【完結】だからウサギは恋をした

東 里胡

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第十三章 全力うさぎ、背中を押してくれた人

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 しばらく泣きはらした後で、どちらからともなく離れ照れたように顔をこする。

「あのさ、覚えてる? うちの近くの公園」
「覚えてるよ」

 仲たがいする前に、よく一緒に遊んでいた公園。

「美味しいカフェがね、あの横に出来たんだけど」
「え? そうなの」
「うん、うちのママがやってるの。今度遊びに来て。おびにごちそうさせて」

 へへっと笑うサツキちゃんにうなずいた。

「あ、吉居先輩も連れて行こうか?」

 コソコソっとサツキちゃんの耳元でそう伝えたら、顔を真っ赤にする。

「っ、な、なんで」
「え? だって、サツキちゃん、わかりやすかったよ。吉居先輩を見つめる目が」
「言わないでよ! 私、ウイちゃんほどわかりやすくはないけどね」
「はい?」
「全校生徒に知れ渡ってるじゃない。会長大好きって」
「あー……」

 ハハハッと笑ったら、サツキちゃんも笑ってる。

「あのさ」
「なに?」
「ありがと、うさぎちゃん」

 恥ずかしそうに笑って、私のことを今のニックネームで呼んでくれたサツキちゃん。

「私も、ありがとう」

 微笑みあったら、あんなに辛かった思い出がリボンをシュルシュルと解くみたいに軽くなっていく。
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