブリンが強くなるとは思えませんけどね」
これはもしかしたらゴブリンの上位種、つまりこの世界で言うところの変異種がいるんじゃないのか?
そしたら魔石も期待できる?
「ねぇ、ちょっと覗いてみない?エルヴィスさん、どうですか?」
「私はかまわないぞ。ドルテナ達のデートに付き合うまでだ。なぁ、エマ」
「はい、エルヴィス様」
『ご主人様、程々に』
ぬうぉい!だからデートじゃないっつうの!
「……。と、兎に角。この先にゴブリンが固まってるので一網打尽にできそうなんで、行きますよ!」
後ろからハイハイと言われながらデートを続け、じゃない! 歩き続けると、道の先に部屋が見えてきた。
部屋と言っても扉があるわけではないので、向こうからもこちらが見える。
ゴブリン達に気付かれないようにして近づいていく。
「結構いるなぁ。15…18…21、22。22匹もいる」
「そんなにいるのか。ゴブリンの休憩室か何かなのか?」
「う~ん、どうなんでしょうか。そもそもゴブリンに休憩という概念があるかどうかも怪しいですけどね」
「あの、この距離で数までわかるのですか?」
俺の腕に絡まっている状態のヨラナが、不思議そうな顔をして聞いてきた。
「まあね。さてと、さっさと倒して魔石をいただこうかな。一旦部屋から見えない位置まで下がろう」
この位置だと、今から使う武器で自滅しかねない。
部屋から身を隠せられるところまで下がって、アイテムボックスからハンドグレネード【M67】を取り出した。
これをあの群れの中に放り投げるのだ。
爆発したハンドグレネード【M67】の破片が当たらないように、部屋から直接見えない位置に移動したという訳だ。
ハンドグレネード【M67】で一網打尽!とはいかないだろうが、これでかなりの数は1度に倒せるはずだ。
残党はこちらに向かってくるやつをサブマシンガン【FN P90】で倒していけばいい。
「ではちょっくら行ってきます。ヨラナとエマはエルヴィスさんの側にいてね」
『マリン、万が一の時はよろしく』
『はい、お任せ下さい』
マリンがいれば何があっても大丈夫だろう。
ハンドグレネード【M67】を手に再び部屋の入口の近くまで近づく。
戦闘服のお陰でかなり遠投もできるようになった。
ハンドグレネード【M67】の安全レバーを握ったまま安全ピンを抜いて、もう一度狙いを定める。
そしてハンドグレネード【M67】をゴブリンの群れの中心に向かって投げた。
投げられたハンドグレネード【M67】は、手から離れると安全レバーが外れる。
そして約5秒後に爆発する。
ー ゴツッ! ー
「ッガ!?」
「ギィ?」
「ギギギィ?」
いきなり群れの中心に物が投げられたゴブリンは驚いて、何が起きたのかわかっていない様子だ。
いや、1匹だけはハンドグレネードが命中して、物を投げつけられたと認識できたかも知れない。
しかしその時既に遅し。
ー ドガァァン! ー
ゴブリンの群れの中でハンドグレネード【M67】が爆発して、周囲にいた数匹のゴブリンが即し、更に数匹が破片を体に受け手負傷していた。
あら?思った以上に死ななかったぞ……。なんで?
「ギギィ!」
「ギィギィ!」
「もう見つかったか。あぁ、もう。上手いこと行かないなぁ!」
攻撃をしてきた相手を見つけたゴブリンは、一斉に俺の方に向けて走ってくる。
そのゴブリンの手には棍棒代わりの木の棒ではなく、何故か錆びた剣を持っている者がいた。
「ゴブリンって木の棒を持ってるんじゃないのかよ!ファンタジーの定番を崩しちゃダメだろうが」
文句を言いつつアイテムボックスから取り出したサブマシンガン【FN P90】で、向かってくるゴブリン達を片っ端から撃ち殺していく。
ハンドグレネード【M67】を投げてから1分もしないうちに全てのゴブリンを屠った俺は、道の先で待っている皆に声を掛けた。
その声が聞こえてやって来た皆は、部屋中にゴブリンの死体が広がっている状況にそれぞれが異なった反応をしていた。
「まさかここまで一方的になるとは……」
「だから大丈夫だと言ったではないか。ヨラナは心配しすぎなのだよ」
「……エルヴィス様の仰った“心配するのは無駄なこと”というのがよくわかりました」
ヨラナはこの状況に驚き、エルヴィスは当たり前のことだと言い、エマは呆れ顔だった。
俺の評価は上がってるのか?下がってるのか?どっちだ?
「この数はちと多過ぎだな。よし、皆で手分けして魔石を取り出そう。ドルテナ、入口に手洗い用の桶を用意しておいてくれ」
「……わかりました。なんか微妙に納得できないですけど、いいです」
俺はエルヴィスに言われたように入口に桶を置いて、魔石の取り出しに加わるのだった。
耳に入れたクラス5の治療薬のお陰か、急激に聴力を取り戻したヨラナはすこぶるご機嫌で、ダンジョン内だというのに俺の腕に自分の腕を絡めて歩いている。
今にも鼻歌を歌いそうなくらいだ。
やはり犬族として聴力を奪われるのは辛かったのかも知れない。
しかしここまで気を許してくれるとは思ってなかったが……。
まあ、女性にこういう事をされて嬉しくないわけがない。
クラス5という高価な治療薬を提供した見返り、と思えばいいかな。
ダンジョン内でなければデートと勘違いしそうだよ。
そんな感じで進んでいくと2階に繋がる部屋にやって来た。
部屋には燈籠が2つあり、片方が2階への転移装置で、もう片方が地上へ繋がっている。
ここは安全地帯となっているので、お昼御飯にすることにした。
アイテムボックスからテーブルと4人分のイスを取り出し、串焼きやパンなどを適当に出す。
マリンも同じ物でいいというので、テーブルの下にお皿を置いて乗せてやる。
「あの、私達もここに座ってよろしいのですか?」
「女性が立って食事をするのはあまり行儀がいいとは言えんぞ?いや、こう言う場所ならばそれも致し方ないのか?」
ヨラナとエマがどうしたらいいのか困った顔で俺の方を見てきた。
「行儀がいい悪いは別にして、2人共一緒に座って食べよう。奴隷だから一般人と一緒に食べることに抵抗がある人達もいるけど、エルヴィスさんも俺も何とも思ってないからね。さぁ、座って。昼からも頑張らないといけないからちゃんと食べてよ?」
と言った物の、エルヴィスは貴族だから奴隷と一緒はマズいような気もするが、それを言っても「私は冒険者のエルヴィスだ」って言いそうだしな。
顔を見合わせていたヨラナとエマも、これ以上言っても何も変わらないと理解したのか、失礼しますと言ってイスに座った。
あれだけ俺と腕を組んでいたのに、奴隷だなんだと言うのも今更のような気もするけど……。
座った2人は、出されている串焼きを口にして驚きの声を上げた。
「え!これ温かいですよ?!」
「?!」
いや、エマは驚きのあまり声も出てなかったな。
「焼きたてを買ったからね。味は大丈夫?そこの屋台のタレはちょっと辛めなんだ。水を出しておいたから、喉が渇いたから自分で注いでね」
「このピリ辛が私は好きだな。食欲がそそられる感じがいい」
エルヴィスにも好評のようで何より。
「いや、そうじゃなくてですね。あの、温かいんですよ?」
「俺のアイテムボックスはちょっと変わってるからね。まぁ、そういうことにしておいて」
「……お2人は一体どういったお方なのですか?お若いのに私達2人を雇えるだけの資金をお持ちですし、見たことのない強力な武器で魔物を倒し、アイテムボックスの容量も、この食事も……先程はヴォルトゥイア帝国がどうとか……」
エマが俺達2人をマジマジと見ながら聞いてきた。
シネスティア国からこのダンジョンを壊しにやって来ました!って言ったら驚くどころじゃないだろうな。
「私達はヴォルトゥイア帝国の兵士。このダンジョンに派遣されてきた若い2人だ。それ以上でもそれ以下でもない。主に問いただされても素直に話すしか君達にはできないのだ。だからそう言うことにしておいてくれ。君達2人に辛い思いをさせたくはないんだ」
エルヴィスはエマとヨラナの目をしっかりと見て、そう理解するように視線で訴えた。
「失礼いたしました。出過ぎたことを……」
エマはその視線と空気を読んで納得してくれた。
「すまないね。だが決して君達の敵ではない。それだけは信じて欲しい」
「はい、私達もお2人の事は信じております」
ヨラナもエマの言葉に頷いている。
「さぁ、冷めないうちに食べてよ。エルヴィスさん、スープでも出しましょうか?」
「そうだな。もらおう」
パチンっと手を叩いて皆に食事を勧める。
しんみりとした空気のまま食事をしても楽しくないからね。
食事は楽しく食べるから美味しいんだ。
ヨラナとエマも俺が出した料理を美味しいと言って食べてくれた。
食後にクッキーと温かいお茶を飲んで一休みした俺達は、2階へと移動した。
このダンジョンは3階まで洞窟になっているとのこと。
聴覚が戻ったヨラナの案内でドンドン進んで行く。
勿論、腕を組んだまま。
そんなヨラナと俺を、後ろの2人は呆れ顔で見ていて、その視線がちょっと痛い。
マリンなんて、『ご主人様、奥様方に怒られない程度になさいませ』なんて言ってる始末。
はい、間違いが起きないように気を付けます。
って、俺から腕を組んでいるわけじゃないからね!
遠くからでも魔物がわかるようになったヨラナは本当に嬉しそうだ。
そうして進んで行って差し掛かった分かれ道で、気になる物があった。いや、感知した。
ヨラナが指し示してくれた道とは反対側に、ゴブリンが大量にいる場所がある。
赤いシルエットの感じからして1カ所に固まっているようだ。
「ねぇ、ヨラナ。こっちの道に行くとどうなるの?」
「そっちは危険ですよ。広い部屋に大量のゴブリンが集まっているんです。聞いた話ですが、最初の頃は道がわからず、何度かその部屋に迷い込んだらしいのです。大人数で行動していた人達は問題なかったようですが、個人や少人数で行動していた兵士の何人かはゴブリンに囲まれて命を落としていると……。噂話ですが、群れるとゴブリンとは思えないほど強くなるという話もあります。真相の程は定かではありませんが、あのゴブリンが強くなるとは思えませんけどね」
これはもしかしたらゴブリンの上位種、つまりこの世界で言うところの変異種がいるんじゃないのか?
そしたら魔石も期待できる?
「ねぇ、ちょっと覗いてみない?エルヴィスさん、どうですか?」
「私はかまわないぞ。ドルテナ達のデートに付き合うまでだ。なぁ、エマ」
「はい、エルヴィス様」
『ご主人様、程々に』
ぬうぉい!だからデートじゃないっつうの!
「……。と、兎に角。この先にゴブリンが固まってるので一網打尽にできそうなんで、行きますよ!」
後ろからハイハイと言われながらデートを続け、じゃない! 歩き続けると、道の先に部屋が見えてきた。
部屋と言っても扉があるわけではないので、向こうからもこちらが見える。
ゴブリン達に気付かれないようにして近づいていく。
「結構いるなぁ。15…18…21、22。22匹もいる」
「そんなにいるのか。ゴブリンの休憩室か何かなのか?」
「う~ん、どうなんでしょうか。そもそもゴブリンに休憩という概念があるかどうかも怪しいですけどね」
「あの、この距離で数までわかるのですか?」
俺の腕に絡まっている状態のヨラナが、不思議そうな顔をして聞いてきた。
「まあね。さてと、さっさと倒して魔石をいただこうかな。一旦部屋から見えない位置まで下がろう」
この位置だと、今から使う武器で自滅しかねない。
部屋から身を隠せられるところまで下がって、アイテムボックスからハンドグレネード【M67】を取り出した。
これをあの群れの中に放り投げるのだ。
爆発したハンドグレネード【M67】の破片が当たらないように、部屋から直接見えない位置に移動したという訳だ。
ハンドグレネード【M67】で一網打尽!とはいかないだろうが、これでかなりの数は1度に倒せるはずだ。
残党はこちらに向かってくるやつをサブマシンガン【FN P90】で倒していけばいい。
「ではちょっくら行ってきます。ヨラナとエマはエルヴィスさんの側にいてね」
『マリン、万が一の時はよろしく』
『はい、お任せ下さい』
マリンがいれば何があっても大丈夫だろう。
ハンドグレネード【M67】を手に再び部屋の入口の近くまで近づく。
戦闘服のお陰でかなり遠投もできるようになった。
ハンドグレネード【M67】の安全レバーを握ったまま安全ピンを抜いて、もう一度狙いを定める。
そしてハンドグレネード【M67】をゴブリンの群れの中心に向かって投げた。
投げられたハンドグレネード【M67】は、手から離れると安全レバーが外れる。
そして約5秒後に爆発する。
ー ゴツッ! ー
「ッガ!?」
「ギィ?」
「ギギギィ?」
いきなり群れの中心に物が投げられたゴブリンは驚いて、何が起きたのかわかっていない様子だ。
いや、1匹だけはハンドグレネードが命中して、物を投げつけられたと認識できたかも知れない。
しかしその時既に遅し。
ー ドガァァン! ー
ゴブリンの群れの中でハンドグレネード【M67】が爆発して、周囲にいた数匹のゴブリンが即し、更に数匹が破片を体に受け手負傷していた。
あら?思った以上に死ななかったぞ……。なんで?
「ギギィ!」
「ギィギィ!」
「もう見つかったか。あぁ、もう。上手いこと行かないなぁ!」
攻撃をしてきた相手を見つけたゴブリンは、一斉に俺の方に向けて走ってくる。
そのゴブリンの手には棍棒代わりの木の棒ではなく、何故か錆びた剣を持っている者がいた。
「ゴブリンって木の棒を持ってるんじゃないのかよ!ファンタジーの定番を崩しちゃダメだろうが」
文句を言いつつアイテムボックスから取り出したサブマシンガン【FN P90】で、向かってくるゴブリン達を片っ端から撃ち殺していく。
ハンドグレネード【M67】を投げてから1分もしないうちに全てのゴブリンを屠った俺は、道の先で待っている皆に声を掛けた。
その声が聞こえてやって来た皆は、部屋中にゴブリンの死体が広がっている状況にそれぞれが異なった反応をしていた。
「まさかここまで一方的になるとは……」
「だから大丈夫だと言ったではないか。ヨラナは心配しすぎなのだよ」
「……エルヴィス様の仰った“心配するのは無駄なこと”というのがよくわかりました」
ヨラナはこの状況に驚き、エルヴィスは当たり前のことだと言い、エマは呆れ顔だった。
俺の評価は上がってるのか?下がってるのか?どっちだ?
「この数はちと多過ぎだな。よし、皆で手分けして魔石を取り出そう。ドルテナ、入口に手洗い用の桶を用意しておいてくれ」
「……わかりました。なんか微妙に納得できないですけど、いいです」
俺はエルヴィスに言われたように入口に桶を置いて、魔石の取り出しに加わるのだった。
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