【完結】だからウサギは恋をした

東 里胡

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第七章 あれは、うさぎだった

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 周りの子たちが笑っている中、髪を二つに結い上げたその女の子の顔がまだ不安そうに唇をかんでいる。
 あの時、俺も夏海先輩に背中を押されたから、君にも届いてほしい。
 この学園に来て良かった、そう思ってほしいんだ。

「それでも、どうしたって友達なんて、できない。そう悩んでいる人がいるなら、直接、生徒会室まで来てください。その時は、俺が君の友達になるから、遠慮なくドアを叩いて。俺は、鈴城学園生徒会長は、ここにいる全ての友達の悩みを解決できるように、生徒会室で待っています。あ、鈴城学園生徒会役員選挙は三学期に行われるのですが、毎年書記は新一年生にしてもらうため、二名分の席を空けております。自薦他薦は問いません。こちらも遠慮なくどうぞ。俺と一緒に活動してくれる人、募集中です!」

 一瞬、泣いているみたいに思えた女の子が、顔をあげてようやく笑って皆と一緒に拍手をしているのが見えた。

「では、これで新入生歓迎の挨拶を終わります。皆さん、最後まで聞いて下さりありがとうございました」

 思いきり頭を下げたら、マイクがガコッと額にあたって、俺の「痛っ」という声が体育館にコダマする。
 爆笑の中、さっきの女子も笑っていてなんだかとっても安心した。
 あれって……、そうか、うさぎだ。うさぎだったんだ――。放課後、突然生徒会室をノックした変な女の子。
 きっと必死だったんだろう、ここに来るまでは。

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