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第六章
133話
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建物から出ると、建物を取り囲むようにしていた兵士達全員、誰1人として立っていなかった。
「目が!目がぁ!」
「ちくしょう!目をやられた!」
「誰か、た、助けてくれ!誰もいないのか!」
「…………」
ある者は目を押さえ、ある者は耳を押さえ、そしてある者は悶絶していた。
何が起こったのか状況が把握できていないため、パニック状態だった。
そろそろ夜明けではあるが、まだまだ十分に暗い。
目が暗闇になれている状態で強烈な閃光を見てしまえば、相当辛いだろう。
また相手の出方がわからず扉に神経を集中しており、何が起こってもいいようにしっかりと目を凝らしていたはずだ。
……効果テキメンだな。
スタングレネードの使用目的である無力化が達成されてはいるが、こいつらを全員捉えるつもりは端っからない。
俺は迷うことなくサブマシンガン【FN P90】を構え、確実に命を奪っていく。
マガジンに入っている50発の弾を撃ち尽くした頃、この建物の入口以外を取り囲むように配置されていた兵士達がスタングレネードの爆発音を聞いて駆けつけてきた。
「いたぞ!」
「逃がすな!」
入口前にいる俺を見つけた兵士達は、武器を手に直ぐさま向かってきた。
全弾撃ち尽くしたサブマシンガン【FN P90】をアイテムボックスに出し入れして弾を補充し、レバーを引いて構える。
スタングレネードの影響でいまだ戦闘能力を奪われたままの兵士達を後回しにして、後から駆けつけてきた兵士を先に叩く。
先ずは先に駆けつけてきた左手の兵士に銃弾を浴びせ沈黙させ、直ぐに反対側の左からやってくる兵士に向けて引き金を引いた。
サブマシンガン【FN P90】で使用される5.7×28mm弾は小口径ではあるが、それを防弾性の全くない防具で受ければどうなるかは火を見るより明らかである。
駆けつけてきた兵士を倒した後は、今だ戦闘力が回復せず蹲っている兵士を屠っていく。
その後は散発的にやってくる兵士を各個撃破……と大袈裟なものではなかったが、確実にその命を奪っていった。
やがてこちらに向かってくる兵がいなくなったのを見計らって、周囲に散乱している死体とそれらの所持品をアイテムボックスに入れていく。
勿論辺りの警戒は怠らない。
危険察知の反応では、数カ所にまだ数人の兵士がいるのが確認できる。
あいつらはこっちに来ないのか?
敵を倒しに行くことよりもその場所を守ることを優先したんだろうなぁ。
位置的に見張りの櫓にいる連中かな。
危険察知で赤いシルエットになっている内の1カ所だけ、櫓ではなさそうだ。
何故かというと、櫓は高さがあるから敵を示す赤いシルエットが高い位置にある。
しかしその1カ所だけは低い位置にあり、地上にいると思われる。
俺が暴れてもその場を動かないと言うことは、侵入者の排除よりも重要だと言うことだろう。
ならばその場所にある物は、ここにいた奴ら将又ヴォルトゥイア帝国にとって重要な物って事になるはずだ。
勿論そんな大事な物を俺が見逃すわけがない。
ヴォルトゥイア帝国にとって重要な物を奪えば、ヴォルトゥイア帝国に痛手となるはずだ。
そう思い、俺はその場所に向けて移動を開始した。
砦内には敵となる兵士はほぼいなくなり、俺は目的の場所まで隠れることなく進んで行く。
途中、俺が荷物をゴッソリいただいた倉庫の前を通ったが、入口が開け放たれたままになっていた。
侵入者に対処する為に武器か何かをとるために倉庫を開けたのだろうが、あるはずの物が1つ残らず消えていると知った奴らは相当驚いたことだろう。
さて、前方には小さな平屋の建物が見えている。
その入口前には武器を手にして辺りをしきりに警戒している兵士が2人。
そして入口を入って直ぐの所には3人いるようだ。
「あそこには何があるんだ?侵入者に向かったりせず守るほどの物……倉庫にあった物以上ってことだよなぁ。ここで気にしてもしょうがないか。さっさと入って確かめた方が早いな」
片膝立ちでサブマシンガン【FN P90】を構え、入り口前の2人に向かって発砲。
銃弾を受けた2人がドサッと地面に倒れたのと同時に、中にいた兵士に動きがあった。
建物内にいる兵士達にも表の2人が倒れた音は聞こえたのだろう。
入口から入ってくると思われる相手に対処する為、今まで1カ所に固まっていた兵士達が入口を取り囲むような形をとった。
兵士達がバラバラになったことで人数が予想通り3人だとわかった。
入口までやって来た俺は、サブマシンガン【FN P90】の銃撃を受けてもまだ息の根があった2人にトドメを刺す。
放っておいてもいずれ死ぬだろうが、敵とはいえ、長い時間苦しみながら死ぬのはちょっと気が引けた。
入り口前でアイテムボックスからスタングレネード【M84】を取り出す。
やるのはさっきと同じ。
ピンを抜き、サッと開けた入口の扉からスタングレネード【M84】を投げ入れて扉を閉める。
さっきの経験から、瞼は閉じていれば十分で、耳もイヤーマフをしていれば問題ないとわかっているので、扉を締めて念の為に背中を向けた。
スタングレネード【M84】の炸裂音が鳴り響き、直ぐに扉を開けた。
扉を開けると3人とも行動不能に陥っており、これ以上の戦闘継続は困難な状況になっていた。
躊躇うことなくサブマシンガン【FN P90】の引き金を引き、敵を排除した。
殺傷能力があるハンドグレネード【M67】所謂手榴弾を使わなかったのは、兵士が守っていた物を傷つけないように配慮したからだ。
3人の死体と所持品を回収して奥にある扉を開けた。
そこは何もない小さな部屋だったが、入ってきたところの反対側にまた扉があった。
その扉の前まで移動して取っ手を見ると、何やら見覚えのある形をしていた。
「ん?これってヘイデンさんのお店にあった魔石を利用した鍵じゃないのか?」
扉の所に割り符の片割れがあるのが見えた。
その割り符の片割れにもう片方の割り符をはめれば鍵が開くはずだ。
「でもここにいた奴らの荷物には割り符なんてなかったぞ。となるとケルッコかリクハルドが持っていたのか?……今更荷物の中を捜すのは面倒だな」
アイテムボックスのリストは「誰々の何とか」というふうにはなっておらず、その物の名前が表示されるようになっている。
鍵を捜すのが面倒なので、鍵をサブマシンガン【FN P90】で破壊することにした。
「貫通して中の物を壊さないように、ちょっと横から撃つかな」
鍵は壊せました。中も壊しました。では意味がない。
「いくら魔石の鍵とはいえ、こいつ(FN P90)の弾に耐えられない……よな?」
もしかしたら弾き飛ばすんじゃないか?と不安になりながら引き金を引いたが、それは杞憂だった。
鍵があった場所は粉々に吹き飛ばされ、その衝撃で扉はひとりでに開いた。
「予想外に脆かったな。いや、こいつ(FN P90)が凄いだけか。さてと、中の物が壊れていないといいんだが……」
勝手に開いた扉から中を覗き込むと、中に保管されていた物を見て思わずニヤけてしまった。
「こりゃぁスゲぇ。お宝の山っていうのはこういう事を言うんだろうな」
どうやらこの鍵付きの倉庫は金庫だったようだ。
銀貨や金貨といった硬貨は金種事に箱へ分けられていた。大金貨も結構な数がある。
お金以外では金細工の物や加工前の金鉱石まである。
他にも大きめの魔石や防具などに使用できる素材などが所狭しと置かれていた。
「しかし色んな物があるな。でもなんで軍事要塞的なこの砦に金細工や鉱石、ここで加工もできないのに素材とか……もしかして、ここにいた奴らが街道を移動している商人なんかを襲って得た物なんじゃないのか」
鉱石や素材といった物はここでは使い道がないはずだ。
それなのにこれだけの量があるとなると、それ以外考えられない。
「こいつらの扱いはどうなるんだ?ヴォルトゥイア帝国の兵士だけど山賊?盗賊?」
山賊や盗賊の場合、殺せば1人当たりいくらかの討伐報酬がある。
更に、そいつらの塒にあった物は討伐者の所有物となるのだ。
つまり、ここにいた奴らが山賊や盗賊の類いと判断された場合、ここにある物は全て俺の物。
いや、ここだけではない。
倉庫にあった物やケルッコの書斎にあった物、ここの砦の全ての物が俺の物となる。
「まてまて、今はそれを考えるときじゃない。やるべき事をしないとな。それに、捕らぬ狸の皮算用になっても面白くないからな」
今は早くこの砦をぶっ潰してエルヴィスの所へ帰らないと行けないのだ。
俺は手早くアイテムボックスに入れると、金庫から出た。
その部屋にあった机等もアイテムボックスに入れていく。
そしてなぜかこの場所にあった本棚もアイテムボックスに入れると、隠し扉が姿を現した。
「なんだ?もしかしてこの金庫部屋はどこかと繋がっているのか?確かめる必要があるな。砦の外と繋がっていて、ここから大量の増援が出てくるというのは避けたい」
まだ残っている櫓の兵士も気になるが、これを確かめる方が優先だろう。
それにこの砦の出入り口付近は既にマリンが制圧している。
マリンがいるであろう場所の付近からは、危険察知に反応している赤いシルエットが一切ない。
山の反対側にいるはずのエルヴィスの周囲にも赤いシルエットは見当たらない。
「安全の確保も必要だしな。よし、ダッシュでこの先を捜索して帰ってこよう」
そう決めて扉を開けて中に入っていった。
入ったところに松明がかかっていたのでそれに火を付けて明かりを確保した。
そして松明に照らされた岩が剥き出しの通路を歩いて行くと、その先には扉があった。
「やっぱりどこかに繋がってるんだ。歩いた時間的にこの砦から外に出ている感じはないか。となると、この砦のどこかに出るんだろうな」
扉の先に危険察知の赤いシルエットがないことを確認してから扉を押し開けた。
そこは本当に小さな部屋で、畳一畳くらいしかない。そしてその部屋から出ると、ケルッコがいたあの建物の1階に繋がっていた。
「なるほど、金庫が遠くにあっても問題ないと言うことか。でもこれなら増援の心配もいらないな。よし、残りの兵士倒して戻るとしよう」
まだ櫓に残っていた兵士達をチャッチャと片付けて、砦の入口を見張っているマリンと合流し、エルヴィスの元へ戻った。
「目が!目がぁ!」
「ちくしょう!目をやられた!」
「誰か、た、助けてくれ!誰もいないのか!」
「…………」
ある者は目を押さえ、ある者は耳を押さえ、そしてある者は悶絶していた。
何が起こったのか状況が把握できていないため、パニック状態だった。
そろそろ夜明けではあるが、まだまだ十分に暗い。
目が暗闇になれている状態で強烈な閃光を見てしまえば、相当辛いだろう。
また相手の出方がわからず扉に神経を集中しており、何が起こってもいいようにしっかりと目を凝らしていたはずだ。
……効果テキメンだな。
スタングレネードの使用目的である無力化が達成されてはいるが、こいつらを全員捉えるつもりは端っからない。
俺は迷うことなくサブマシンガン【FN P90】を構え、確実に命を奪っていく。
マガジンに入っている50発の弾を撃ち尽くした頃、この建物の入口以外を取り囲むように配置されていた兵士達がスタングレネードの爆発音を聞いて駆けつけてきた。
「いたぞ!」
「逃がすな!」
入口前にいる俺を見つけた兵士達は、武器を手に直ぐさま向かってきた。
全弾撃ち尽くしたサブマシンガン【FN P90】をアイテムボックスに出し入れして弾を補充し、レバーを引いて構える。
スタングレネードの影響でいまだ戦闘能力を奪われたままの兵士達を後回しにして、後から駆けつけてきた兵士を先に叩く。
先ずは先に駆けつけてきた左手の兵士に銃弾を浴びせ沈黙させ、直ぐに反対側の左からやってくる兵士に向けて引き金を引いた。
サブマシンガン【FN P90】で使用される5.7×28mm弾は小口径ではあるが、それを防弾性の全くない防具で受ければどうなるかは火を見るより明らかである。
駆けつけてきた兵士を倒した後は、今だ戦闘力が回復せず蹲っている兵士を屠っていく。
その後は散発的にやってくる兵士を各個撃破……と大袈裟なものではなかったが、確実にその命を奪っていった。
やがてこちらに向かってくる兵がいなくなったのを見計らって、周囲に散乱している死体とそれらの所持品をアイテムボックスに入れていく。
勿論辺りの警戒は怠らない。
危険察知の反応では、数カ所にまだ数人の兵士がいるのが確認できる。
あいつらはこっちに来ないのか?
敵を倒しに行くことよりもその場所を守ることを優先したんだろうなぁ。
位置的に見張りの櫓にいる連中かな。
危険察知で赤いシルエットになっている内の1カ所だけ、櫓ではなさそうだ。
何故かというと、櫓は高さがあるから敵を示す赤いシルエットが高い位置にある。
しかしその1カ所だけは低い位置にあり、地上にいると思われる。
俺が暴れてもその場を動かないと言うことは、侵入者の排除よりも重要だと言うことだろう。
ならばその場所にある物は、ここにいた奴ら将又ヴォルトゥイア帝国にとって重要な物って事になるはずだ。
勿論そんな大事な物を俺が見逃すわけがない。
ヴォルトゥイア帝国にとって重要な物を奪えば、ヴォルトゥイア帝国に痛手となるはずだ。
そう思い、俺はその場所に向けて移動を開始した。
砦内には敵となる兵士はほぼいなくなり、俺は目的の場所まで隠れることなく進んで行く。
途中、俺が荷物をゴッソリいただいた倉庫の前を通ったが、入口が開け放たれたままになっていた。
侵入者に対処する為に武器か何かをとるために倉庫を開けたのだろうが、あるはずの物が1つ残らず消えていると知った奴らは相当驚いたことだろう。
さて、前方には小さな平屋の建物が見えている。
その入口前には武器を手にして辺りをしきりに警戒している兵士が2人。
そして入口を入って直ぐの所には3人いるようだ。
「あそこには何があるんだ?侵入者に向かったりせず守るほどの物……倉庫にあった物以上ってことだよなぁ。ここで気にしてもしょうがないか。さっさと入って確かめた方が早いな」
片膝立ちでサブマシンガン【FN P90】を構え、入り口前の2人に向かって発砲。
銃弾を受けた2人がドサッと地面に倒れたのと同時に、中にいた兵士に動きがあった。
建物内にいる兵士達にも表の2人が倒れた音は聞こえたのだろう。
入口から入ってくると思われる相手に対処する為、今まで1カ所に固まっていた兵士達が入口を取り囲むような形をとった。
兵士達がバラバラになったことで人数が予想通り3人だとわかった。
入口までやって来た俺は、サブマシンガン【FN P90】の銃撃を受けてもまだ息の根があった2人にトドメを刺す。
放っておいてもいずれ死ぬだろうが、敵とはいえ、長い時間苦しみながら死ぬのはちょっと気が引けた。
入り口前でアイテムボックスからスタングレネード【M84】を取り出す。
やるのはさっきと同じ。
ピンを抜き、サッと開けた入口の扉からスタングレネード【M84】を投げ入れて扉を閉める。
さっきの経験から、瞼は閉じていれば十分で、耳もイヤーマフをしていれば問題ないとわかっているので、扉を締めて念の為に背中を向けた。
スタングレネード【M84】の炸裂音が鳴り響き、直ぐに扉を開けた。
扉を開けると3人とも行動不能に陥っており、これ以上の戦闘継続は困難な状況になっていた。
躊躇うことなくサブマシンガン【FN P90】の引き金を引き、敵を排除した。
殺傷能力があるハンドグレネード【M67】所謂手榴弾を使わなかったのは、兵士が守っていた物を傷つけないように配慮したからだ。
3人の死体と所持品を回収して奥にある扉を開けた。
そこは何もない小さな部屋だったが、入ってきたところの反対側にまた扉があった。
その扉の前まで移動して取っ手を見ると、何やら見覚えのある形をしていた。
「ん?これってヘイデンさんのお店にあった魔石を利用した鍵じゃないのか?」
扉の所に割り符の片割れがあるのが見えた。
その割り符の片割れにもう片方の割り符をはめれば鍵が開くはずだ。
「でもここにいた奴らの荷物には割り符なんてなかったぞ。となるとケルッコかリクハルドが持っていたのか?……今更荷物の中を捜すのは面倒だな」
アイテムボックスのリストは「誰々の何とか」というふうにはなっておらず、その物の名前が表示されるようになっている。
鍵を捜すのが面倒なので、鍵をサブマシンガン【FN P90】で破壊することにした。
「貫通して中の物を壊さないように、ちょっと横から撃つかな」
鍵は壊せました。中も壊しました。では意味がない。
「いくら魔石の鍵とはいえ、こいつ(FN P90)の弾に耐えられない……よな?」
もしかしたら弾き飛ばすんじゃないか?と不安になりながら引き金を引いたが、それは杞憂だった。
鍵があった場所は粉々に吹き飛ばされ、その衝撃で扉はひとりでに開いた。
「予想外に脆かったな。いや、こいつ(FN P90)が凄いだけか。さてと、中の物が壊れていないといいんだが……」
勝手に開いた扉から中を覗き込むと、中に保管されていた物を見て思わずニヤけてしまった。
「こりゃぁスゲぇ。お宝の山っていうのはこういう事を言うんだろうな」
どうやらこの鍵付きの倉庫は金庫だったようだ。
銀貨や金貨といった硬貨は金種事に箱へ分けられていた。大金貨も結構な数がある。
お金以外では金細工の物や加工前の金鉱石まである。
他にも大きめの魔石や防具などに使用できる素材などが所狭しと置かれていた。
「しかし色んな物があるな。でもなんで軍事要塞的なこの砦に金細工や鉱石、ここで加工もできないのに素材とか……もしかして、ここにいた奴らが街道を移動している商人なんかを襲って得た物なんじゃないのか」
鉱石や素材といった物はここでは使い道がないはずだ。
それなのにこれだけの量があるとなると、それ以外考えられない。
「こいつらの扱いはどうなるんだ?ヴォルトゥイア帝国の兵士だけど山賊?盗賊?」
山賊や盗賊の場合、殺せば1人当たりいくらかの討伐報酬がある。
更に、そいつらの塒にあった物は討伐者の所有物となるのだ。
つまり、ここにいた奴らが山賊や盗賊の類いと判断された場合、ここにある物は全て俺の物。
いや、ここだけではない。
倉庫にあった物やケルッコの書斎にあった物、ここの砦の全ての物が俺の物となる。
「まてまて、今はそれを考えるときじゃない。やるべき事をしないとな。それに、捕らぬ狸の皮算用になっても面白くないからな」
今は早くこの砦をぶっ潰してエルヴィスの所へ帰らないと行けないのだ。
俺は手早くアイテムボックスに入れると、金庫から出た。
その部屋にあった机等もアイテムボックスに入れていく。
そしてなぜかこの場所にあった本棚もアイテムボックスに入れると、隠し扉が姿を現した。
「なんだ?もしかしてこの金庫部屋はどこかと繋がっているのか?確かめる必要があるな。砦の外と繋がっていて、ここから大量の増援が出てくるというのは避けたい」
まだ残っている櫓の兵士も気になるが、これを確かめる方が優先だろう。
それにこの砦の出入り口付近は既にマリンが制圧している。
マリンがいるであろう場所の付近からは、危険察知に反応している赤いシルエットが一切ない。
山の反対側にいるはずのエルヴィスの周囲にも赤いシルエットは見当たらない。
「安全の確保も必要だしな。よし、ダッシュでこの先を捜索して帰ってこよう」
そう決めて扉を開けて中に入っていった。
入ったところに松明がかかっていたのでそれに火を付けて明かりを確保した。
そして松明に照らされた岩が剥き出しの通路を歩いて行くと、その先には扉があった。
「やっぱりどこかに繋がってるんだ。歩いた時間的にこの砦から外に出ている感じはないか。となると、この砦のどこかに出るんだろうな」
扉の先に危険察知の赤いシルエットがないことを確認してから扉を押し開けた。
そこは本当に小さな部屋で、畳一畳くらいしかない。そしてその部屋から出ると、ケルッコがいたあの建物の1階に繋がっていた。
「なるほど、金庫が遠くにあっても問題ないと言うことか。でもこれなら増援の心配もいらないな。よし、残りの兵士倒して戻るとしよう」
まだ櫓に残っていた兵士達をチャッチャと片付けて、砦の入口を見張っているマリンと合流し、エルヴィスの元へ戻った。
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