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第十章 うさぎ、心にウソをつく
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今のって、どういう……?
会長に聞くこともできないまま、次に開いたメールには『Unfair』という文字がある。
差出人は、いつも私宛てと思われるあのアドレスの人。
多分、サツキちゃんだ。
「『Unfair』って、どういう意味でしたっけ?」
「ん……確か、ズルイとかそういうのだったはず。心当たり、あるか?」
「ある、ような気がします。昨日帰りに彼女に呼び止められたんです」
「八組の前川さん?」
「はい。昨日、ここで皆と別れた後、昇降口で呼び止められて。同じ小学校だったよね、って。ずい分雰囲気が変わったよねって言われて、責めているみたいに聞こえてしまって、私逃げようとしたんです。そしたら、『また、逃げるの?』って。そこに丁度吉居先輩が通りかかって」
「吉居が?」
「前川さん……、サツキちゃんは、男子バレー部のマネージャーで。吉居先輩は、私達の険悪なムードに気づき二人とも知り合いだから足を止めて下さったみたいで」
「そういうことか」
会長が突然大きな声を出したことにビクンとすると。
「あ、いや、なんでもない。で、吉居に相談に乗ってもらった、ということでいいんだな?」
「え、はい、そうです。屋上案内してもらいました」
「最近ずっと鍵が見当たらないなと思ったら、アイツが持って歩いてたのか」
なるほどな、とブツブツつぶやきながら会長はメールをまたゴミ箱へと捨てる。
「あの、返事は」
「しなくていい。大体、誰宛なのかもわからんようなメール、相手にする必要はない。それに生徒会の役員の中にはズルイと言われるようなやつは一人もいない」
会長の言葉が胸の中でじんわりと広がって思わず。
「会長、す」
言いかけて、目の前にあった去年の写真立ての中に、なっちゃん先輩の笑顔を見てしまった。
会長に聞くこともできないまま、次に開いたメールには『Unfair』という文字がある。
差出人は、いつも私宛てと思われるあのアドレスの人。
多分、サツキちゃんだ。
「『Unfair』って、どういう意味でしたっけ?」
「ん……確か、ズルイとかそういうのだったはず。心当たり、あるか?」
「ある、ような気がします。昨日帰りに彼女に呼び止められたんです」
「八組の前川さん?」
「はい。昨日、ここで皆と別れた後、昇降口で呼び止められて。同じ小学校だったよね、って。ずい分雰囲気が変わったよねって言われて、責めているみたいに聞こえてしまって、私逃げようとしたんです。そしたら、『また、逃げるの?』って。そこに丁度吉居先輩が通りかかって」
「吉居が?」
「前川さん……、サツキちゃんは、男子バレー部のマネージャーで。吉居先輩は、私達の険悪なムードに気づき二人とも知り合いだから足を止めて下さったみたいで」
「そういうことか」
会長が突然大きな声を出したことにビクンとすると。
「あ、いや、なんでもない。で、吉居に相談に乗ってもらった、ということでいいんだな?」
「え、はい、そうです。屋上案内してもらいました」
「最近ずっと鍵が見当たらないなと思ったら、アイツが持って歩いてたのか」
なるほどな、とブツブツつぶやきながら会長はメールをまたゴミ箱へと捨てる。
「あの、返事は」
「しなくていい。大体、誰宛なのかもわからんようなメール、相手にする必要はない。それに生徒会の役員の中にはズルイと言われるようなやつは一人もいない」
会長の言葉が胸の中でじんわりと広がって思わず。
「会長、す」
言いかけて、目の前にあった去年の写真立ての中に、なっちゃん先輩の笑顔を見てしまった。
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